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乱暴な言葉遣いが気になる…反抗期のせい?NG行動とは限らない?家庭での対応ポイント【公認心理師・井上雅彦先生にきく】

LITALICO発達ナビ

乱暴な言葉遣いが気になる…反抗期のせい?NG行動とは限らない?家庭での対応ポイント【公認心理師・井上雅彦先生にきく】

監修:井上雅彦

鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授/LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー

言葉遣いが悪い……反抗期のせい?

きょうだいのことを「お前」と呼んだり、「は?」と聞き返したり、「知らねぇよ」と語尾がキツくなったり……。年齢が上がるにつれて、子どもの言葉遣いが気になり始める保護者も多いのではないでしょうか。

特に小学生以降は、だんだんと友だち関係を大事にする発達段階に入ることもあり、周りからの影響が心配になることもあるでしょう。発達ナビのQ&Aコーナーでも、以下のような声が寄せられています。

言葉遣いについてです。小二の息子です。
小学校入学後から、言葉遣いがひどいなと感じ入学して一週間くらいで、クソババアと言われました。
同じクラスの子が言っていたから、悪いとは思わずに言ったようでした。

https://h-navi.jp/qa/questions/161868

今回はそのような小学生の言葉遣いについて、鳥取大学大学院教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生にお伺いしました。

反抗期の息子。小学生の乱暴な言葉遣いは直せるの?

A:大人しかったわが子が急に乱暴な言葉遣いをし始めたとすると、保護者としては少し驚いてしまいますよね。

「お友だちの影響もあるのかな?」と思われるかもしれませんが、きっかけはテレビや動画サイト、漫画など、ほかにもあるのかもしれません。

実際にお友だちと同じような口調になってきたという場合には、お子さんは年齢相応の友だち関係を築けているという捉え方もあります。小学校高学年くらいで、同じ表現を使ったりノリが合ったりすることで、仲間意識が高まることもあるでしょう。

家庭での対応のポイントとしては、「使い分けのルール」を教えることもひとつです。例えば、「仲間内ではいいけれど、そうでない相手(先輩・先生など)には言わないよ」というような簡単なルールがあるといいかもしれません。

保護者としては、お子さんの少し荒々しい言動は気になるかもしれませんが、実は「使い分け」が既にできているお子さんも少なくありません。例えば、テレビの悪役の真似をして、家では一人称が「俺様」だったり、お母さんに対して「〇〇様と呼べ」と言ったりするお子さんが、外では言っていないという場合もあります。使い分けができていて、一時的なブームのような場合には、家での許容範囲を広げるという対応もあるでしょう。

ゲームに負けてしまった場面など、テンションが上がったときにだけ暴言が出るようであれば、落ち着いたときに“そうしたことは言わない”ということを伝えます。興奮している状態だとそうした言葉が出やすいという本人の傾向も同時に伝えていくようにしましょう。一度伝えるだけでは難しいかもしれませんが、少し長めのスパンで繰り返し伝えていきます。

また相手を傷つけるような言動や、相手を不快にさせてしまう言動がある場合にも、対応が必要となります。

一律に「このワードはOK/NG」という線引きがあるわけではないのでお子さんに教えていくことはなかなか難しいかもしれません。特に相手の気持ちを想像することが苦手な場合などには、「相手が嫌がることはしない」などよりも「仲の良い〇〇さんや〇〇さんだけと使おう」「〇〇さんには××とは言わない」など明確なルールのほうが分かりやすいと思います。

例えば、お子さんを中心とした円を紙に描いて、お子さんと仲の良い友だちの名前を円の中に書き入れて、「(相手を下の名前で呼ぶのは)この中のお友だちにはいいけれど、円の外の人には使わない」など、視覚的に教える方法もあります。相手との関係性を図式化しながら伝えるとより分かりやすいかもしれませんね。

まとめ:反抗期の対処法って?

子どもの乱暴な言葉遣いや反抗的な態度に、保護者としてもイライラしてしまうことがあるかもしれません。一方で、全面的に禁止したり、厳しく言い過ぎたりすると逆効果のこともあるでしょう。

子どもの言動が、相手を傷つけてしまっているのか、あるいは「やりたくねえよ」など荒い言葉遣いになっているだけなのかという点から対応を検討していってもいいと思います。

小学校入学以降から思春期くらいまで、一時的に荒っぽい言葉遣いが出てくるお子さんは決して少なくありません。相手を傷つけているわけではない場合には、少し許容範囲を広げるのもひとつです。そして「これだけは変えてほしい」という言葉については、「〇〇という言い方をしてほしい」と端的に具体的に伝えるのもいいでしょう。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

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