横浜国大篠沢さん 羽沢の魅力を発信 地域情報誌を制作
横浜国立大学の篠沢耕太さん(修士2年)が羽沢エリアの生活情報などをまとめた冊子『ようこそ羽沢』を制作した。羽沢横国まちづくり協議会での活動の一環として、新規住民への地域情報の発信に取り組んだ。冊子は羽沢横浜国大駅前のマンションのほか、羽沢南町内会の全戸にも配布されている。
篠沢さんは、所属する建築計画研究室を通して、大学4年生時に同協議会の活動に参加。広報担当として、まちづくりニュースの発行などに取り組んできた。
同協議会では、まちづくりプロジェクトの一つとして、2024年2月に入居が始まった高層マンション「リビオタワー羽沢横浜国大」の新しい住民に、地域情報を発信する「ウェルカムパッケージ」に取り組む。そこで篠沢さんは、自身の卒業研究と合わせて、昨年10月頃に羽沢南町内会を中心とするエリアの生活情報などをまとめた冊子の制作を始めた。篠沢さんは、「新住民が増えるこのタイミングが、地域情報を発信する一番の好機と思った」と話す。
住民アンケート調査
こだわったのは、既存の住民が「知ってもらいたい」情報と、新しい住民が「知りたい」情報を届けること。前者では、協議会が進めるまちづくりプランや、羽沢南町内会のサークル活動や年間行事、ゴミ出しのルールや地域の歴史などをまとめた。また、昨年度に建築学科の後輩たちが作った「はざわっ子検定MAP」も紹介している。
後者については、マンションの住民を対象としてアンケート調査を実施。防災や地域の特産品(直売所)の情報を求める声が多いという結果が分かった。そこで、区役所が発行しているマップを羽沢エリアにフォーカスして掲載した。
なかでも力をいれたのが「はざわのおたからマップ」だ。これは、美味しいパン屋やおすすめの散歩道、子どもとの遊び場、眺望のいいポイントなどをまとめたもの。同町内会のメンバーへの聞き込み調査に加え、羽沢を舞台にした大学のイベントで、参加者におすすめスポットを地図に書き込んでもらうなどして、地域のリアルな声を集めた。「ネットで調べてもなかなか見つからない、地域に住む人だけが知っているご近所情報は貴重。マップを手に実際にまちに出て、そこから地域への愛着や人との交流が広まってくれれば嬉しい」と思いを語る。
完成した冊子はマンションの住民に配布。さらに、既存住民にも十分有益な内容であることから、同町内会の全戸に配られることも決まった。「冊子を見てとても喜んでくれて。多くの人の元に届けられるのは嬉しい」と篠沢さんは笑顔で振り返る。
地域のパワー実感
冊子の制作を通して、改めて感じたのが羽沢地域の人々のパワー。「特に町内会の方々は、色んなイベントの準備や運営を行ったり、強い熱意をもって活動しているのが伝わってきた。こうした方々の支えがあって地域が成り立っていると改めて実感した」と大学1年から暮らす地域の魅力を語る。
3月に卒業を控え、「実際に冊子がどこまで住民の行動変容につながったかまで調査できないのは心残り」と話す篠沢さん。「今回をきっかけに、(同じまちづくりエリアの)保土ケ谷区常盤台を紹介する冊子もできれば嬉しい」と後を託した。