〈大和郡山市〉国史跡 郡山城跡内で野外舞台「能楽公演」が開催されました
柳澤吉里 郡山入部300年記念「郡山城 能楽公演」
江戸の流儀に則り、野外での開催
今年は、郡山藩主である柳澤吉里が甲府から大和国郡山に入部(享保9年/1724年)してから300年の節目の年。その記念事業として、10月5日(土)、奈良県大和郡山市の郡山城跡内にて能楽公演が行われました(柳澤文庫保存会主催)。
前日までの雨が打ってかわり素晴らしい晴天で、公益財団法人郡山城史跡・柳澤文庫保存会理事長 柳澤とも子氏の挨拶、上田清大和郡山市長の挨拶で始まりました。今回の能楽公演は、江戸時代の流儀に則り、野外に設置された舞台での公演、約250人が来場し能舞台を楽しみました。
柳澤家郡山藩初代藩主である柳澤吉里と5代将軍綱吉の側近であった父・吉保親子は、能好きで知られています。また、3代藩主の柳澤保光も学問や歌学に長け、能楽をこよなく愛したことから、二の丸屋形(現郡山高校)内に、能舞台を作っています。
これにより宝生流能楽が郡山の地に根付き「郡山宝生」と称されるまでに至りました。
狂言「福の神」
能「高砂」
今回開催された能楽公演では、柳澤家に残る演能の記録にもある当時の演目を再現。
能奉行による口上から始まり、天下泰平・国土安穏を祈る「翁」を謡のみで演じる素謡(すうたい)という形式で行い、翁舞の後に続く「三番三(さんばそう)」を独立させて演じる狂言舞。そして浄めの火として灯される「火入れの儀」、狂言「福の神」、能「高砂」といった演目でした。
【演目】
素謡「翁」 宝生流能楽師 辰巳満次郎
「三番三」 大蔵流狂言師 茂山忠三郎
狂言「福の神」 茂山忠三郎
能「高砂」 辰巳満次郎
来場者からは、「晴天の中での開放感と、目が合う距離で観れたのがなかなか迫力があった」や、「あまり能には詳しくないけど、聞いたことのある詩やセルフはこの場面かぁ〜と知れておもしろかった」などの声がありました。
また、上田市長からのお話の中でもあった、今回翁を務めた能楽師 辰巳満次郎氏が常々言われている「能楽は引き算の美学」という言葉がとても印象に残っています。
江戸時代以降の文化では、演じることにおいてより分かりやすく、面白さをどんどん足していったものが多いが、能楽というのはよりシンプルに、鑑賞者の想像力を引き出す演出だそう。「見えぬものを観る」「聞こえぬものを聴く」そんな楽しみ方を知れる楽しい舞台でした。
今後も300年記念のイベントが続きます。詳細は、柳沢文庫保存会のHPをぜひチェックしてみてください。
施設情報
名称:柳沢文庫
ふりがな:やなぎさわぶんこ
住所:大和郡山市城内町2-18
開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜・第4火曜(祝日の場合は開館)
入館料:一般300円、高校・大学生200円、中学生以下無料
TEL:0743-58-2171