【中学受験2025】時事問題と勉強のポイント
新紙幣、選挙など2024年の時事ニュース5大テーマ
さまざまな出来事があった2024年。その中から注目すべき時事を5つ選出しました。
気候変動と自然災害
令和6年能登半島地震(1月)、線状降水帯、土砂災害、ハザードマップ
1月1日に石川県能登地方でマグニチュード(M)7.6(暫定値)の地震が発生し、羽咋郡志賀町では最大震度7、そのほかの地域でも震度6を記録。朝市で有名な輪島の町は地震が原因の出火により大きな被害を受けました。
夏になると豪雨による被害が各地で報告されました。能登半島地震で被害のあった地域でも豪雨によって二次被害を受けた地域もありました。 自然災害は毎年のように起こっており、出題する学校も増えています。線状降水帯や土砂災害の発生原因、ハザードマップの目的などに注目してみましょう。
新紙幣の発行
7月に20年ぶりの新紙幣。肖像となった人物の歴史やその時代の世相・出来事に注目
新紙幣を発行する理由はなんでしょうか。理由の一つには偽造対策があります。長い間デザインが同じだと偽札を作りやすくなるのです。新紙幣ではその対策として新たに3Dホログラムなどが採用されています。さらに、偽造対策以外の工夫として、子どもや外国人にも分かりやすくするために、今までの漢数字の「壱万円」と、アラビア数字の「10000」の位置が入れ替わりサイズも大きくなりました。一万円札(表:渋沢栄一 裏:東京駅丸の内駅舎)、五千円札(表:津田梅子 裏:藤の花)、千円札(表:北里柴三郎 裏:『富嶽三十六景』)の表裏のデザインも覚えましょう。
佐渡島の金山
7月に佐渡金銀山が世界文化遺産として登録
佐渡島は新潟県の北部、日本海に浮かぶ島です。面積は約855㎢で日本海側で最大、日本全体で見ても、主要四島を除き、択捉島、国後島、沖縄島についで4番目に大きい島です。
世界遺産は自然遺産、文化遺産、複合遺産の3つに分類されます。「佐渡島の金山」の登録により、日本の世界遺産は自然遺産が5件、文化遺産が21件の計26件となりました。ただし、日本に複合遺産はありません。世界遺産の選定は国際連合の専門機関であるユネスコ(国連教育科学文化機関)が毎年行っています。
選挙
東京都知事選(7月)、新首相誕生と衆議院選(9月、10月)、兵庫県知事選(11月)、アメリカ大統領選(11月)
立法権、行政権、司法権など三権分立のしくみや、日本国憲法など公民問題は多くの学校で出題されますが、覚える用語も多いことから、苦手にしているお子さまも多いようです。今年は国内で知事選、衆議院選など大きな選挙がありました。実際の選挙をもとにしてどのような仕組みで実施されるのか理解していくとよいでしょう。また今年はアメリカ大統領選もありました。同国の大統領が変わることで日本に影響があるのかなど、日本とアメリカの関わりという視点からも押さえておくとよさそうです。
世界紛争とノーベル平和賞
紛争が続くパレスチナ問題、ロシアによるウクライナ軍事侵攻
国際社会の知識も重要です。2023年10月に、ハマスなどのパレスチナ武装勢力が、ガザ地区からイスラエルへ攻撃を開始し、現在も続く戦闘で多数の死者が発生しています。また、2022年にロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始し、未だに解決の兆しが見えません。3月には、それまで中立の立場を取っていたスウェーデンがNATOに加盟しました。このような緊迫する世界情勢の中で、11月には、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)がノーベル平和賞を受賞しました。これらに関連して、中東情勢や冷戦、NATO、核兵器に関する知識も押さえておきましょう。
そのほかの時事ポイント
インターエデュでは毎年御三家・難関校の入試問題を掲載していますが、過去の問題を見ると理科や社会には以下の傾向が見られます。
・オリンピックの問題
今年はパリで夏季オリンピックが開催されました。これに関連して、オリンピック周辺の知識も問われる可能性があります。日本では、1964年の東京オリンピック(夏季)、1972年の札幌オリンピック(冬季)、1998年の長野オリンピック(冬季)、2021年の東京オリンピック(夏季)と、計4回オリンピックが開催されています。2021年の東京オリンピックは、新型コロナウイルス感染症の影響で、2020年から1年遅れての開催となりました。これらに関連して、フランスの地理や歴史、日本のオリンピックについて復習しましょう。
・新幹線の問題
3月に北陸新幹線が延伸され金沢・敦賀間が開通しました。新幹線が走っている地域は社会の問題に出やすい傾向があります。現在開通している新幹線は、北海道新幹線(新青森~新函館北斗間)、東北新幹線(東京~新青森間)、秋田新幹線(盛岡~秋田間)、山形新幹線(福島~新庄間)、上越新幹線(大宮~新潟間)、北陸新幹線(高崎~敦賀間)、東海道新幹線(東京~新大阪間)、山陽新幹線(新大阪~博多間)、九州新幹線(博多~鹿児島中央間)、西九州新幹線(武雄温泉~長崎間)です。北陸新幹線の延伸区間の地理や、日本各地の新幹線について、理解を深めておきましょう。
・周年の問題
2024年入試では関東大震災から100年、鉄道開業150周年などの問題が出題されました。ちなみに今年は東海道新幹線が開通して60周年でした。前述した新幹線の問題同様、走行地域の特徴や特産物は何かなど、注目してみてください。
・天体の問題
天体(主に月・太陽・地球の動き)に関する問題もその年に起きた天文現象から出されることがあります。今年は土星食が7月、12月と2回もあり、10月には久しぶりの大彗星となった紫金山・アトラス彗星が話題になりました
時事問題の学習ポイント
広範囲にわたって出題される時事問題。学習方法のポイントについてもうかがいました。
「自分ごと」として捉え知識を広げる
「時事問題では、つい用語を丸暗記させようとする保護者さまが多いですが、ニュースで報道されていること(言葉など)を直接問われるのではなく、その周辺に絡めた問題が出題されることが多いです。日頃から新聞やニュースを見て、見聞きした報道を『自分ごと』として捉え、知識を広げることが大きなポイントです。
ニュースを見聞きするとき(重大ニュースの冊子を読むとき)は、
1. それはどこ?(場所を地図で確認)
2. どういうこと?(誰が(何が)、何を、どうした)
3. そうなると、どうなるの?(そのことでどんな影響があるか)
4. あなたならどうする?(自分ごととして考える)
この4点を押さえて読むことを習慣にしましょう。」
動画で解説!時事問題対策Q&A
エデュナビでは教育家の小川大介氏にも時事問題対策について解説いただいています。詳しい学習法は動画でも紹介していますのでご参考ください。
>>「塾なし中学受験!時事問題対策はいつ・どのくらい?受験日までの過ごし方もご紹介」
編集後記
2024年の筑波大学附属駒場中学校の社会では、大問1〜3まで時事テーマがベースとなっており、実際に起きた出来事と密接した問題が出題されました。時事問題は直接問われることがないとはいえ、「あ、この話題聞いたことがある」「これはニュースでも見た」と前知識があることで、問題への取り組み方も変わってくるでしょう。
年末にはテレビや新聞などで今年のニュースをおさらいするような特集が組まれます。そうした情報を利用して、ぜひご家庭でお子さまと語り合いながら取り組んでみるとよさそうです。
【情報提供・解説協力】
進学個別指導塾TOMAS
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