宮向団地 若者が認知症カフェ 「顔の見える関係」めざす
高齢化の進む宮向団地で暮らす若者が、友人らと一緒に「認知症カフェ」を立ち上げた。昨年7月から月に一度のペースで実施しており、次回は3月8日(土)午前10時〜午後1時に団地の集会所で行われる。
認知症カフェとは、認知症の当事者や支援者をはじめ、地域住民が気軽に集うことのできる集まりのことを指す。団地の名前を冠した「むかいクラブ」を運営しているのは、団地の住民で看護師資格を持ち、認知症カフェモデレーターとして活動する眞田拳奨さん(29)。大学時代の同級生や看護師時代の同僚らが運営スタッフとなり、昨年夏から毎月開催している。
もともとは障害者支援やインクルーシブ活動をテーマに、高齢や障害等の有無にかかわらず行きたいところに行けるユニバーサルツーリズムや視覚障害者による焙煎珈琲事業などに関わってきた眞田さん。在住4年目となる宮向団地で管理組合に関わる中で、団地の高齢化を実感し、外出が難しく集まる場所のない住民の「困ったときに顔の見える関係づくり」や認知症への理解促進を目的に、認知症カフェを立ち上げた。
集会所で毎月開催
参加費は300円で、毎月第1または第2土曜日の開催。これまでに、認知症マフ(認知症の人が両手を入れて触覚や視覚などを用いたケアに活用される筒状のニット製小物)作りやスイカ割りなどを実施した。
2月の開催時には、90代の女性から普段集会所で遊んでいる小学生まで幅広い年齢層が参加。コーヒーやお茶を飲みながら、集会所にあった昔の団地の記録写真を眺めて昔話に花を咲かせた。
またこの日は眞田さんが「もしも身近な人が認知症になったら」とのテーマでミニ講話を実施。「色々な人と関わりを増やしていきましょう」と呼びかけた。
眞田さんによれば宮向団地で暮らす住民1800人のうち、約半数近くが後期高齢者だという。この日参加していた団地のシニアクラブ「寿会」の石川利雄会長(84)は「シニアクラブでも認知症講座を毎年開催しているが、若い人たちがこうした活動をしてくれるのはいいこと」と語る。
眞田さんは「背伸びせずに集まれるような場所になれば」と今後の展望を語った。