通学は公共交通で!三陸鉄道乗り方教室 釜石東中生が体験 高校進学後の利用促す
三陸鉄道乗り方教室は8月27日、釜石市で開かれ、鵜住居町の釜石東中(髙橋晃一校長)の3年生(23人)が鉄道の利用の仕方などを学んだ。岩手県三陸鉄道強化促進協議会の事業の一環。乗車機会の少ない沿線中学生を対象に実施し、進学後の通学定期利用などを促そうとする試みだ。
教室には生徒のほか、保護者らも参加した。講師は、釜石駅の山蔭康明駅長。学校行事などで三鉄を利用したことがある生徒たちはホームに記された黄色い線の内側で臨時列車の到着を待った。
県沿岸部を走る三鉄はワンマン運転を行っている。山蔭駅長は、車掌が乗務せず運転士だけで運行していることを伝え、「車両は(進行方向)前方のドアが開く。乗り降りの時は一番前から」と教えた。そして、乗車の際には整理券発行機から整理券を取ることも加えた。
生徒らを乗せた臨時列車は、山田駅との間を往復。走行中、山蔭駅長が車内に設置された運賃表の見方や運賃の支払い方などを説明した。支払いに関し、両替機が備えられ1000円札の両替はできるものの、「なるべくおつりがないよう小銭を準備して乗ってほしい」と求めた。定期券や企画乗車券など“お得な情報”も紹介した。
山蔭駅長は三鉄と共に歴史を刻んでいる入社1期生。東日本大震災、台風、コロナ禍など幾多の苦難を国内外からの支援を力に乗り越えてきた歩みにも触れ、鉄路の維持、公共交通の必要性を語った。近年、人口減により利用者数が伸び悩むなど経営は厳しさを増すが、「運転免許を持たない高齢者や学生など公共交通機関を必要とする人もいる。だからこそ、ずっと走り続けていかなければいけない」と力を込めた。
途中、映画「すずめの戸締まり」に登場する織笠駅で停車。下車した生徒らは駅舎などをスマートフォンのカメラで写したりし、列車旅の雰囲気も味わった。個人的に利用することはこれまでなかったという菊池大舞(ひろむ)さんは「整理券を取り忘れそうになった。景色がいいところだったり乗らないと分からない事があって楽しかった。友達と遊びに出かける時に利用してみたい」と笑顔を見せた。
山蔭駅長は「マイレール意識を」と利用を呼びかけつつ、多岐にわたる鉄道の仕事も紹介。「地域の足を守る、地域のためになる仕事をしたいと思ってもらえたらうれしい。一緒に働きましょう」と期待を込めた。