「明日は我が身」命を守るため“半日の猶予”にすべきこと/気象予報士が解説「線状降水帯」
これから台風など、大雨シーズンに入ります。
命を守るため、注目したい天気予報のワードがあります。
「線状降水帯」です。
線状降水帯とは何か?発生するとどんな被害につながるのか?
HBCウェザーセンターの児玉晃(こだま・あきら)気象予報士が解説します。
74人もの犠牲が…
甚大な被害をもたらす「線状降水帯」。
5月27日から、予測の運用が新しくなりました。
まずは、発生すると何が起きるかから振り返ります。
10年前、2014年8月の広島。
住宅街で大規模な土砂災害が発生し、74人もの方が犠牲になりました。
その翌月の9月には、札幌でも大雨が発生し、望月寒川が氾濫。
北海道で初めて、大雨の特別警報が発表されました。
そして、2015年9月には茨城県で鬼怒川が決壊し、町全体が水没。甚大な被害が出ました。## 「線状降水帯」とは?
そのときの雨雲の様子です。
活発な雨雲が、線状に連なって、同じところに流れ込み続ける様子がわかります。
線状降水帯発生のメカニズムを、CGを使って立体的に見ていきます。
暖かく湿った空気が流れ込んで、雨雲が発達し、それが上空の風に流されます。
風向きが変わらないと、同じところで次々に雨雲が発達し、線状に列ができます。
これが「線状降水帯」と言われ、集中豪雨が発生するんです。
予測の精度が向上
線状降水帯が発生する半日前から、予測情報が出ます。
これまでは北海道地方という区分=北海道のどこかで発生するという発表の仕方でしたが、予測精度が向上したため、「石狩・空知・後志地方」など、道内7地方に分けて発表できるようになりました。
この情報が出たら、何をしたらいいのか。
「半日の猶予」があるので、まずは非常食など防災グッズ、そして避難所の確認もしておきましょう。
そして、雨が強まりだしたら、自分から積極的に情報を入手してください。
「キキクル」と検索すれば、スマホの位置情報と連動して、今いる場所に危険が迫っていないか、すぐに確認できます。
万が一、避難に間に合わなかった場合は、垂直避難です。
なるべく高いところで、崖などから離れた部屋で待機しましょう。
大雨には5段階の警戒レベルがあります。
線状降水帯の半日前の予測は、「レベル2」相当ですが、「レベル3」になると警報、「レベル4」は土砂災害警戒情報などが出るほど危険が迫ります。
「レベル5」は災害が発生している可能性が高いため、「レベル4」までに避難を完了しましょう。
2016年には、北海道に台風が5つも接近、または上陸しました。
地球温暖化で海水温が高くなれば、雨雲も発達しやすく、台風も勢力を維持したまま北海道に近づきます。
つまり、「線状降水帯」は本州に限った話ではありません。
明日は我が身と思って、対策をしましょう。
文: HBCウェザーセンター 気象予報士 児玉晃
HBCテレビ「今日ドキッ!」の番組内でも独特(?)なイラストを使って天気をお伝えしています。
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編集:Sitakke編集部IKU