AI搭載ロボットをリハビリに導入、四日市のみたき総合病院、患者の意図を読み取って支援
脳卒中の後遺症で自由を失った手指のリハビリにAIが活用されている。四日市市のみたき総合病院が、AI搭載の次世代リハビリテーションシステムを東海地方で初めて導入した。手指を動かそうとする患者の意思を瞬時に読み取り、近未来的なデザインのロボットアームが補助する。
〇「動かしたい」を読み取る
リハビリの様子を見学した。後遺症の麻痺で手指が握ったままの状態になった患者にロボットアームを装着。見かけはゴツイが、部品の多くに合成樹脂が使われていて軽く、負担はない。
前腕など数か所にセンサーを着け、患者が指を伸ばそうと意識すると、本体のAIコンピューターが筋肉からの微細な信号を読み取り、患者が何をしたいのかを分析してロボットアームを動かし、手指の動きを補助する。
実際のリハビリの様子。コンピューター画面で効果が視覚的に確認できる
「これだと、ずっと楽です」と患者の男性。自分の力だけでは難しかった動きが楽にできるという。曲げ伸ばしを繰り返すことで、手指を動かす感覚を覚えられ、筋力を衰えないようにする効果もある。「できた」と感じる成功体験になり、次の訓練に臨む勇気もわくという。
〇熟練度問わず、患者にも医療現場にも使いやすい
みたき総合病院が導入したのは、医療機器「MELTz手指運動リハビリテーションシステム」。試験採用を経て、6月に正式採用した。九州での学会で説明を聞いた脳神経外科部長の池田浩司さんは「リハビリを進めるには機器類の細かい設定などが必要だが、AI搭載で使いやすく、助けになると思えた」と話す。
実際、リハビリ内容の指示や、効果の確認がコンピューター画面を見ながらできて操作しやすい。現場では若い作業療法士らも多く、これなら熟練度に左右されずに、効果的なリハビリが提供できるという。
〇回復に希望もてるよう
「MELTz」は対象物を認識できるため、「つまむ」という難度の高い訓練にも対応できるようになった。試験導入から中心になって扱ってきた作業療法士の木山喜史さんは「『MELTz』と相性のいい人では回復がめざましい。人によって使用が難しいケースもあるが、より多くの患者に効果が得られるよう、データを積み重ねていきたい」と話している。
リハビリテーション科部長の丸山高志さんは、「後遺症が残り、諦められている患者さまに知ってもらい、希望を持ってもらえれば」と話している。