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 【お金】知っておきたい「贈与税」の範囲!賢く贈与を受けるための“節税法”もわかりやすく解説

ウレぴあ総研

核家族化が進む現代において、高齢世代が子や孫の生活を経済的に援助するケースは珍しくありません。

住宅購入の頭金や教育費、あるいは急な出費への補助など、その形は様々ですが、なにかと出費の多い現役世代にとっては大変ありがたいものでしょう。

しかし、こうした温かい支援を受けたために「贈与税」が発生する可能性があることは認識したいものです。

漠然と「年間110万円までなら非課税」という言葉を聞いたことはあっても、具体的にどのような場合に贈与税がかかり、どのように計算されるのか。そしてどのようにすれば合法的に税負担を減らせるのか、正確に理解している方は少ないでしょう。

2024年に贈与税に関する大きな改正も行われたため、これまで以上に制度内容を理解した上での戦略的な贈与が求められています。

親世代から家計補助を受けるなら、贈与税に要注意!

親や祖父母からの経済的な援助は、子や孫にとって大変ありがたいものです。しかし、その援助が「贈与」とみなされ、贈与税の課税対象となる場合があることを認識しておく必要があります。

贈与税とは、個人から財産を贈与によって取得した場合にかかる税金です。年間110万円の「基礎控除」があり、この金額を超えた部分に対して贈与税が課税されます。

例えば、親から子へ年間200万円の現金を贈与した場合、基礎控除110万円を差し引いた「90万円」が課税対象となります。また、贈与税は「贈与を受けた人」が負担するものですので、親から子への贈与の場合は「子」が贈与税を支払うことになります。

なお、基礎控除は「贈与を受けた人1人あたり」年間110万円ですので、親世代が援助をしたい子世代・孫世代の人数が多ければ、無税で家族間の贈与を行える金額は大きくなります。

たとえば子世代が2名、孫世代が3名いるのであれば、年間で110万円✕5名=550万円までは、無税で子世代・孫世代への贈与を行うことが可能となることは押さえておきましょう。

ハピママ*

贈与税は実際いくらかかる?対象となるケースの具体例

民法上、扶養義務者(親や祖父母など)が、その扶養する者(子や孫など)の生活費や教育費に充てるために贈与した財産については、必要な都度、直接これらにあてられるものであれば贈与税はかかりません。ただし、この「生活費」「教育費」の範囲は以下のように限定的であり、注意が必要です。

生活費::日常の生活を送るために通常必要な費用(食費、家賃、医療費、公共料金など)が該当します。社会通念上相当と認められる範囲内であることが条件です。

教育費::学費、教材費、文具費、通学定期券代、修学旅行費など、教育を受けるために通常必要な費用が該当します。こちらも社会通念上相当と認められる範囲内である必要があります。

たとえば、子世代がすでに自家用車を所有しているにも関わらず、親世代が子世代にもう1台高級車をプレゼントすることなどは、車の価格分の「贈与」が起きていると認定され、後日に税務署から贈与税の納付を求められる場合がありえます。

他にも、親から子へ高額な海外旅行費用や趣味に使うためのまとまった資金が渡された場合などは「生活に必要な費用」とはみなされにくく、贈与税の対象となる可能性が高いでしょう。

具体的な例として、18歳以上の子が親から500万円を「暦年贈与」で受け取った場合の贈与税額をシミュレーションしてみましょう。暦年贈与とは、1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額に対して課税される制度です。

贈与税の計算は以下のステップで行われます。

(1)贈与財産の合計額を計算する。

(2)基礎控除額(年間110万円)を差し引く。

(3)課税価格に税率をかける。

基礎控除後の金額(課税価格)に応じて、税率と控除額が適用されます。

贈与税の税率は「特例贈与」と「一般贈与」で異なります。特例贈与とは直系尊属(父母や祖父母など)から、その年の1月1日において18歳以上(2022年3月31日までは20歳以上)の子や孫への贈与に適用される税率、一般贈与とは特例贈与に該当しない贈与に適用される税率です。(例:兄弟間の贈与、夫婦間の贈与、親から未成年の子への贈与など)

今回は「親から子への贈与」であり、子が18歳以上なので「特例贈与」に該当します。

贈与財産の合計額:500万円
基礎控除額:110万円

課税価格は、500万円 ー 110万円 = 390万円となります。この390万円を、国税庁が定める特例贈与の速算表に当てはめて計算します。

ハピママ*


国税庁タックスアンサー No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税) 

基礎控除後の課税価格:390万円
税率:15%(「400万円以下」の欄を参照)
控除額:10万円

よって、この場合の贈与税額は390万円✕15%-10万円=48.5万円となります。

本来受け取れた贈与額500万円の約10%が税金として引かれてしまうことになりますので、贈与のありがたみも減ってしまいます。親などからまとまった金額の贈与を受けるときは、適切な節税対策をしていくことが特に重要です。

ハピママ*

賢く贈与を受けるための節税法とは

贈与税にはいくつかの非課税制度や特例があり、これらを活用することで税負担を大幅に軽減することが可能です。

ここでは、主な節税方法をいくつかご紹介します。

1:暦年贈与の基礎控除(年間110万円)を最大限活用する

最も基本的な節税方法が、年間110万円の基礎控除を毎年活用していくことです。

例えば、年間110万円ずつ10年間毎年贈与すれば、合計1100万円を無税で贈与することが可能です。

ただしこの手法を使う場合は、税務署から「連年贈与」とみなされないよう注意が必要です。

連年贈与とは、当初から複数年にわたって贈与する計画があったとみなされることで、一括贈与と判断されて贈与税が課されるリスクがあります。

これを避けるために、毎年贈与契約書を作成する、贈与する金額を毎年少しずつ変える、贈与の時期をずらすなどの対策が有効とされています。

2:相続時精算課税制度を活用する

2024年の税制改正により、より使いやすくなったのが「相続時精算課税制度」です 。

この制度は、子世代が贈与を受けた時点では一定額まで贈与税を納めずにすませ、贈与者(親)が亡くなった際に、その贈与財産と相続財産をまとめて「相続税」として精算する仕組みです。

この制度を選択すると、特定受贈者(贈与者の直系卑属である子や孫)は、特定贈与者(贈与を行う者)から累計2500万円までの贈与について贈与税が非課税となります。

さらに2024年1月1日以降の贈与から、相続時精算課税制度を選択した場合でも、年間110万円の基礎控除が創設されました。

この基礎控除は、2500万円の特別控除枠とは別に利用でき、この金額までの贈与は相続発生時に相続財産に加算されません。つまり、年間110万円までは完全に非課税で贈与できる上に、2500万円までは将来の相続時に精算される形になります。

相続時精算課税制度は、暦年贈与と比較して、より大きな金額を計画的に贈与したい場合に非常に有効な選択肢となります。

ただし、一度この制度を選択すると、その贈与者からの贈与については暦年贈与に戻すことはできませんので、慎重な検討が必要です。

3:教育資金の一括贈与の非課税制度

直系尊属(父母や祖父母など)から30歳未満の子や孫に、教育資金として一括で贈与する場合は、最大1500万円までが非課税となる制度です。

これには学習塾や習い事の費用なども含まれますが、金融機関等を経由して手続きを行う必要があり、領収書などを提出して使途を証明する必要があります。

4:結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度

直系尊属(父母や祖父母など)から、18歳以上50歳未満の子や孫に、結婚資金や子育て資金として一括で贈与する場合、最大1000万円(結婚資金は300万円まで)が非課税となる制度です。こちらも金融機関等を経由して手続きを行う必要があります。

このような特例制度を使いこなすことで、贈与税を支払うことなく、まとまった資金を受け取ることが可能になります。

ただし、制度を利用するためにはそれぞれ細かい条件や手続きが定められているため、利用する際は必ず事前に詳細を確認し、不明な点があれば専門家に相談することが重要です。

【執筆者プロフィール】
山田 圭佑(KYお金と仕事の相談所 所長)


キッズ・マネー・ステーション認定講師、
国家資格キャリアコンサルタント、ファイナシャルプンナー技能士2級・AFP、琉球古典音楽 野村流伝統音楽協会 歌三線 師範、八重山古典民謡保存会 歌三線 教師

東京都出身。大学入学と同時に沖縄県へ移住。大学卒業後、沖縄県庁にて18年間奉職した後にキャリアチェンジ。現在はフリーランスのキャリアコンサルタント・ファイナンシャルプランナー・歌三線師範として幅広く活動。2022年7月に「KYお金と仕事の相談所」を開設。所長を務めている。

(ハピママ*/キッズ・マネー・ステーション)

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