デジカメ出荷7年ぶり増加!「最新」「古いもの」両極端のデジカメが人気の理由
今日はデジタルカメラの話題です。
最新デジカメ 動画機能が人気
カメラ映像機器工業会によると、去年のデジカメの世界の出荷台数は849万台で、前の年より10%増え、7年ぶりに増加しました。スマートフォンが当たり前の時代に、デジカメが人気というのは面白いなと思いますが、その背景や、人気の傾向について、キヤノン株式会社イメージング事業本部 中西務さんに伺いました。
キヤノン株式会社イメージング事業本部 中西務さん
これまでは、カメラというと旅行だったり、イベント、そういった使われ方が多かったんですが、今はSNSに代表される、自分のクリエイティビティとか自分を発信するようなコンテンツを作成するためにデジタルカメラを使うということが非常に増えてきていると思います。高性能なものも当然人気ですし、あとは動画機能に特化したというか、かなり力を入れた機種も非常に人気が盛り上がってきています。動画ですので当然音声へのこだわりだったり、ワイドの画角で撮れるとか、長時間動画が撮影できるとか、そういったところに非常にこだわりを持って設計・開発を行っています。あと撮り方で言うと色味だったり、表現の幅はやはりカメラの方が広いですので、スマホにはできないことということで、カメラが今、人気を博しているのかなと思います。
今はデジカメで動画が撮れる、しかもいろんな撮影モードが選べるのもデジカメならではということで、デジカメで撮影して、それをSNSに載せる人が多いんです。
キヤノンの中西さんも想定以上の需要に驚いていました。キヤノンとしても、さらに動画に特化した機種の開発を進めているそうで、例えば、カメラの中にファンが入っていて、温度が熱くなりすぎないようにすることで長時間の動画撮影もできるなど、需要に合わせて工夫しているそうです。
古いコンデジがエモい!「写りが悪いカメラありますか?」
最新のデジカメ、特に動画機能が人気ということでしたが、最新のものが人気を集める一方で、実は今「古いデジカメ」も注目されています。正反対の流行のように感じますが、どういうことなのか秋葉原の中古カメラ買取・販売店 東京CAMERA株式会社セールスマネージャー 斎藤直樹さんのお話です。
東京CAMERA株式会社セールスマネージャー 斎藤直樹さん
今「エモいコンデジ」っていうのが流行っているんですよ。今から10年、20年前にみなさんが使われていた古いコンパクトデジタルカメラのことを指します。小さいカメラで、レンズが付いていて、バッテリーを充電して入れて、本当簡単に気軽に使えるカメラのことです。このコンパクトデジタルカメラの結構古いものは、今でいう「エモい」、そういった写真が撮れるので、そういったところが結構ウケているんではないかと思います。今はもうある意味ピークにきていると思うんですけども、だいたい今から2、3年くらい前から、だいぶお客様がコンデジを求めて来られるようになりましたね。画質が粗いものというよりは、本当にストレートに「写りが悪いカメラありますか?」って来られるんですね。
「エモい」というのは、エモーショナル(感情的な)という言葉から来ていて、心や感情が揺さぶられるような、なんとも言えない気持ちを表現しています。「写りが悪い、画質が粗い」というのが、10代~30代くらいの若者にとってはいわゆる「エモい」いい雰囲気になる、と人気だそうです。
フィルムカメラもずっと人気でしたがフィルムの価格高騰などもあって、手軽に撮影できる「コンデジ」、コンパクトデジタルカメラに流れた人が多いということでした。
店内のデジカメは、だいたい1万円~3万円ほどのものが並んでいて、店内にあるのは古い機種、もう生産が終わっているデジカメがほとんどなので、貴重なものを買い求めて多くの方が来店します。
コンデジの魅力は
お店に来た人に、古いコンデジ、コンパクトデジタルカメラの魅力について聞いてみました。
「SNSで結構古いカメラで撮った写真をアップしている人がいて、それが雰囲気がいい。人の顔とか撮ってもいい感じに撮ってくれるので、それが結構いいと思います。携帯でなんでも済ませちゃうじゃないですか、今って。カメラ専用でできるっていうのがまた新鮮。」
「小さい頃によく使ってて、また今になっていいなと思い始めて、来ました。一眼レフほど本格的じゃなくて、すぐパッと取り出して撮れるのがいいかなと思います。味があるというか、雰囲気良く撮れるので、買いたいです。またやりたいなって思いますね。」
「いろんなカメラがあるって聞いてこの店に来たんですけど欲しくなりますよね。持っていたんですけど、壊れちゃって。日常を切り取ったり、旅先の記録として使ったりしていました。レトロな絵が撮れたり、その画質の悪さが逆にエモいみたいなことを聞いたりはしています。」
取材にお邪魔した時間もどんどんお客さんが来ていて、カメラ人気を実感しました。この時期は卒業、入学シーズンということで、学生さんが多いそう。今は、アダプターを使うと、一瞬でデジカメから携帯に写真を移すこともできて手間がかからないところも人気だということでした。
新しいものと古いものが同時に流行っているのは面白いですよね。私も実家にあるコンデジ、もう一度使ってみようかなと思いました。
(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』取材・レポート:西村志野)