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伝説的傑作、ピナ・バウシュ版『春の祭典』を含む珠玉のトリプル・ビル公演が待望の来日

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『春の祭典』舞台写真

PARCO presents ピナ・バウシュ『春の祭典』/『PHILIPS 836 887 DSY』、ジェルメーヌ・アコニー『オマージュ・トゥ・ジ・アンセスターズ』来日公演が、2024年9月11日(水)~15日(日)、東京国際フォーラム ホールCにて行なわれる。出演は、アフリカ13か国から結集したダンサー35名。

ドイツ出身の振付家、ピナ・バウシュ(1940-2009)はダンスと演劇の境界を取り払うことで生まれた舞踊演劇(ダンス・シアター/タンツテアター)の第一人者であり、コンテンポラリーダンス史における巨星だ。そんな彼女の初期の代表作が、『春の祭典』(1975年、ピナ・バウシュ・ヴッパタール舞踊団により初演)。日本での上演は実に18年ぶりとなる。

『春の祭典』  Photo by Maarten-Vanden-Abeele ©Pina Bausch Foundation

セルゲイ・ディアギレフ主宰のバレエ・リュスに委嘱されてイーゴリ・ストラヴィンスキーが作曲したバレエ音楽『春の祭典』は、複雑なリズムや不協和音を多用したその革新性により、1913年のパリ初演でこそ騒動を巻き起こしたものの、やがて20世紀近代音楽の代表曲に数えられるようになり、多くの振付家や演奏家たちによって取り上げられてきた。なかでも、豊穣を願うための生贄に選ばれた女性が踊り続ける様を鮮烈に描き出すピナ・バウシュ版『春の祭典』は、歴史的傑作として語り継がれてきた。ピナ・バウシュ・ファンデーション(ドイツ)、エコール・デ・サーブル(セネガル)、サドラーズ・ウェルズ・シアター(イギリス)が共同製作する今回は、本プロジェクトのために選ばれたダンサーたちのリハーサルをピナ・バウシュ・ヴッパタール舞踊団のメンバーが指導し、初演の振付・演出をそのままに、新たな息吹を作品に吹き込む。

『春の祭典』  Photo by Maarten-Vanden-Abeele ©Pina Bausch Foundation

さらに今回の来日公演では、ピナ・バウシュがコレオグラファーとしての最初期に創作し、自らが踊った貴重なソロ作品『PHILIPS 836 887 DSY』をエヴァ・パジェが踊り、また、ピナ・バウシュ・フェローシップを通じて、ともに後進ダンサーの育成にもあたるなど、ピナと深い親交を持った“アフリカン・コンテンポラリーダンスの母”ジェルメーヌ・アコニーの振付・出演作品『オマージュ・トゥ・ジ・アンセスターズ』も同時上演する。これら2作品は、いずれも日本初演となる。

総勢50名を超える来日カンパニーによる珠玉のトリプル・ビル公演。コロナ禍の延期を経て迎える待望の来日公演は、東京のみでの特別上演となる。また、公演直前の9月9日(月)19時には関連イベントとして、ピナ・バウシュの子息にして、ピナ・バウシュ・ファンデーションの創設者・理事であるサロモン・バウシュによる来日トークイベントが、ゲーテ・インスティトゥート東京ホールで開催されることも決定している。

ピナ・バウシュ『春の祭典』舞台写真  Photo by Maarten-Vanden-Abeele ©Pina Bausch Foundation



【プロフィール】

ピナ・バウシュ Pina Bausch

ピナ・バウシュ  Photo by Ulli Weiss ©Pina Bausch Foundation

1940年、独ゾーリンゲン生まれ、ヴッパタールにて2009年没。エッセンのフォルクヴァンク芸術学校でクルト・ヨースに舞踊を学び、卓越した技術を身につけた。その後、ヴッパタール劇場機構ディレクターのアルノ・ヴュステンヘーファーの求めに応じ、ヴッパタール・バレエ団の芸術監督に就任。1973年秋からは、同団の名称を「タンツテアター・ヴッパタール」と改めた。当初は賛否両論がありながらも、この名称のもと、次第に国際的な知名度を獲得。その詩的な要素と、日常的な要素の組み合わせは、舞踊界の国際的発展に決定的な影響を与えた。数多くの受賞歴を誇り、現代における最も重要な舞踊家の一人である。

ジェルメーヌ・アコニー Germaine Acogny

ジェルメーヌ・アコニー  ©Jean Lebreton

セネガル系フランス人ダンサー、コレオグラファー、教師で、「コンテンポラリー・アフリカン・ダンスの母」として知られる。パリのエコール・シモン・シーゲルで学び、1968年に自身最初のダンス・スタジオをダカールに設立。ヨルバの聖職者でもあった祖母から受け継いだ舞踊の影響と、アフリカ伝統舞踊、西洋舞踊の知識を融合させ、独自のモダン・アフリカン・ダンスを生みだした。
1977年から1982年にかけては、ムードラ・アフリカ(ダカール)の芸術監督を務め、1985年にトゥールーズに移り、夫のヘルムート・ヴォクトとともに「Studio École Ballet Théâtre du 3è Monde」を設立。1995年にセネガルに戻り、アフリカの伝統・現代舞踊の国際的な教育センター、「エコール・デ・サーブル」を設立。1998年、自身のダンスカンパニー「Jant-Bi」を設立。代表作にアーバン・ブッシュ・ウィメンとの共作「Les écailles de la mémoire - Scales of memory」(2008)。ルワンダの大量虐殺を題材にした「Fagaala」は、2007年ベッシー賞を受賞。他にも主要作品に「Sahel」(1987)、「YE'OU」(1988)(1991年ロンドン・コンテンポラリーダンス・アンド・パフォーマンス・アワード受賞)、「Tchouraï」(2001)、「Bintou Were - a Sahel Opera」(2007)、[Songook Yaakaar」(2010)、「Mon élue noire - Sacre no.2」(2014)(「春の祭典」原曲に基づくオリヴィエ・デュボアによる振付、2018年ベッシー賞受賞)、[A un endroit du début」(2015)がある。
アフリカン・ダンス、アフリカン・カルチャーの使者として、世界各地の教育機関やダンス・センターとのコラボレーションや、マスタークラスの講師も務める。


【ピナ・バウシュ・ファンデーション 創設者、理事 サロモン・バウシュからのメッセージ】

サロモン・バウシュ  ©Uwe Schinke

めぐりゆく輪 : プロジェクトのはじまりについて

ピナ・バウシュ・ファンデーションの仕事は、ピナの作品をレガシーとして継承することにあり、『春の祭典』再上演のプロジェクトは、これまでの活動における大きな到達点となるでしょう。今回初めてピナ・バウシュ版『春の祭典』を演じるのは、古典的なダンスのトレーニングだけを受けたダンサーではなく、アフリカの伝統舞踊や、コンテンポラリーダンス、ヒップホップなど、全く異なる経験も持つダンサーたちです。アフリカン・ダンスの多くは大地との強い結びつきがあり、それはピナ・バウシュの『春の祭典』の重要な要素のひとつでもあります。

これまで、パリ・オペラ座バレエ団と、イングリッシュ・ナショナル・バレエ団が、ピナ・バウシュ版『春の祭典』を上演しています。このヨーロッパの2つの主要バレエ団とのポジティブな経験を経て、より多くのダンサーたちがピナ・バウシュの作品を学び、上演してくれることを願うようになり、そのためのより広い枠組みも描くことができないかと思うようになりました。

パリ、ロンドンでのリハーサルは、ピナ・バウシュのアンサンブルのオリジナル・ダンサーのひとり、ジョー・アン・エンディコットが指導し、続くセネガルでのリハーサルも彼女が担当してくれます。この『春の祭典』の新しいプロダクションを上演する目的は、新たなダンサーたちに振付を教え、ピナ・バウシュの作品に関する知識や経験を与えることだけではありません。作品は形式的には変更されませんが、それでもまったく異なる、まったく新しいものになることでしょう。ダンサーたちひとりひとりの個人的な創作の旅を通して、動きやリズム、感情の部分にいたるまで、作品に新たな影響を与えることを目指してきました。

長年にわたり、ピナ・バウシュ・フェローシップの受賞者たちが、エコール・デ・サーブルを訪れ、新たな知見を得るなど、ピナ・バウシュ・ファンデーションとエコール・デ・サーブルの間には、さまざまな接点がありました。そしてその度に、一緒に仕事をしたいという好奇心が生まれたのです。このように数多くの交流を経て、今回のコラボレーションに至ったことは、とても自然な結果であったと感じています。

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