「野町和嘉—人間の大地」サハラ砂漠に魅せられた写真家の50年にわたる足跡をたどる〈世田谷美術館〉
写真家・野町和嘉の集大成とも言える展覧会が、世田谷美術館で開催される。
1946年高知県に生まれ、写真家を志して上京した野町は杵島隆に師事した後、フリーに転身。そして25歳の時にサハラ砂漠を訪れた。
そこで大きな転機を迎えた野町は、蒼穹の下に開けた地平線と、古来より連綿と続く人々の営みに魅せられていく。サハラの写真が認められ各国のグラフ誌に掲載されるようになり、野町はさらにエチオピア、チベット、サウジアラビアと、外部の者が容易には近づくことのできない土地を目指したのである。
50年余の長きにわたって同じ土地を繰り返し訪れ、野町が記録してきた光景は、政情悪化と、携帯電話の急速な普及に象徴される世界の平準化によって急速に失われている。本展では「サハラ」、「ナイル」、「エチオピア」、「グレート・リフト・ヴァレー」、「メッカとメディナ」、「チベット」、「アンデス」の7つのテーマで代表作品を紹介し、自らを荒地願望症と称する写真家・野町和嘉の足跡を辿る。
▲野町和嘉 「巨大砂丘麓の放牧。アルジェリア」 1972年 © Kazuyoshi Nomachi
▲野町和嘉 「アファール族の娘。ダナキル砂漠、エチオピア」 1991年 © Kazuyoshi Nomachi
野町和嘉(のまちかずよし)
1946年高知県に生まれる。写真家を志して上京し、杵島隆に師事。71年にフリーの写真家となる。72年サハラ砂漠の旅をきっかけに、アフリカを広く取材し始める。78年写真集『サハラ』を平凡社とイタリアのモンダドーリ社との国際共同出版として5か国で刊行。80年から13か月にわたってナイル流域を取材し、82年には『LIFE』誌の記事により米国報道写真家協会年度賞・銀賞を受賞する。1995年には異教徒の立ち入りが禁じられているイスラームの聖地メッカとメディナを取材する。世紀の変わり目には世界で5社にしか発給されない撮影許可書を入手し、ミレニアム行事のクライマックスを迎えるヴァチカンを撮影。2009年紫綬褒章を受章。
野町和嘉―人間の大地
会期:2025年7月5日(土)〜8月31日(日)
会場:世田谷美術館(東京都世田谷区砧公園1-2 Google Map)
開館時間:午前10時~午後6時(入場は午後5時30分まで)
休館日:月曜日*ただし、7月21日[月・祝]、8月11日[月・祝]は開館。7月22日[火]、8月12日[火]は休館
お問い合わせ:03-3415-6011
【世田谷美術館|公式サイト】https://www.setagayaartmuseum.or.jp/