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A.B.C-Zが描き出す、名曲満載の新作 『大金星(BIG VENUS) ~時代(とき)を超えて~』ゲネプロ&会見レポート

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ABC座 2024 『大金星(BIG VENUS) ~時代(とき)を超えて~』会見より

2012年以来、A.B.C-Z(橋本良亮、戸塚祥太、五関晃一、塚田僚一)のアーティスト活動とあわせて大切に上演されてきた『ABC座』。今回は演劇ユニット「王様の演劇部」の斎藤栄作が脚本、ミュージカルからストレートプレイまで幅広く手掛ける河原雅彦が演出を務め、完全新作を作り上げる。さらに、彩吹真央、内博貴、少年忍者から川﨑皇輝・青木滉平・ヴァサイェガ渉・川﨑星輝・長瀬結星が参加。初日を前に、ゲネプロと会見が行われた。

ーー初日を迎えた感想を教えてください。

五関:とにかく今は無事に通せたことに安心しています。久々の完全オリジナルストーリーということで、初演はこれくらいバタバタするものなのかなと。でもワクワク楽しみながらここまで来ることができました。

橋本:僕も同じで、ここまで無事にこられたなという感じです。時間がなくて大変なこともありましたが、なんとか初日を迎えられそうで一安心です。

戸塚:僕らはストーリーに巻き込まれてドタバタしていればいいんですが、キャストの皆さんやスタッフさんが大変なので、全員で無事に千穐楽を迎えられたらいいなと思っています。

塚田:この作品は完全オリジナルで、ゼロから作ってきました。思い返すと色々な人の支えがあってできていると改めて感じました。この作品だけじゃなく、『ABC座』が積み重ねてきたものを感じながら、気を引き締めて演じたいと思います。

ーー彩吹さん、内さんは『ABC座』初参加です。

彩吹:お稽古場から、楽しいな、大変だなと思いながらやってきました。キャストの皆さんもスタッフさんも休みなく作り上げてきて、初日を迎えるのが感慨深いです。あとはお客様に見ていただいて最後のピースがハマるんじゃないかと楽しみにしています。

:昔から知っている仲ですが、こうして一緒にやるのは初めて。4人になった新体制に参加する上で、いい意味で彼らのバックアップができればいいかなと思っています。

ーー少年忍者の皆さんはいかがでしょう。

川﨑皇輝:『ABC座』自体はメンバーそれぞれ出演経験がありますが、今回新作で、「今年出られるんだな!」と。台本をいただいて、「宇宙人!? にんじん!? セロリ!?」となり、衣装のラフをいただいて「頭ににんじん刺さってる」と。見慣れたかもしれないけどみんなすごく変なんですよね(笑)。宇宙人として、物語の世界にA.B.C-Zの4人を巻き込んでいけたらと思っています。

ーーA.B.C-Zの皆さんの役どころと見どころも教えていただけますか。

五関:僕は豪華客船のキャプテンの役です。プライベートでも唯一船舶免許だけ持っているので、当たり役だなと思っています(笑)。僕の役は4人の中ではお客さんたちの心情に寄り添っていますし、ストーリーテラーのような役割も担っているので、大船に乗ったつもりで来ていただけたらと思います。

橋本:台本をいただく前に王子様の役と聞いてキラキラした王子を予想していたんですが、肩書きだけでした(笑)。こういう王子もいるんだぞというのを届けられたら。ゲネプロをやっていてすごく楽しかったです。自分で言うのもなんですが、僕は日を重ねるごとに良くなっていくタイプ。初日でこの気持ちなので、千穐楽はすごいことになっているんじゃないかと思います。

戸塚:僕は物理学者。大学院時代に恋をして、その女の子の鞄から論文を盗んでノーベル物理学賞の候補になってしまったというクセのある役です。名前が「ポテト」なので、お弁当に入っていたポテトを見て自分だなって思いました。この1ヶ月はポテトを主食にしようかと思っています。

塚田:A.B.C-Zが唯一の地球人なんですが、地球人であってもクセが強くて、本当に面白いですよね。

一同:(笑)。

塚田:FUJIYAMAはボクシングの世界チャンピオン。設定が面白いですし、豪華客船にいろんな人が集まって……というのは『ABC座』とも繋がるなと思います。旗揚げの頃はこんなに素敵なステージができるとは思っていなかったので、最後まで楽しんで届けたいです。

ーー最後に、皆さんへのメッセージをお願いします。

橋本:クセのある舞台になっています。また、色々な先輩・後輩の曲を使わせていただいています。敬意を持ってお芝居や歌に取り組むので、ご覧になる方は楽しく見ていただけたらと思っています。地方公演も含めて、このメンバーで最後まで頑張っていくので応援よろしくお願いします。

<以下、ゲネプロ写真と多少のネタバレあり>

作中にはA.B.C-Zや先輩・後輩の名曲全31曲が登場。STARTO ENTERTAINMENTの楽曲を用いたジュークボックス・ミュージカルと言える仕上がりになっている。深みのある歌詞が魅力的な曲、グループのカラーがはっきり出たユニークな楽曲やポップなダンスナンバーなど、幅の広い楽曲が時におしゃれに、時にユーモラスに、時に意外なシーンで盛り込まれているのが大きな魅力と言えるだろう。個性的なキャラクターたちの設定やストーリーが楽曲とリンクしているため、「あの曲が来るかも」という楽しみ方もできる。

ABC座 2024 『大金星(BIG VENUS) ~時代(とき)を超えて~』ゲネプロより

物語はA.B.C-Zの4人が演じるアウトサイダーなキャラクターたちがパリへ向かう豪華客船の道中で嵐に巻き込まれ、“大金星(BIG VENUS)”へ飛ばされてしまうことから始まる。

橋本はポジティブでチャラいフット王子役。マイペースなキャラクターで周囲を振り回す様子が楽しい。王族らしい傍若無人な態度もどこかチャーミングだ。戸塚は思い込みが激しい厄介な自称天才物理学者として、クセになる存在感を放っている。五関が演じる豪華客船の船長・北街角ススムは、本人も話していたように4人の中では常識人ポジション。冷静に状況を把握しようとする落ち着き、哀愁漂うパフォーマンスで、共感を呼ぶキャラクターを作り上げた。ボクシングチャンピオンのダイナマイト・FUJIYAMA役の塚田は、筋肉と愛嬌を活かしたキャラクターを演じる。切込み隊長的な存在として様々な困難に巻き込まれていく様子がユーモラスだ。

彩吹真央、内博貴、少年忍者のメンバーをはじめとするキャスト陣は、4人が飛ばされた惑星で暮らす様々な種族を演じた。彩吹は歌唱力でも芝居でも見るものを惹きつけ、内はドラマチックな背景を持つキャラクターを魅力的に作り上げた。各種族が対立している中でも交流を続ける若者たちを演じる川﨑皇輝、青木滉平、ヴァサイェガ渉、川﨑星輝、長瀬結星は、熱さとチームワークで物語を動かしていく。各種族のリーダーを演じる三森千愛、林希、浜崎香帆も、個性あふれるキャラクターたちをチャーミングに演じた。A.B.C-Zのメンバーとそれぞれの種族が繰り広げるパフォーマンスや交流も楽しい。皇希は魔王の人間味と愛嬌を丁寧に表現し、愛すべき存在に仕上げていた。

SFではあるが、難しさや堅苦しさはない爽快なエンターテインメントとなっている本作。とある惑星の危機、種族間の対立、主人公たちの成長など、王道ストーリーがしっかりとあるうえで、数々の名曲とコメディを散りばめ、ちょっと前向きになれるようなメッセージ性も込められている。『ABC座』のファンはもちろん、演劇やミュージカル好きも楽しめるだろう本作を、ぜひ劇場で見届けてほしい。

本作は11月25日(月)にTOKYO DOME CITY HALLで開幕し、12月8日(日)まで上演。その後、12月12日(木)〜16日(月)まで大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール、12月26日(木)〜28日(土)まで愛知・アイプラザ豊橋でもツアー公演が行われる。

取材・文・撮影=吉田沙奈

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