ボーイスカウト岡山連盟倉敷第14団 ~ 自然のなかで仲間と協力しながらともに学び生きていく力を身につけるボーイスカウトの活動
ボーイスカウトの活動といえばなにを思い浮かべるでしょうか。
制服を着て、キャンプしたり、火をおこしたりしているイメージがあるもしれません。
ボーイスカウトは世界中に仲間がいる組織で、自然のなかで友情を育んだり、リーダーシップを学んだり、自分で考え行動する力を身につける活動をしています。
倉敷市水島でも、ボーイスカウトの活動をしている団体がいます。ボーイスカウト岡山連盟倉敷第14団です。
ボーイスカウト岡山連盟倉敷第14団がどのような活動をしているか、具体的な活動内容を交えながら紹介していきます。
ボーイスカウトとは
ボーイスカウトは、自然のなかでキャンプやハイキングなどをしながら、仲間と一緒に楽しく学ぶ活動をしています。
活動を通して助け合いやリーダーシップ、自分で考え生きていく力を身につけることを目指しています。イベントやプログラムも年代によりさまざまです。
現在世界の174の国々と地域で、5700万人以上の人々がボーイスカウトの活動をしています。
ボーイスカウトのはじまり
ボーイスカウトの運動は、1907年第1次世界大戦後のイギリスで、軍人ロバート・ベーデン=パウエルによって発案されました。
第1次世界大戦を生き抜いたロバート・ベーデン=パウエルは、イギリスでは大変有名な英雄でした。
ロバート・ベーデン=パウエルは、少年たちを軍隊式に訓練して、もっと冒険心があふれるような、規律を重んじるようなプログラムを用いて教育をすれば、子どもの成長に寄与できるのではないかと考えます。
そこで「スカウティング・フォア・ボーイズ」という本を書いて出版したところ、大ベストセラーとなり、ボーイスカウトの組織が世界中で次々と誕生し、広がっていきました。
日本のボーイスカウトについて
日本では、1922年(大正11年)に「少年団日本連盟」が創立し、ボーイスカウト国際連盟に正式に加盟しています。
2024年3月現在、日本の会員数は8万人に対して、職員は29人です。
職員が少ないのではと不思議に思われるかもしれませんが、ほとんどの指導者がボランティアで成り立っているのです。
岡山県内のボーイスカウト
2024年3月現在、岡山県内には18のボーイスカウトの団体があり、ボーイスカウトの数は501名、指導者は169名います。
倉敷市内には4つのボーイスカウトが活動しています。
・ボーイスカウト岡山連盟倉敷第14団
・ボーイスカウト岡山連盟倉敷第16団
・ボーイスカウト岡山連盟児島第1団
・ボーイスカウト岡山連盟玉島第5団
ボーイスカウト岡山連盟倉敷第14団について
ボーイスカウト岡山連盟倉敷第14団(以下、「倉敷第14団」と記載)は、1979年(昭和54年)、倉敷市水島にある水嶋寺の住職神原彰敬(かんばら けいしょう)さんにより創立されました。
水嶋寺と慈愛幼稚園が同じ敷地内にあり、ボーイスカウトたちは、おもにお寺の境内と幼稚園の園庭で活動しています。
現在の団委員長は水嶋寺の住職であり、慈愛幼稚園の理事長も兼任している神原彰仁(かんばら しょうにん)さんです。倉敷第14団に所属する子どもたちは、2024年6月現在、4歳から18歳の男女あわせて33名、指導者は13名います。
倉敷第14団のなかには4つのボーイスカウト部門があり、それぞれの部門にわかれて、月に2回おもに隔週の日曜日に活動しています。
対象エリアは倉敷市水島ですが、岡山から通っている子どもも。
指導者は保護者が多く、子どもが卒業しても続けて活動しているかたもいます。
ボーイスカウトの活動について
倉敷第14団には、年代にあわせて4つの部門(スカウト)と目標がそれぞれ決まっています。
指導者たちは、子どもたちが目標をクリアできるような活動を組み入れながら計画を立てていくのです。基本は部門ごとの活動ですが、年に何回か全体での活動があり、交流を深めています。
倉敷第14団の部門ごとの活動を紹介していきましょう。
ビーバースカウトの活動
ビーバースカウトは、4歳から小学校2年生までの子どもたちが在籍しています。
倉敷第14団ビーバースカウトの目標は、「自然に親しんで友達と仲良くする」です。
こちらは酒津公園での草すべり。元気いっぱい楽しんでいるようすが伝わってきますね。
水島臨海鉄道に乗って、倉敷美観地区へ行く冒険もしました。
凧あげの活動では、凧をただあげるだけではなく、紙に絵を描くところから始めて、竹ひごをろうそくの火で炙りながら少しずつ曲げていく作業をおこないます。
テープで竹ひごに紙を張り付け、糸をくくりつけて完成。一つ一つ手作りをしているので心に残る凧あげになりますね。
総社でのサイクリングでは、手旗を使ったゲームで交通ルールを学んだり、こうもり塚古墳で歴史を学んだり、楽しみながら学べる活動をしました。
カブスカウトの活動
カブスカウトは、小学校3年生から5年生までが活動をしています。
倉敷第14団カブスカウトの目標は、「決まりを守って仲間と協力する・自分のことは自分でする・進んで良いことをする」です。
いつも使用している水嶋寺の境内や慈愛幼稚園の園庭清掃も活動のひとつです。
自分たちで収穫したたけのこを使って、野外でタケノコ料理を作りました。チームに分かれて作業も分担し、片付けまで自分たちで協力しながらおこないます。
全体が集まってのボーイスカウト祭では、カブスカウトの子どもたちはインド料理に挑戦しました。なれない包丁にドキドキしながら保護者の協力もあり、おいしいインド料理が作れたそうです。
ボーイスカウト・ベンチャースカウトの活動
ボーイスカウトは小学校6年生から中学校3年生まで、ベンチャースカウトは高校生が対象です。
それぞれの倉敷第14団の目標は、ボーイスカウトが「神(仏)と国とに誠を尽くし、いつも他者を助け、徳を養う」。
ベンチャースカウトは、「自分で活動を計画し、年長者として下の子たちの指導をして模範となるような人を目指す」です。
倉敷第14団では、ボーイスカウトとベンチャースカウトは一緒に活動をしています。
慈愛幼稚園から箆取神社までのハイキングでは、亀島山で三角点を探したり、神社で歩測をしたり、公園でロープワークにも挑戦しました。
ボーイスカウト祭では、ボーイ隊たちは野外でチャーハンを作り、ベンチャー隊たちは炭火で焼き鳥やフランクフルトを焼き、ガス調理器具でホットサンドを作りました。
ホットサンドは中身がスイーツで、マシュマロやバナナ、チョコが入ったオリジナル料理で大変好評だったそうです。
読図とコンパスがメインのハイキングでは、バックベアリングでのルートを見つける方法と、歩いたコースを記録する方法を練習しています。
バックペアリング
方角や距離・時間などを記録しながら進み、戻る際にその記録を利用すること
ゴールデンウイークに開催されたスプリングキャンプでは、班でのテントの設営、野外工作や夕食には自分たちでガパオライスを作って食べました。
夏場のキャンプや耐寒キャンプなど難易度が高いアウトドア活動がこれからも予定されています。
その他の行事では、4年に一度世界中のボーイスカウトたちが集まる世界スカウトジャンボリーという大会があります。2023年8月に韓国で開催された大会には、倉敷第14団から3名の高校生が参加し、さまざまな国の人たちと交流を深めました。
ボーイスカウトたちは、指導者が年間で計画を立てている行事を楽しみながら活動することで、自分でできることを確実に増やし、知識の習得にチャレンジし、どんどん成長しています。
知れば知るほど、興味深いボーイスカウトの活動。
ボーイスカウト岡山連盟倉敷第14団の指導者であり、ボーイスカウトとベンチャースカウトの隊長をしている神原純(かんばら じゅん)さんにボーイスカウトについての話を聞いてきました。
ボーイスカウト岡山連盟倉敷第14団 隊長神原純さんにインタビュー
倉敷市水島の水嶋寺と慈愛幼稚園で活動をしているボーイスカウト岡山連盟倉敷第14団。
隊長の神原純さんにボーイスカウトの活動や隊長になったきっかけなどの話を聞いてきました。
ボーイスカウトの隊長になったきっかけ
──なぜボーイスカウトの隊長になろうと思ったのですか。
神原(敬称略)──
私は元々、5歳のときからボーイスカウトで活動をしていました。
大学生になってボーイスカウト指導員として登録していたのですが、関西方面の大学に進学しましたので手伝ったのは帰省したときだけで、年に1回ぐらいだったと思います。
しかし社会人になり岡山に戻って働くことになったので、本格的に指導することに決めました。
元々教育に興味があり、教育学部に在籍していたことも理由の一つです。
教育といっても実は幅広くて、学校としての教育、家庭での教育、地域での教育など、もしかしたらもっとあるかもしれません。
学校の教育だと、教科やカリキュラムに制限がありますが、ボランティアでの野外教育活動では、より人間の本質的な教育に携われるかもしれないと思ったからです。
ボーイスカウトの魅力について
──そうなんですね。ボーイスカウトの魅力はなんでしょうか。
神原──
ボーイスカウト倉敷第14団では、4歳から18歳までの子どもたちが一緒に活動するのですが、これは貴重な経験だと思っています。
昭和の時代には当たり前にあった、外で異年齢の子どもたちが一緒に遊ぶという光景は、現代の日本では難しくなっています。また、家のなかやスマートフォンのなかで遊びや学びが完結してしまうこともよくあることです。
子どもの脳は、自然と関わることで発達していくように作られています。子どもたちも外にでてみるととても楽しそうに遊ぶのです。
ボーイスカウトでは、野外活動を通して仲間たちとの友情を深めるなど、生きていくうえでの大事なことを学べます。
ボーイスカウトの進捗制度
──生きていくために必要なことが学べるのは、素晴らしいですね。子どもたちが頑張れるように工夫があると聞いたのですがどのようなことなのでしょうか。
神原──
ボーイスカウトの活動のなかには、個人の努力により、バッジやワッペンがもらえる進捗制度があります。子どもたちが楽しみながらスキルや知識を習得し、自己成長できるシステムです。
ベンチャースカウト最高位の「富士スカウト章」まで習得すると、代表者が天皇陛下へ表敬訪問する機会が与えられます。
ボーイスカウトの指導者は、子どもたちが目標を達成するために、年齢に応じた計画を立て、習得していけるようにサポートしています。
入団を検討している子どもや保護者のかたへ
──最後に入団を検討しているかたへのメッセージをお願いします。
神原──
倉敷第14団は、自然のなかでさまざまな年齢の子どもたちが仲良く楽しく活動しています。
頼もしい指導者もたくさんいるので、いろいろなスキルを学び、リーダーシップやチームワークなど将来にわたる貴重な経験ができると思います。
倉敷第14団では、参加者を随時募集していますので、興味があるかたはぜひ、日本ボーイスカウト岡山連盟のホームページからお問い合わせください。
おわりに
筆者が見学に訪れたときは、ちょうど神原彰敬和尚の誕生祭をしていました。
小学校低学年から高校生までが縦割りの班を作り、ウォークラリーをおこなっていました。その日は雨が降るあいにくの天気でしたが、子どもたちは雨具を着て元気にチェックポイントを回ります。
小学生と中学生、高校生がワイワイ雑談をしたり、一緒に協力して目標をクリアしたりする姿はかけがえのない体験です。ボーイスカウトの活動は、子どもの成長に大いに役立つし、多くの楽しい想い出も作れる素晴らしい活動だと思います。
このような活動をより多くの人に知ってもらいたいと感じました。