犬の睡眠中に潜んでいる4つの危険とリスク 気を付けておくべき症状から注意点まで解説
犬の睡眠中に潜んでいる危険やリスク
ここでは、犬が寝ているときに陥る可能性がある危険や気になる症状などをご紹介します。
愛犬の寝ている様子を確認しながら、当てはまることはないか確認してみてくださいね。
1.呼吸困難、呼吸不全
睡眠中にいびきをかくことは、ごく自然なことでもありますが、あまりにも大きないびきをかいているときやいびきの音・回数に変化があったときは注意が必要です。
そもそもいびきは、鼻から喉にかけて空気が通る際に、気道が狭くなっていることなどが原因で空気の動きによって粘膜が振動して発生する音です。
寝ている姿勢やちょっとした体調不良などでいびきをかくこともありますが、異常ないびきをかいている場合は呼吸不全や呼吸困難に陥る可能性があります。
特に、肥満の犬や老犬、短頭種(パグやフレンチブルドッグなど)は上気道が狭くなりやすく、大きないびきをかく傾向があるとされています。
また、鼻炎になっていたり鼻腔内に腫瘍などができていたりと、病気が原因で呼吸に影響が出てしまうこともあります。
これまでよりもいびきが大きくなったり、呼吸が一瞬止まるような様子が見られたりと、気になる様子があれば、必ず動物病院で相談するようにしてください。
2.けいれん発作
犬が寝ているときに、体がピクピク動いていたり、まるで走っているかのように足をばたつかせていたりする様子を見たことがある飼い主さんは多いと思います。
犬がこうした動きを睡眠中に見せるのは、夢を見ていたり脳内の記憶の整理をおこなっていたりすることが原因だとされているため、基本的には心配する必要はありません。
しかし、体をビクビクと震わせるようなけいれんが続いている場合は、てんかん発作や脳神経系疾患の症状があらわれている可能性があります。
けいれんを起こしている場合、声をかけても全く起きず、意識がないような状態が続きます。
このようなとき、無理やり起こそうとすると犬にも飼い主さんにも危険が及ぶ可能性があるので、まずはけいれんがおさまるまで様子を見ながら待ってください。
周囲にぶつかりそうなものがあればどかして安全を確保し、診察時の参考になるようにできればけいれんの様子を撮影しておくといいでしょう。
けいれんの原因は前述したようなてんかんをはじめ、脳梗塞や脳腫瘍、低血糖、中毒、尿毒症など様々なものが考えられます。
けいれんがおさまったら、すぐに獣医師に電話をしてその後の指示をあおいでください。
特に、5分以上続くような長いけいれんがあったり、1日に何度もけいれんを起こし足りする場合は、できるだけ早く受診するようにしましょう。
3.やけど、低温やけど
犬はぽかぽかとしたあたたかな場所を好みます。ひなたぼっこが好きな犬も多いと思います。
そのため、寒い季節になると床暖房やホットカーペット、こたつなどで暖を取りながら眠る犬も少なくありません。なかには、ストーブの前を陣取ってしまう犬もいるようです。
しかし、そのような状態で長時間寝てしまうと、気づかないうちにやけど、または低温やけどをしてしまう恐れがあります。
低温やけどは、体温より少し高い程度の熱源に長時間触れ続けることで起こります。
低温やけどの怖いところは、熱源に当たっているとき熱さや痛みを感じにくく、気がついたときには皮膚の奥深くにまでダメージが与えられてしまっていることがある点です。
そのため、ホットカーペットやこたつを犬が使っているときは、低めの温度に設定しましょう。また、寝てしまった場合は、電源を切るようにしたり起こして移動させたりして、低温やけどのリスクを避けるようにしてください。
また、犬がストーブに近づきすぎてしまう場合は、ガードや柵を設置するようにしましょう。
4.落下などによる怪我
寝ている間は基本的に動かないため、大きな危険はないように思いますが、実は思わぬトラブルが起こることがあります。
特に、飼い主さんのベッドやソファで寝ることがある犬は、落下して頭を打ったり足を骨折したりすることが考えられます。
大した高さではないと思っても、無防備な状態で落ちてしまうと大きな怪我につながることがあるので十分注意しましょう。
また、飼い主さんと一緒に寝ている犬の場合、飼い主さんが寝返りを打った拍子に踏んでしまい、怪我をさせたり窒息させてしまったりする危険もあります。
体が小さく華奢な小型犬は、特に注意しなければなりません。
可愛い愛犬を守るためには、寝室にも犬用のベッドやケージを用意して安全を確保した状態で寝ることをおすすめします。
まとめ
犬の睡眠中に起こる危険やトラブルは、決してめずらしいものではありません。
そのリスクの高さは、犬種や年齢、体質などによって異なりますし、どんなことに注意しなければならないかもそれぞれ違います
まずは、睡眠中に潜むリスクを知り、愛犬に危険が及ぶ心配はないかについて、睡眠環境を含めてぜひ一度見直してみてください。
(獣医師監修:寺脇寛子)