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「まるごと馬場のぼる展 描いた つくった 楽しんだ ニャゴ!」鑑賞レポート ~ 9月1日(日)で終了!連日600人以上が来館する展覧会の注目ポイントを紹介

倉敷とことこ

「まるごと馬場のぼる展 描いた つくった 楽しんだ ニャゴ!」鑑賞レポート ~ 9月1日(日)で終了!連日600人以上が来館する展覧会の注目ポイントを紹介

日中の気温が30度以上の日が続き、連日熱中症警戒アラートが発令される夏休み。
外での長時間の活動は厳しいですが、夏休みの思い出は作りたいですよね。

倉敷駅から市役所方面に徒歩10分程度、倉敷美観地区にもほど近い倉敷市立中央図書館や倉敷市立自然史博物館などの文化施設ゾーンをなしている施設のひとつ倉敷市立美術館では、子どもたちも楽しめる絵本『11ぴきのねこ』シリーズでお馴染みの馬場のぼるの作品が展示されています。

老若男女問わず幅広い年齢層の来場者が連日600人近く訪れるという「まるごと馬場のぼる展 描いた つくった 楽しんだ ニャゴ!」を実行委員と鑑賞してきたので、注目ポイントを紹介します。

「まるごと馬場のぼる展 描いた つくった 楽しんだ ニャゴ!」とは

「まるごと馬場のぼる展 描いた つくった 楽しんだ ニャゴ!」は、2024年7月26日(金)から9月1日(日)まで、倉敷市立美術館で開催される展覧会です。今年(2024年)は山陽新聞創刊145周年の節目の年なので、山陽新聞社と倉敷市立美術館で立ち上げられた「まるごと馬場のぼる展実行委員会」と倉敷市が主催で、開催されます。

本企画は、馬場のぼるの没後20年に、アトリエを構えていた東京都練馬区にある練馬区立美術館を皮切りに始まった巡回展です。

子どもから大人まで幅広い年齢層に親しみのあるか「11ぴきのねこ」シリーズをはじめ、デビュー前の創作活動の軌跡や没後に見つかったスケッチブックなど、大人も楽しめるコンテンツが盛りだくさん。

詳しくは、以下の画像を確認してください。

8月22日(木)会場のようす

前職で特別支援学校幼稚部に勤めていたこともあり、絵本原画が好きな私は今回の展覧会が倉敷市立美術館で開催されることを、非常に楽しみにしていました。

会期が始まってからは、7月に一度、8月に入ってからは三度ほど会場を訪れていますが、いつ訪れても会場には子どもたちの姿が多くあり、微笑ましい光景が広がっています。

お盆休みが明けた8月22日の午前中に、まるごと馬場のぼる実行委員の尾上真由(おのうえ まゆ)さんに会場の注目ポイントを教えてもらいながら鑑賞してきたので、紹介します。

まるごと馬場のぼる展は一部エリアを除き、撮影禁止です。今回は特別に撮影許可をいただいています。

尾上真由(おのうえ まゆ)さん

老若男女問わず幅広い年齢層の人たちが楽しむ展覧会

絵本「11ぴきのねこ」シリーズは、絵本作品。また、会期が夏休み期間ということもあり子どもたちが多く来館するだろうと予想されていた今回の展覧会。

実際に開会してみると、子どもたちはもちろんのこと、若いカップルや子育てを終えた世代のかた、また女性だけでなく男性一人での来館者も多いとのこと。

尾上さんによると、老若男女問わず絵本「11ぴきのねこ」シリーズキャラクターのぬいぐるみを手にしたりキャラクターの描かれた洋服やバッグを身に付けたりして鑑賞する人が多くいて、馬場のぼる作品が世代や性別を問わず幅広いかたから支持を受ける作品だと実感したそうです。

私が参加した7月27日(土)に開催された記念講演会や8月18日(日)に開催された絵本の読み聞かせにも「11ぴきのねこ」グッズを身にまとった参加者を何人も見かけました。

読み聞かせのようす
ねこグッズを身にまとう来場者
読み聞かせの最後には、おみやげも配布されました

生前から、グッズの制作やキャラクターの使用にも寛容だったという馬場のぼる。倉敷市立図書館の利用者カードや移動図書館の車両にも絵本「11ぴきのねこ」シリーズのキャラクターが描かれているので、倉敷市民にとってもおなじみのキャラクターなのではないでしょうか。

絵本『11ぴきのなことあほうどり』に登場する気球
ねこの家で写真を撮る家族
『絵巻えほん 11ぴきのねこ マラソン大会』とぬりえコーナー
絵本コーナー

会場には、絵本『11ぴきのねことあほうどり』に登場する気球や、ねこたちのお家、『絵巻えほん 11ぴきのねこ マラソン大会』、絵本コーナーなど、子どもたちが身体を動かして馬場のぼる作品にひたれる工夫が盛りだくさん。

映像資料や初期のこぐま社の絵本の印刷方法であるリトグラフをイメージできるコーナーもあるので、大人の知的好奇心もくすぐられる仕掛けもありますよ。

めくってわかるリトグラフ
完成したリトグラフを確認する馬場のぼるの映像資料

リトグラフ:版画の一種。版を重ね、色を重ねていく(多色刷り)ことで、複雑な色合いが出せる技法で、まるごと馬場のぼる展では絵本『11ぴきのねことあほうどり』を例に紹介している。

絵本「11ぴきのねこ」シリーズだけではない、馬場のぼるの魅力

展覧会の宣伝チラシにも絵本「11ぴきのねこ」シリーズのイラストが大きく使われているように、「馬場のぼると言えばねこ」というイメージがあるかもしれません。特別展を訪れた来場者の多くが、絵本「11ぴきのねこ」シリーズの原画を楽しみに来場していると思います。

しかし、展示をじっくりと眺めていくと多くの人が足を止めてじっくり鑑賞していたのは、学生時代の馬場のぼるが実際に使用していた学習ノートの展示です。

学習ノートの表紙
学習ノート
化学のノート

どのノートも板書をそのまま映しているのではなく、先生の話から得た知識や馬場のぼるの気づきが、誰もが読めるきれいな字で書かれています。このノートを見た来場者の多くが「馬場のぼるの描く世界観は、基礎学力と教養があるからこそ作られたものなのか」と驚きと感心の言葉を残していくそうです。

また、馬場のぼるは生涯「自分は絵本作家ではなく、漫画家が絵本を描いているんだ」と語っていたそうで、多くの漫画を残しています。今回の特別展にも漫画作品の原画が展示されており、来場者が夢中になって漫画を読みクスリと笑う姿があちこちで見られました。

漫画家同士の交流も深くあったそうで、やなせたかしさんなどの漫画家仲間が馬場のぼるの追悼展に向けて描かれたキャラクター同士の作品も展示されていましたよ。

やなせたかしさんが馬場のぼるの追悼展のために描いた作品
手塚治虫さんが亡くなってから4年後に開催された「私とアトム展」用に書き下ろされた作品

展覧会会場に展示されているのは、原画だけではありません。仕事以外でも描くこと、作ることを楽しんでいた馬場のぼるが制作した立体作品も展示されています。

ねこの立体作品
ねこの陶器作品

ストーリーから離れ、思い思いに動くおなじみのキャラクターたちの姿は、どれも唯一無二の作品。会期中に発令された南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)の影響で展示をお休みしていた作品もありましたが、解除された現在は全作品が鑑賞できるようになっていますよ。

夏休みの思い出を形にして持ち帰れる展覧会

今回の展覧会は、フォトスポット特別展オリジナルグッズの多さも注目ポイントです。

せっかくの夏休みの思い出は、写真に残せると何度も振り返って楽しめますよね。

特に子どもたちは音声だけでなく写真やイラストのような視覚情報があることで、より記憶に残りやすくなります。子どもたちに大人気のねこのお家や塗り絵コーナー、またエントランスホールの看板前は写真撮影が可能なので、子どもたちの心が動いて楽しんでいるようすを残せますよ。

美術館入り口のフォトスポット
一階エントランスのフォトスポット
『絵巻えほん 11ぴきのねこ マラソン大会』
絵本コーナーで絵本をめくる来場者

会場出口のショップコーナーも、多くの人で賑わっていました倉敷市児島地区のデニムブランド Betty Smith(ベティスミス)とのコラボレーショングッズのデニムバックは、倉敷会場のみで手に入るオリジナル商品。

ショップコーナー

8月22日(木)時点でトートバッグ(大)は売り切れでしたが、追加生産中とのこと。遠方で会場への来場が難しいかたには電話での問い合わせも受け付けているそうなので、ホームページをチェックしてみてくださいね。

私が会場を訪れるたびに気になっているのは、ネームステッカー。絵本「11ぴきのねこ」シリーズのキャラクターと自分の名前や好きな言葉が印刷できるこの機械の前には、いつも人が並んでいます。

ネームステッカーの機械
作成したネームステッカー

8月22日はちょうど行列の切れたタイミングだったので、試しに自分の名前のステッカーを作ってみました。背景となる絵柄は20種類、文字のフォントも選べます。ついつい夢中になってしまって、たった3文字のネームステッカーを作成するのに5分近くかけてしまいました。

おわりに

8月22日はお盆休み明けの平日なので会場は落ち着いたようすかと思いきや、バギーに乗った赤ちゃんからご高齢の女子会グループまで、老若男女問わず幅広い年齢層の来場者が会場を楽しんでいました。

午前10時頃から12時頃までと14時以降は、賑やかな時間帯になっているそうなので子ども連れにもおすすめ。開館直後とお昼ご飯の時間帯は比較的ゆっくりと鑑賞できるそうですよ。

絵本『ももたろう』の原画は、倉敷市立美術館が初めての公開

倉敷市立美術館ならではの絵本『ももたろう』の原画を含め、貴重な馬場のぼる作品を倉敷で鑑賞できるのも9月1日(日)まで。夏休み最後の思い出に、「まるごと馬場のぼる展 描いた つくった 楽しんだ ニャゴ!」はいかがでしょうか。

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