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寺島しのぶ・吉柳咲良に聞く、舞台『リンス・リピート ―そして、再び繰り返す―』への意気込み 稽古場取材会が開催

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(左から)吉柳咲良、寺島しのぶ

2019年に現代に潜む家族問題を扱ってオフ・ブロードウェイの話題をさらった、舞台『リンス・リピート ーそして、再び繰り返すー』、2025年4・5月に紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAと京都劇場にて日本初上演される。

娘・レイチェルが摂食障害を患ったことで浮彫になる、家族のすれ違いと苦悩を描いた本作。日本初上演となる今回、演出は第30回読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞した若手演出家・稲葉賀恵が手がける。

移民ながら弁護士としてのキャリアを築き、仕事と家庭のはざまで葛藤する母親・ジョーンを演じるのは寺島しのぶ。摂食障害を患いながらも愛する家族と生きようとする娘・レイチェルを吉柳咲良が演じる。そして、息子・ブロディに富本惣昭、レイチェルのセラピストであるブレンダを名越志保、優しさと不器用さを持ち合わせる父・ピーターを松尾貴史が務める。

本公演では、摂食障害をきっかけにあらわになった歪な家族関係や、自身の本当の気持ちと現実の中でどのように折り合うのかを、繊細でリアルな会話を通じて、観客に問いかける。

この度、都内稽古場にて作中で母娘を演じる寺島しのぶと吉柳咲良による稽古場取材会が行われた。

『リンス・リピート』相関図



【あらすじ】
命が脅かされるほどの摂食障害を抱えていた大学生のレイチェル(吉柳咲良)が、施設での治療を経て、4か月ぶりに家族の元へと帰ってきた。家族とともに食事をして、以前のように自立した生活を手に入れるためだ。母・ジョーン(寺島しのぶ)と父・ピーター(松尾貴史)は愛する娘の帰宅を心から喜び、弟・ブロディ(富本惣昭)も交えて家族との平穏な時間を過ごすように思えた。
ジョーンは、移民として苦労しながらもキャリアを築いた経験があり、娘もこの状況を乗り越えて明るい将来を掴み取ってほしいと期待を膨らませる。しかしレイチェルは、セラピストであるブレンダ(名越志保)との会話を思い出しながら、次第に愛する母親からの愛情を苦痛に感じ、家族こそが自分を追い込んだ原因なのではないかという疑問に変わる。
すれ違う母と娘。愛情に隠れた本当の気持ちを知ったとき、家族は大きな一歩を踏み出す。
■稽古場取材会

ーー人種や女性の社会的地位など、とても繊細な家族の問題を扱った現代劇だと思うのですが、ズバリどんな作品だと思いますか。 どういうことをお客様に伝えたいでしょうか。

寺島:本当にざっくり言えば家族の話です。娘が摂食障害になり、その治療施設から帰ってきてからの4日間くらいの物語なのですが、その濃密な時間をお客様と共有するような芝居です。家族って分かり合えているようで実はそうじゃない、逆に血が繋がっていなくても分かり合えているなど、「家族」というものをそれぞれ客観的に見て感じていただきたいなと思います。どなたにも何かしら共感をしていただける作品になっていると思います。

寺島しのぶ        撮影:番正しおり

ーー摂食障害を患う女子大生・レイチェルの役で、いろいろな悩みが描かれていると思います。今現在の作品に対するイメージや、役どころについて教えていただけますか。

吉柳:摂食障害というのは一つ大きな要素ですが、先ほど寺島さんが仰ったように「家族」の中で彼女が何を思ってきたのか、ということが私は重要なのかなと思っています。家族ひとりひとりとの関わり方の違いや、ある意味心を許せていなかったり、でも気を使っていたりみたいなところを楽しんでいただけたらと思います。家族というすごく近しい間柄でも、価値観の違いやすれ違いが起きたり、本当の意味で分かり合い、お互いを思い合うということがどういうことなのかを改めて考えるきっかけになる、そんな作品なんじゃないかと思っています。

ーーそれぞれが演じる役割へ共感する部分や、逆にジレンマを感じるような部分はありますか?

寺島:私には娘がいないのですが、息子と母親の関係っていうのはまた別だと思うんですよね。だから私は自分と母との関係を思い浮かべながら参考にしています。私が演じるジョーンは、絶対的な自信を持っている成功者で、だからこそ娘に自分と同じようになってほしいという願いが強いんだと思います。どの親も自分の子どもには成功してほしいと思っていると思いますが、この芝居ではちょっと間違ってしまったのかなと。娘も思春期になって、自分自身の考えがちゃんとできてくると少しずつ歯車がずれてくるという、そういう細かいところをこの本は面白く書いているので、この家族を覗き見ているような感覚で観ていただけたら、「ああ、うちと一緒だ」みたいに分かってくださるのかなと思います。

吉柳:共感できる部分がすごく多かったです。「家族」という一つのくくりの中でも、レイチェルは他人行儀だなと感じる部分があって、考えが合わなかったり、理解し合えない部分があったり、血が繋がっていることって大して関係ないのかもしれないと思いました。彼女の気質や性格が自分と似ているなと思うことも多くて、役に自分を投影しすぎちゃうのがちょっと怖いなと思ったくらい、私とは似ている部分が多かったです。

(左から)吉柳咲良、寺島しのぶ        撮影:番正しおり

ーー作品のテーマの一つに摂食障害というものがあります。俳優として時には身体をコントロールしなくてはならない時などもあるかと思いますが、普段からを使っていることや準備していることはありますか?

寺島:ないですね(笑)。でも吉柳さんくらいの年齢の時は何も食べない時期もあったし、痩せていることでどこか安心しているという時もありました。はるか昔は、痩せていることが芸能界で成功する道、のような風潮があったかもしれません。

吉柳:今回の役作りで痩せたりする予定はないです。というのも、台本の1ページ目に「役を演じるために、一定の体重を維持するプレッシャーを感じてはいけない」と記されているんです。私もレイチェルの気持ちを理解するために何かしたほうがいいのか考えたりもしたんですが、それ以外の部分で見せていけたらいいなと思います。

ーー意気込みを教えてください。

寺島:紀伊國屋サザンシアターというすごくコンパクトな劇場で家族の話をやるという、とてもいい空間できる作品だと思うので、90分間休憩なし…と私は決めつけているのですが(笑)、とても快適で、ジェットコースターのような舞台だと思っていますので、是非お越しください。

吉柳:たぶん結構身近にあるもの、どこにでも起こりうるもの、誰しもがなる可能性のある状況だと思います。センセーショナルなように感じますが、もっと家族間の会話だったり、一人ひとりとの関係性だったりを今は意識して演じたいです。台本を読んだときに感じた気持ち悪さが、ある意味リアルで違和感を覚えたので、その違和感を残しつつ、家族だけど分かり合えない、というところをリアルに濃く創っていければと思います。

吉柳咲良        撮影:番正しおり

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