沼津市のふるさと納税6年で14.6倍 全国初のサービス導入 今年度の目標は55億円
■漫画×溶接体験や1億8000万円のブレスレット 返礼品に工夫
ふるさと納税の寄付受け入れ競争が激化し、総務省がルールの見直しを発表した。来年10月からはポイント付与するサイトを通じた自治体への寄付が禁止となる。静岡県内では焼津市の寄付額が全国的にもトップクラスとなっているが、近年は沼津市が急激に寄付額を伸ばしている。
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ふるさと納税の寄付額は増加傾向にあり、2022年度は全国で総額9654億円と過去最高を更新した。ただ、課題として指摘されているのが、ふるさと納税のサイトを運営する仲介業者に支払う自治体の経費。各市町村は寄付額の10%ほどを仲介するサイトに手数料として支払っている。
静岡県内では焼津市への寄付額が突出している。地物との海産物を中心に返礼品を強化し、2022年度は全国11位の75億7400万円。県内で2番目に多い富士宮市の42億6400万円を大きく引き離している。
ここ数年、静岡県内で大幅に寄付額を伸ばしているのが沼津市だ。2022年度は県内4番目の23億1000万円だった金額が2023年度は44億9600万円。2018年度の3億900万円から6年間で14.6倍に増えている。今年度は55億円を目標に掲げる。
寄付額増加の背景には、ふるさと納税の強化がある。2023年度から若手を中心とした返礼品発掘の「トレハンチーム」を結成。市長や副市長直轄の戦略会議も開いている。返礼品にコロコロコミックとコラボレーションした溶接体験や、寄付額1億8000万円のダイヤモンドブレスレットを導入するなど工夫を凝らしている。
■全国で初めての「ふるさとGO」 6月から三島市も導入
今年4月末からは全国で初となる「ふるさとGO」の運用を始めた。これは沼津市にある「マイウェイ」が開発・運営しているサービスで、商品ではなく飲食やレジャーといった形で返礼する仕組みとなっている。
例えば、ふるさとGOを導入している飲食店で3000円分利用した場合、1万円を寄付する。店舗に設置した専用のQRコードをスマートフォンで読み取り、飲食代を入力するだけで寄付額が表示される。飲食店に加えて、伊豆・三津シーパラダイスや天然温泉「駿河の湯坂口屋」といった観光地でも導入されている。
また、6月12日からは三島市でも利用できるようになった。地元の名産・ウナギをはじめとする飲食店、三島スカイウォークや観光農園「木負観光みかん園」なども対象となっている。
今では約900万人が利用していると言われているふるさと納税。「生まれ育ったふるさとに貢献する制度」、「応援したい自治体を選べる制度」といった本来の趣旨から外れ、返礼品で寄付額を増やす方法に賛否はある。ただ、自治体にとって貴重な財源になっているのは間違いない。
(SHIZUOKA Life編集部)