メダカなんて簡単に飼えるでしょ?……そんなことはなかった底なしの魅力【私の好きなサカナたち】
Webメディア『サカナト』には様々な水生生物好きのライター(執筆者)が所属しています。そんなライターの皆さんが特に好きなサカナ・水生生物について自由闊達に語らう企画「私の好きなサカナたち」。今回はサカナトライター・美琉さんによる「私の好きなサカナたち」をお届けします。
私が現在一番好きな水生生物はメダカです。
今も複数の種類のメダカを、卵から成魚まで野外で育てているほど大好きです。
メダカは江戸時代生まれ
メダカと言えば、理科の実験などで使われるヒメダカを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか?
このヒメダカは、江戸時代以前に野生の在来種クロメダカを改良して作られた、最古の改良メダカなんです。
黄色味がかった薄いオレンジ色のような、柔らかく素朴な色合いが特徴で、昔から多くの人に親しまれてきました。
はじめてのアクアリウムがメダカ水槽だった
安価でどこでも手に入りやすかったこともあり、アクアリウム初心者だった子どもの頃の私にはとても魅力的な魚でした。お小遣いで安い水槽とヒメダカを数匹買った日のことは、今でもよく覚えています。
本当はもっと派手な熱帯魚を求めていたのですが、筆者が住む沖縄の小さなホームセンターでは種類も少なく、予算にも限りがありました。熱帯魚の水槽は薄暗く照らされ、店の隅にひっそりと置かれていました。明るく開かれた犬や猫のペットコーナーとは違い、そこだけが子ども心に少し寂しく映ったのを覚えています。
その片隅で、小さなヒメダカたちが群れをなして泳ぐ姿には、どこか退廃的な美しさがありました。
理科の授業で見たヒメダカよりも、ずっと自由で大きく、そして美しく感じたのです。
アクアリウム挫折と再開
「育てやすい」という言葉と、限られた予算で買えるという理由で飼い始めたメダカですが、すぐに何度も挫折しました。
水の立ち上げもせず、エサも加減なく与えて水質を悪化させ、2~3ヶ月も生かすことができませんでした。何度か繰り返したあと、上手くいかない悔しさと飽きが重なり、私の中のブームは一度過ぎ去ってしまいました。
ですが、人はふとしたことで過去の興味を取り戻すものです。
高校生の頃にボトルアクアリウムにハマったのをきっかけに、アクアライフを再開。数年前、改良メダカのブームに乗り遅れる形で本格的に再スタートしました。
メダカは美しかった
初めて銀色のラメが体にのった「体外光」のメダカを見たとき、その美しさに唖然としました。まるで宝石のようにキラキラと輝いていて、「地味だ」と思っていた昔の自分に見せてあげたいと思ったほどです。
今では、そんなメダカを育てるだけでなく、その魅力を少しでも世に広げる手伝いをしたいと考えています。
(サカナトライター:美琉)