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いつもの食卓に並ぶ「日常のパン」をどうぞ。三条市の「aqui」。

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いつもの食卓に並ぶ「日常のパン」をどうぞ。三条市の「aqui」。

三条市にリニューアルオープンしたベーカリー「aqui(アキ)」。中央に置かれたテーブルは、「食卓」をイメージしたもの。家族が何人も座れそうなくらい大きな「食卓」には、食パンやハード系のパン、おかずパン、チョコレートがサンドしてあるふんわり食感のパンなどが所狭しと並べられています。大学時代にヨーロッパのパン文化に出会い「日常のパンを届けたい」とお店をはじめた松平さんに、いろいろとお話を聞いてきました。

aqui

松平 雅恵 Masae Matsudaira

1974年三条市生まれ。東京都内の美術系の大学を卒業後、デザイン関連の会社に就職。数年勤務した後、ベーカリーに転職。東京都内のベーカリーを数店舗経験し、2022年に新潟に戻る。燕市で「aqui」をはじめ、2024年に三条市に新店舗をオープン。

ベーカリー勤務時代のあれこれ。

――松平さん、最初のお勤めはデザイン系のお仕事だったんですね。

松平さん:最初の会社には、3年か4年くらい勤めました。憧れの会社で働くことができたんですけど、大学在学中にヨーロッパ旅行で食べたパンがどうしても忘れられなくて。美大に通っていたので、ヨーロッパの美術館を巡る機会があったんです。そこで美味しいハード系のパンに出会いました。ヨーロッパは小麦粉もバターも美味しいし、水はパン作りに適した硬水です。シンプルなんだけど「それだけで十分」っていう美味しさに驚きました。

――学生時代からパンに関心をお持ちだったわけですか。

松平さん:デザインもパンも両方好きでしたね。でもパン作りは体力があるうちにしたいと思いました。好きな仕事はできているけど、「パンの仕事を少しでも早く経験しよう」と考え直したんです。

――それでベーカリーに転職されたんですか。

松平さん:大好きなデザイン会社を辞めるのだから、希望するベーカリーじゃないと転職きないと思っていて。渋谷にあるハード系パンの老舗店に勤めたかったんです。でも、そこで働きたいという希望者が大勢いて、順番待ちの状態でした。だから私、何度もオーナーに熱意をアピールしました。そしたら「製造部門は空いていないけど、事務仕事ならいいよ」と言われて。事務職として4年間働いて、就業後にパン作りを手伝わせてもらう日々でした。

――そうとう固い意志を感じます。

松平さん:そこでハード系のパン作りを経験して、その後はイーストで作るソフト系パンをメインにしているお店やちょっと贅沢なパンを作るお店でも働かせてもらいました。作り方がぜんぜん違って「こういう工夫もあるもんだな」って参考になりましたね。

新しい環境で、暮らしもパン作りもてんやわんや。

――新潟に戻ってこられたのは、どうしてですか?

松平さん:東京生まれ東京育ちの主人が、田舎生活に憧れていたからなんです。

――東京で働かれていたときと比べて、どんな違いを感じましたか?

松平さん:いつもみんなでやっていた作業をすべてひとりでこなさなくちゃいけないから、当たり前ですけど、膨大な作業量に圧倒されました。あとは環境の違いですよね。ある程度は機械でコントロールできるとはいえ、水も違うし湿度も違う。感覚的なところは、またゼロから築き上げないといけませんでした。それと何よりも致命的だったのは、車の運転ができなかったこと。これはかなり辛かったです。

――現在は木曜、金曜、土曜日が営業日でしたよね。

松平さん:加えて水曜日と木曜日は、燕市役所の売店にパンを置かせてもらっています。毎日営業しているわけではないとはいえ、定休日には仕込み作業になります。休みの日は疲れ果ててヘトヘトですが、家事や育児でバタバタです。慣れるまではそんな日々が続くと思っています。

――でもご自身のやりたいことができている実感はあるのでは?

松平さん:起業してからずっとバタバタしていて、まだ落ち着いて自分のパンに向き合えていないように思います。教えてもらったことを再現して、そこにアレンジを加えてっていうところまでかな。

――改めて「aqui」さんのパンについて教えてください。

松平さん:美味しいパン屋さんがたくさんあるのはわかっていて。それでもう十分じゃないかって思っていたんですけど、いざ「自分のお店がはじめられるかも」と思ったとき、最初に浮かんだのは、「家族が笑顔になるパンでした。なるべくシンプルな材料で素材の味を活かしたパン作りを心がけています。主に国産小麦粉、平飼いたまご、甜菜糖、使用し、自家製酵母とナチュラルイーストを併用しています。パンは日々の食事なので、飽きずに味わい深いパンが良いな、と思っています。

――最初にヨーロッパで衝撃を受けたというパンも、まさに「毎日の味」ですもんね。

松平さん:そうそう。「パンって日常」なんだと思うんです。スープがあってバランスがいいとか、おかずに添えてちょうどいいとか、そういう「飽きないパン」を目指しています。

――リニューアルされてから、大きく変わったことはありますか?

松平さん:燕市役所さんの売店で「aqui」のパンに出会ったという方がお店に来てくださったり、三条から市役所さんまで足を運ばれていた方が「近くにお店ができてよかった」と言ってくださったり、嬉しい反響をいただいています。市役所の職員さんもそうですけど、主婦の方やお子さん、ご高齢の方に少しでも私のパンで喜んでもらえたら嬉しいです。

――続けること、変わること、いろいろあると思いますが、これからも期待していますね。

松平さん:ありがとうございます(笑)。「aqui」はゆるやかに変化して行けたらいいなと思います。パンだけではなく、興味のあることにチャレンジしていきたいです。

aqui

三条市東裏館2-1-34

営業/木、金、土曜日 7:00~17:00(売り切れ次第)

※水、木曜日は燕市役所内の売店で販売中

※10月18日(金)、19日(土)は臨時休業

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