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MIKOLAS & SKY-HIインタビュー――中毒者続出の「LALALALALALALALALALA」が二人のコラボレーションでカムバック!

encore

MIKOLAS:INTERVIEW

──SKY-HIさんとのコラボレーションとなる「LALALALALALALALALALA (Tokyo Version)」の原曲「LALALALALALALALALALA」は2020年にリリースされ、2年経った2022年に日本で和訳動画がYouTubeで大きな話題になりました。最初にこの事実を知ったときはどう思いましたか?

「その話を聞いたのは、デビュー・アルバム『ONE』の制作をするキャンプ中だったんだ。そこで日本でのランキングが13位になっているスクリーンショットを見せてもらって。“信じられない!”と思ったね。だって日本語で歌っているわけでもないし、日本のインフルエンサーと何かをしたわけでもないし、タイアップがあったわけでもないから。突然こんなことが起こって、驚いたよ。でも何よりも嬉しかったのは、日本ってどうしてもJ-POPが中心で、洋楽がブレイクできないというのを知っていたので、この結果って、本当に曲の力、音楽の力で、普段開けられない扉を開けてくれたということ。それがすごく嬉しかったね」

──「LALALALALALALALALALA」がここまで日本でも話題を集めたのは、リズム感やサウンドの良さはもちろんですが、歌詞に共感できたという点だと思います。別れた恋人ときっぱり離別しようとする強気な思いが綴られた楽曲ですが、そもそもこの曲はどのようにできたものだったのでしょうか?

「この曲はちょっと悪い言葉を使っているので、日本の皆さんを、自分が汚してしまったんじゃないか?という申し訳ない気持ちが実はちょっとあるんだ…(笑)。それはそれとして、この曲の中で歌っていることは、過去に起きた出来事で暗くなったり落ち込んだりしている自分を、そこから解放して自由にするということ。題材は失恋だけど、日本の皆さんも真面目に1日仕事をして、終わったあとに解放したいという気持ちがあって、そこが共感を呼んだのかな?という気がしているよ」

──日本の失恋ソングでは、忘れられない思いや叶わない切ない気持ちを歌うものが多いので、“もう俺ら終わってんの”、“早く出ていってくれよ”という気持ちに共感したという人も多いのではないかと思います。

「それはそうだと思う! でも実は自分も本当は未練を持つタイプなんだ。アーティストだからその未練を歌うこともあるけど、たまにはその未練を断ち切って先に進まなきゃと思うときもあって。「LALALALALALALALALALA」は、“もう捨ててやれ!”って思った瞬間を捉えた曲で、その強がっている感じが日本の皆さんの共感を呼んだのなら、また強がってみようかな?(笑)」

──そんな「LALALALALALALALALALA」に日本語を載せた新バージョン=Tokyo Versionを制作することになった経緯を教えてください。

「オリジナルバージョンが日本ですごく成功したので、今度は自分のほうから日本に歩み寄りたいと思って。SKY-HIとはラジオ番組のインタビューで知り合ったんだけど、すごく共通する部分が多かっこともあって友情に発展して。彼と一緒に「LALALALALALALALALALA」のニューバージョンが作れたらいいなと思ったんだ。実際に2人でスタジオに入って作業をして。自分で言うのもアレだけど…自信作になったよ!」

──SKY-HIさんとは共通点が多いということですが、具体的にどういう点が?

「昔の話をしているときに、僕が機材を買うのに苦労してお金を貯めてアーティストとしてやってきたという話をしたら、彼もここまで来るのに金銭面でも精神面でもいろいろと苦労したという話をしてくれて。そういう過去がお互いにあるから分かり合えるんだなと思った。単なる音楽的なコラボだけじゃなくて、背負ってきたものも含めて同じものがあるんだなって。それと、これはスタジオに入ってからわかったことなんだけど、SKY-HIはプロデューサーでもあり、ソングライターでもあり、シンガーでもあり、そして自分でマネジメント会社も経営している。実は僕も、プロデュースもソングライティングもするし、シンガーでもあるし、実は会社もやっている。そういった点でも話題が尽きなくて。まるで生き別れた双子の兄妹が日本にいたのかと思うくらい、自然と話が合ったんだ」

──SKY-HIさんとの制作はどのように進めていったのでしょうか?

「今の時代は、インストのトラックを送って、それにボーカルを乗せて返してくるという形で便利な方法でもできちゃうんだけど、そうやってできた曲って、聴いたら“リリースするためだけに作ったんだろうな”っていうのがわかってしまうんだ。だから、今回は本当に正しい形でやりたいと思って…SKY-HIの世界に自分から入っていきたいと思ったんだ。だから2人でスタジオに入って、お互いに理解し合いながら作った。そのことが、最終的に曲にも表れるし、曲のレベルも上げてくれると思った。SKY-HIはすごく忙しい人なのに、本当に深夜までスタジオ作業に付き合ってくれて。彼はフィーチャリングアーティストなんだけど、むしろ彼の曲だと言っていいと思うくらい、本当にSKY-HIのおかげでいい曲になったよ!」

──そうだったんですね。距離も離れているし、データの送り合いで制作したのかと思いました。

「ちゃんと一緒にスタジオに入ったんだよ! しかも、スタジオでコラボして終わりじゃなくて、そのあとディナーにも行ったし、彼が手がけているアーティストのコンサートも見に行った。そうやってSKY-HIの目を通して、日本を見ることができたんだ。「LALALALALALALALALALA (Tokyo Version)」に<Toko Drift>という歌詞が出てくるんだけど、これも彼とオフタイムまで一緒に過ごしたことが反映されているんだ」

──「LALALALALALALALALALA (Tokyo Version)」は原曲と比べて、キーが少し下がっているなど、原曲との違いがいくつも見受けられますが、Tokyo Versionを作る上で意識したことやこだわったことを教えてください。

「既にヒットした曲を4年後にまたニューバージョンとして出すことは、かなりなチャレンジで。変えたくない部分もあるけど、現在の音を反映させたいという気持ちもあった。それもあって、自分の声とSKY-HIの声にあわせてキーを下げたし、BPMも2〜3早くして。ベースもヘヴィになっているし、リズムもダンサブルになっている。あと、SKY-HIのパートは、オリジナルではちょっと声がドライなんだけど、それは当時のトレンドだったから。今回は今のトレンドにあわせてハーモニーを重ねたりして、厚くしたんだ。今活動しているアーティストとして、ただただ4年前と同じトラックにボーカルだけ変えてリリースするってことはしたくなかったし、SKY-HIがそれに付き合うだけのパッションを持ってくれたのも嬉しかった。オリジナルが好きだった人は、きっとTokyo Versionももっと好きになってくれると思うし、とにかく僕はすごく気に入っているよ。みんながどんな反応をしてくれるかとても興味があるね」

──共に制作をしたことで感じたSKY-HIさんの、ミュージシャンとしての魅力はどういうところですか?

「まず、あんなに早くリリックを書ける人は初めて見た、というくらいにリリックを書き上げるのが早かった。あとはボーカル。自分のチームのメンバーもすごく驚いていたんだけど、ラップもできるし、歌も歌える。普通、人間は得意な分野があるとそこに止まりがちなんだけど、彼はものすごく幅が広いし、声も変えられる。そういうところにすごく感動したんだ」

──ではMIKOLASさんご自身は、今回のコラボ制作によって何か気づきや得たものはありますか?

「何を得たかといえば、素晴らしい友人。こうやって日本に来ても、単に旅行として来るんじゃなくて、繋がりを感じられる形で日本にいられるというのがすごく嬉しい。「LALALALALALALALALALA (Tokyo Version)」は、ずっと昔から行きたいと思っていた日本という新しい世界へのドアを開けてくれるきっかけになったから、本当に日本のファンに感謝しているよ」

──今回のコラボは、今後のMIKOLASさんの音楽制作や音楽活動には何か影響を与えそうですか?

「絶対に影響はあると思う。日本に来て、日本の音楽を聴いたり、日本のグループのコンサートを見たりしたことで、初めて知ったこともたくさんあったし、そこで学びやインスピレーションを受けた部分というのはすごく大きいね。両角修という日本人の画家がいるんだけど、彼はずっと日本で絵を描いていたけどスイスへ行ってからはどこかスイスの影響が入った画風になったんだ。僕も同じように、自分の持っているチェコらしさを持ったまま日本に来たことで、その影響が入ってくるんじゃないかな。実は今2ndアルバムを準備しているところなんだけど、そこにも既に影響が出ていると思うよ」

──2ndアルバム、楽しみにしています!

「僕も!1stアルバム(2024年3月発売の『ONE』)がリリースされた頃には既に2ndアルバムの制作に取り掛かっていたから、ずっと自分の中で鳴っていた音楽がようやくみんなに聴いてもらえると思うと、今から楽しみだよ!」

──MIKOLASさんは、2020年に活動休止をして、3年を経て2023年に活動を再開しました。音楽活動をすること、音楽を生み出すということに対して、今はどのような思いでいるのでしょうか?

「僕はユーロビジョン・ソング・コンテストという大きなイベントに呼ばれて6位になったことで、突然、想像もしない世界に行ってしまったんだ。でも自分としてはどうにか変わらないでやっていこうと思って、小さなチームで頑張っていたんだけど、限界が来てしまって活動を休止をした。そこで本当に自分がやりたいことをやれるようにもう一度足元を固めてから、活動を再開したんだ。だから、今は本当に自分がやりたいこと、それはつまり音楽が、すごくやりやすい環境でできていているよ」

──では最後に、日本のリスナーやファンに対して期待することを聞かせてください。

「数日後に日本のファンとのイベントがあるので(※取材は10月下旬に実施)、そこでみんながどう思っているのかを知ることになるんだけど、実際、イベントに想像以上の人が申し込んでくれて、本当に驚いたし、嬉しい。だから僕が日本のリスナーやファンに何かを期待するか?ということよりも、僕がみんなから期待されていることのほうが多いと思うんだけど…。だからこそ、ライブやイベントもそうだし、新曲も出さなきゃと思っているところ。まずはその一歩として、「LALALALALALALALALALA (Tokyo Version)」を、オリジナル同様にみんなに楽しんでもらえたら嬉しいな。そして、これからも僕からみんなの世界に足を踏み入れていきたいと思っているよ」

──ということは、今後も日本向けの楽曲のリリースなども?

「あまり話しちゃうとみんなの楽しみがなくなっちゃうから詳しくは言えないんだけど(笑)、いろいろあると思うのでこれからも注目していてほしいね。日本のavexチームもすごく良くて。今までで一番いいチームなんじゃないかな? 自分としてはすごくやりやすいチームなので、引き続き一緒にいろいろなことができたらと思っているよ!」

SKY-HI:INTERVIEW

──「LALALALALALALALALALA」のオリジナルバージョンを初めて聴いたときの印象を教えてください。

「ジャンルの混ざり方が独特且つ明け透けで、しかもどのパートでもずっとフックを聴いている様なキャッチーさがありました。流して聴ける軽さと、職人気質の拘りが同時に感じられてとてもワクワクしました」

──MIKOLASさんとの「LALALALALALALALALALA」のコラボ制作のアイデアを聞いたときはどう感じましたか?

「既にヒットしている楽曲を作り直すと言うことに不安はありましたが、ミコラスという人間自体に強い興味があったのでやってみたいなと思いました」

──「LALALALALALALALALALA (Tokyo Version)」はMIKOLASさんとのスタジオ作業を経て誕生したと伺いました。制作するうえで、こだわったことや大切にしたことはどのようなことでしたか?

「ミコラスにとっての100%をちゃんと出す事を心掛けました。ミコラスの楽曲に新たなパートを加えるのではなく、ミコラスが新たに産み出す楽曲解釈の為に力を貸したかったです」

──コラボ制作を経て感じた、アーティストとしてのMIKOLASさんの魅力はどのようなものですか?

「オープンマインドと音楽的好奇心、いや全ての物事への好奇心がとても魅力的でした。自分もアイデアは手数を出してから必要に応じで一つ一つを詰めていくので、手数を出しやすい空気でスタジオにいてくれた事が本当に助かりました」

──音楽制作のほか、食事やライブ鑑賞も共にしたそうですが、交流を深める中で感じたMIKOLASさんの人間的な魅力はどのようなところに感じましたか? チャーミングなエピソードなどがあればあわせて教えてください。

「ジョークをよく言うし、アイデアに対する“Yes”、“No”もハッキリしているし、自分の事をしっかりと愛せている人だと思うのですが、出された食べ物で苦手である場合にも苦手、とは言わずにこっそり人に渡したり、“足が長いね!”というのにも"おかげさまで飛行機が窮屈だぜ!"とウィットに富んだ返しをされたり、自己愛と他者愛が共にすごく高いレベルで、人として惚れ惚れしました」

──MIKOLASさんとの制作は、SKY-HIさんご自身や、SKY-HIさんの音楽制作・音楽活動にはどのような影響を与えましたか?

「やっぱり、アイデアをたくさん出すのは楽しいだけじゃなくて有意義な音楽制作に必要な事だと感じられましたし、"音楽を好きって気持ちって美しいな!楽しいな!"と初期衝動を蘇らせてくれました。素敵な出会いに心から感謝しています」

(おわり)

取材・文/小林千絵

RELEASE INFORMATION

2024年10月28日(金)配信

MIKOLAS, SKY-HI「LALALALALALALALALALA (Tokyo Version)」

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