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家庭料理が無性に食べたくなったら重宝する店【福岡市・中洲】

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だんご汁

一人暮らしが長いと、時々無性に家庭料理が食べたくなる時がある。そんな時に重宝するのが、この店「おふくろの味 一休さん」だ。

「めちゃめちゃ久しぶりですね。いつぶりですかね?」
「5年くらい前に、おひとりでカウンター席にいらしたのが最後ですね。」
と店主の真弓さん。よく覚えているなぁと感心してしまう。

真弓さんは福岡出身で、今年で71歳になるらしいが、とてもお元気だし肌艶も良いので、とても70歳過ぎには見えない。若い時から中洲に勤めていたそうだが、長崎や四国にもいたことがあるらしい。もともと料理をするのが大好きで、長崎にいた時の得意料理は「ちゃんぽん」だったようだ。「ちゃんぽん」はここのメニューにないが、そのうち機会があったら是非食べてみたいものだ。

この店は1973年の創業で、当初は「利花苑 中洲店」の斜め前のビルの1階にあったのだそうだ。その後、真弓さんが33歳の時に創業者から店を引き継いだ。そして、平成元年(1989年)には、店主が大好きな中洲の那珂川沿いに移転し、令和元年(2019年)に現在の場所に落ち着いた。

15年くらい前だっただろうか、飲んだ後に友人たちに連れてきてもらったのがきっかけで、無性に家庭料理が食べたくなった時にお世話になった。中洲で飲んだ後に小腹が空いたら、おばんざいとビールで一杯やって、シメは「豚汁」(770円)というように、みんながそれぞれ好き勝手できるのがこの店の魅力なのだ。店内のホワイトボードに書かれたメニューには値段が書いてないので、初めての人は怪訝に思うかもしれないが、どうやら人数や人によって量を変えているので、値段を決められないらしい。それでも心配なら、ちゃんと値段が書いてあるメニューもあるので、そちらを注文すれば安心できるだろう。ただ、ここは中洲にしてはめちゃめちゃ安いので、一度来てしまえば、次からはそんな心配はきっとしないと思う。

真弓さんは、店を継承する時に、名物の「だんご汁」(715円)のレシピも一緒に引き継いだが、この38年の間に改良を重ねて、現在のレシピになったとのこと。かつおベースの出汁と3種類の味噌をブレンドした「だんご汁」には、数種類の小麦粉をこねて引き延ばした「だんご」と、かぼちゃ、さつまいも、ニンジン、ごぼう、こんにゃく、豚肉、ネギ、タマネギが入っており、なんとタマネギは、シャキシャキとクタクタの食感が異なる2種類が入っているのだ。お願いすれば、どちらか好きな食感の方だけにしてくれるのも嬉しい。

「だんご汁」の前に是非食べてほしいのが、手作りのおばんざいだ。毎日5種類くらいのおばんざいが大皿に盛りつけられており、「大皿の三種盛り」(990円~)が一人暮らしの胃袋に染みるよ。

そして「さばの煮炙り」(660円)は、約50年前の創業当時からあるメニューで、こってりで、ちょっと甘めの味付け。作ったその日がいちばん若く、3日目くらいにちょっとかたくなるので、それが好きと言うお客もいるそうだ。年寄り向けに柔らかくして、骨を抜いてくれている心遣いがありがたい。

もし、さっぱりしたものが食べたいのなら、きなこ豚を使った「豚しゃぶサラダ」(935円)がオススメ。ゴマダレがかかっているが、案外さっぱりといただけるのだ。

そうそう、ここにはその日に仕入れた新鮮な魚もある。ついつい「タコとイカの刺身」(1100円~)も食べてしまった。

最初に注文した「生レモンサワー」(550円)の氷は、製氷機のものではなく、氷屋から仕入れたものなのだ。溶けにくいのが特徴だが、わざわざコストをかけて、毎回仕入れているこだわりにも頭が下がる。
また、店内の音楽についてもお客の年代によって変えるというからびっくりだ。つい、複数の年代にまたがったお客が入り混じったらどうするのだろうとか邪推してしまうが、今現在、これほどまでに気遣いができる店が、どれだけあるだろうかと思ってしまう。

最近では、コロナ禍をきっかけに、ご高齢の先輩方が店を閉めることが増えたので、めちゃめちゃ寂しい。なので、こちらのわがままかもしれないが、真弓さんにはできるかぎりずっと店を続けてほしいと思ってしまう。でも、そう思うならもっと頻繁に通わんといかんよね。

おふくろの味 一休さん
福岡市博多区中洲4-1-14
092-271-0536

デビ高橋
福岡グルメや福岡ランチを紹介しているブログ「デビログ」を運営。「お肉博士1級」の資格も持ち、グルメ関連のキュレーター・講師・審査員を務めたり、福岡のテレビ・ラジオで活躍中。著書は「15年間毎日外食して、1万軒を食べ歩いた『デビログ』が見つけた福岡グルメの答え全100店」(KADOKAWA)。インスタID:devi_takahashi

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