創業130年の老舗【石黒種麹店】江戸期から続く手作り伝統製法で作る南砺福光の「麹と味噌と甘酒」
醤油や味噌、酢など、日本の食文化を支える「発酵食」。その要である「麹」を昔ながらの製法で作り続ける店が、富山県南砺市にあります。
福光地域に店を構える「石黒種麹店」。
2025年に130周年を迎える1895年創業の老舗で、世界の名だたる料理人も御用達の麹店です。
創業時から変わらない――江戸期のままの麹の味
伝統の手作り「麹蓋製法」
創業当時から変わらず貫いているのが、「麹蓋(こうじぶた)製法」。蒸した米と麹菌を混ぜ合わせ、蓋と呼ばれる木製の盆に1枚1枚盛り、木棚に並べて発酵させる伝統製法です。
昼夜を問わず熟練の職人が丁寧に手作業で仕込むため、手間や練度が必要となりますが、麹の力が最大限に発揮され、安定して高い品質の米麹を作ることができます。
北陸で唯一。一子相伝の「種麹」
そして、その麹を作るもととなる「種麹」を製造しているのも、北陸で唯一、石黒種麹店だけです。
全国の味噌・麹店でも使用される石黒種麹店の「種麹」。その製法は一子相伝で、跡取り以外には決して口外されないのだとか…。
生きたままの麹菌だからうまみが違う! 自慢の「味噌」
店を訪れる多くの客が買い求めるのは、こだわりの麹から作られる味噌です。
深い味わいの「蔵出し味噌」、まろやかな味の「極上味噌」、料亭でも使用される「こだわり味噌」の3種を取り扱っています。
原材料にこだわり、酒精(アルコール)を使わずに作っているので、味噌の中の麹菌が生きたままの状態なんだそう。一般的に味噌は常温でも保存ができると言われますが、石黒種麹店の味噌は、麹が溶けるほど酵素が強い「生きた味噌」のため、常温で置いておくと容器がふくらんでしまうそう。必ず冷蔵庫で保存しなければいけません。
“飲む点滴”とも呼ばれる栄養豊富な米麹の「甘酒」
味噌と並ぶ人気商品が、甘酒です。
栄養豊富で体力回復に効果的として、日本では古くから夏場の“栄養ドリンク”として親しまれてきた飲み物です。最近ではその栄養価の高さや肌によいとされる成分から“飲む点滴”とも呼ばれ、女性を中心に人気が高まっています。
石黒種麹店の甘酒は、無添加で、麹本来の甘みを引き出したノンアルコールタイプ。
富山県産のコシヒカリと新大正もち米、能登の塩で作られていて、寒い季節にはあたためて飲むものオススメです。
北陸の冬の郷土料理「かぶらずし」専用の甘酒も
飲むタイプの甘酒だけでなく、こんな商品も。
かぶらずし専用の甘酒です。
かぶらずしは、塩漬けにしたカブに、酢でしめたブリやサバを挟み、麹に漬け込んで作る郷土料理。なれずしの一種で、石川県加賀地方や富山県西部を中心に北陸で広く親しまれる冬の味覚です。
近年はわざわざ家庭で作る人は減る傾向にありますが、一方で、若い世代向けに「かぶらずし作り教室」が開かれるなど、手作りの文化も継承され、食品メーカーから販売される加工商品とあわせて楽しまれています。
石黒種麹店が販売するかぶらずし用の甘酒は、酵素がたっぷり入っていて、麹菌が作り出す甘みと旨みが特徴です。
かぶらずしを作るときにはカブに対して5~6割の甘酒を使うのが目安ですが、乳酸発酵が決め手となるため、贅沢に7割ほど使うとさらにおいしく仕上がるんだそう。老舗ならではの専用甘酒でかぶらずしに挑戦するのも、この冬はいいかもしれませんね。
出典:KNBテレビ「いっちゃんKNB」
2024年11月26日放送
記事編集:nan-nan編集部
【石黒種麹店】
住所 富山県南砺市福光新町54
営業時間 月~金曜 9:00~18:00
土・日曜、祝日 10:00~17:00
定休日 第1・3・5日曜