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「僕ら、この世界を全力で生きています」~ミュージカル「贄姫と獣の王~the KING of BEASTS~」今牧輝琉&白柏寿大インタビュー

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(左から)白柏寿大、今牧輝琉

友藤結の人気コミック「贄姫と獣の王」を初ミュージカル化した本作は、魔族を統べるオズマルゴ国の孤高の王・レオンハートと、彼に99番目の生贄として捧げられた人間の少女・サリフィとの“運命の出会い”を軸に、瘴気漂う禁忌の世界に生きる者たちを描く“人外×少女”の異種ロマンスである。今回、本番までのカウントダウンが始まった稽古場で取材に応じたのは、ラントベルト役の今牧輝琉とフェンリル役の白柏寿大。初共演以来親交を深めてきたふたりが、作品に宿るカンパニー全体の「愛」を熱く熱く語ってくれた。

(左から)白柏寿大、今牧輝琉

ーーまずはそれぞれのキャラクターについてお聞かせください。今牧さんが演じるのはサリフィの親衛隊長を務める青年・ラントベルト。

今牧:ラントベルトはかつてオズマルゴを裏切って敵国についたハイエナ族の1人なんですけど…その裏切りの歴史よりも、彼にとってはハイエナ族というだけでずっと周りから罵詈雑言を浴びさせられて仲間外れだったことがすごく大きいことで、それで自分自身の力で這い上がって周りを見返してやるという一心でサリフィの親衛隊長に志願して。悲しい過去もあるんですけど…ぜひ、原作も読んでみてください!

ーー血気盛んなところも魅力ですよね。

今牧:今回、最初に登場する瞬間がすごく大事だと思っていて、そこはもう結構ガツンといきたい。原作の感じよりも強めにラントベルトです、ドン! ってまずはお客様にインパクトを残して、そこからだんだんちゃんと原作のラントベルトらしさを出していきたいなと思っています。これまでの経験から「漫画で見るサイズ感よりも強く出していかないと舞台では成立しないところもある」と学んだので、それをしっかり実行していこうかと。

今牧輝琉

ーー白柏さんが演じるフェンリルは、反王政派組織の亡国の幻狼軍を率いる魔族です。

白柏:敵国の王。正々堂々ちゃんと筋が通ってて、裏表がなく、気持ちいいくらいにまっすぐな性格ですね。

ーー強引に見えて、周囲の声にも耳を貸し、しっかり自分の心で考えられる。

白柏:ツンケンしてるようだけど他人を大切に思える気持ちも持ってたりするので、敵ながら憎めない、なんならすごい好きになるっていうところがすごく素敵に描かれているんです。多分、みんなが好きになれるキャラじゃないかなぁ。輝琉ちゃんが言うようにフェンリルの見せ方も舞台ならではのデフォルメが必要だと思っていて…ちょっと強く見せる時のあえての立ち方とか、ポイントポイントで「ああ、彼は狼なんだな」っていうところを初見でもわかるよううまく提示していけたらな、と。もちろん原作ファンの方にもちゃんと「フェンリルだ」って思ってもらいたいですし、いいとこ取りの在り方を残りの稽古でも探っていきたいです。

白柏寿大

今牧:遠吠えとかは? アオ〜ッ!

白柏:ただ僕らは獣のような姿の魔族ではあるけれど、物語のテーマはそこじゃなくて、差別や闘いや友情や愛……描かれている内容は人間にも共通することばかり。すごく繊細な心のやり取りもあったりするので、そこはもう動物とか関係ない、みんな一緒なんですよ。そもそも種族主義じゃないですから、僕ら。

今牧:そうです! 種族主義じゃないですからね我々は。いいこと言う〜。

白柏:みんな平等に、だね。

ーー王=レオンハート役の加藤大悟さんはいかがですか?

白柏:あの腰抜けの? 僕は「王様は?」って言われたら、自分のことしか浮かばないからね……なんて(笑)。

今牧:(笑)。ライバルだ! 僕は以前大悟くんと共演してるんですけど、今回はそのときのイメージとは全然違ってて、なんかもう本当に立ち姿だけでレオンハートだなって思います。王はふたつの顔を持っているのでシーンによって強かったり繊細だったりと、全然雰囲気も違うんです。ラントベルトとのシーンは基本、強い王の姿。王であるレオンハートを演じる大悟くんが目の前に来ると、稽古場でもすでに存在感がすごい。これに衣裳がついたらどうなるんだろう? って、初日が開幕するときが今からすごく楽しみですね。

白柏:大悟は僕も以前から知ってて、レオンハートはあいつのあいつらしいところ……繊細な部分が存分に活かされながら、強くあろうとする王としても戦ってるっていう空気がすごく伝わってくる。人間の王と魔族の王の間で揺れてる思いがもうそのまま大悟のイメージというか、繊細だけど強がろうと頑張っている感じ、違う存在となれるよう挑戦している感じがすごくいいなって思います。で、やっぱりでかいし強そうだから、いざ対面したときはやはり「こいつ、ねじ伏せたいな」とたぎってしまうでしょうね。

(左から)白柏寿大、今牧輝琉

ーー稽古はいよいよ仕上げへと突入している段階ですね。ここまでを振り返ると?

白柏:いろいろありましたけど、隣にいる輝琉ちゃんのいい話で言うと……。

今牧:なになに?

白柏:僕は彼のこと大好きで今までの関係からもう家族みたいって思ってるんですけど、輝琉ちゃんって演出家から「もっとこうして」とか言われていない部分でも、稽古の中でどんどんどんどん自分から新しいものを出す、持ってくるっていう作業を欠かさないんです。毎回しっかり完璧にやり終えたはずなのに、毎回ちゃんと稽古後に悩んでる。「どうしたの?」って聞くと、「いや、ここを直したいんですけど……」って感じで、常に何かしら課題を見つけ、それを次にはちゃんとクリアにして稽古に臨んでいる。そして、先日初めて1幕、2幕をしっかり通したときは観ていて「うわ、もう仕上げてきたー」って思ったぐらい「すごいな」と思った瞬間があって、それがなんかすごく自分への刺激になったんです。やっぱり稽古中でも何も言われなければもうそこはできてるなって安心しちゃいがちなんですけど、輝琉ちゃんはそうじゃない。そういうのとは関係なく全部自分と戦ってる輝琉ちゃんを見てると「慢心しちゃいけないな」って気づけるんだよね。

今牧:嬉しいっ。じゃあ僕も寿大さんのエピソードなんですけど、僕が初めてご一緒させていただいたのが17歳の頃。まだまだ「お芝居とはなんぞや」みたいなものを全くわからず……みたいな状態だったんですけど、同じチームだったっていうのもあって、寿大さんがいろんなことを本当に付きっきりでいっぱい教えてくださったんですよ。で、今回も稽古場の席が隣なんですけど、僕が自分のシーンが終わって帰ってきたときに「ここをもうちょっとああしたらかっこよくなりそうだね」みたいにさりげなく言ってくれる。僕のシーン以外でも、ちょっと面白いシーンがあったときにふと寿大さんのほうを見たら、寿大さんは周りのみんなが笑ってる中、笑わずずっと真剣にお芝居を見て何かを考えていたりする。多分僕のシーンもそうやってすっごい真剣に見てくれているんだなぁって思うとすごく信頼できるし、より一層自分への気合いが入りますね。1幕は絡みのシーンも多いので、一緒にディスカッションしていろんなアイデアを話し合えているし、助けられてます。

(左から)白柏寿大、今牧輝琉

白柏:いやあ……なんか、偉そうにすんません。

今牧:いやいやいや!

白柏:ま、それこそ戦う役でもね、やっぱりしっかり話し合えたほうがいいんで、仲いいに越したことないですから。

ーー劇中のミュージカルナンバーも気になります。

白柏:フェンリル、一発目に歌うのが「こんな感じの曲歌うの!?」っていうナンバーで、それがまた素敵なんですけど難しくもあり、なんとなく自分が今まで通ってきてなかったところでもあり。難しいけれどどういうふうにしたらいいんだろうっていうのをずっと考えられるのは楽しいですし、大きな課題ですね。逃げずに向き合っていけたら、ちょっと今までにない自分の姿を見てもらえるのかなと思える課題。なんか色々詳しく言うのは恥ずかしいんですけど、まあシンプルに「もっと上手くなりたい」「もっと上手くなろう」「もっともっと……」というところかな。どこまでいけたかはぜひ本番で確認していただけたら。あとね、ラントベルトの曲もすごくいいんですよ〜。この作品の中で1曲だけ、本当に異質なんじゃないかぐらいのナンバーがあって。ラントベルトショータイムって感じで、すごくいいんです。マジでいい。

今牧:ありがたいことにソロ曲をいただいてるんですけど、確かに寿大さんが言ってくれたように今まで出演したミュージカルで歌ってきた曲と比べても異質なナンバーで、しかもラントベルトっていうキャラクターの個性とも相まって、ああ、自分もまだまだいろんなパターンを持って歌えるんだなって思えている曲。稽古でもいろんな方からいっぱい褒めてもらって、結構自信もついてきています。ラントベルトが持つ全てを込めて、しかも登場して結構すぐに歌うので、そこで第一印象をつけてやるぞ! って……早く聴いてもらいたいです!

今牧輝琉

白柏:とにかくもう全体的に「ザ・ミュージカル」っていう感じが溢れてる。「この音楽の壮大さ、ミュージカルだ」的な。

今牧:幕が開くときの開演のキュー、あれがすでにもうすごい! 本当にここから先は別世界、異世界へと連れていかれるぞっていう空気が劇場に「バンッ」て用意されてる感じがして。

白柏:異世界、いいね。

今牧:銀河劇場が似合う作品だなと思いましたし、出演が決まった時に原作を読ませていただいて、「これは絶対ミュージカルが似合うぞ」と思ったんですけど、本当にその通りでした。

白柏:何がいいって、僕たちも含め作品に関わっているみんなが「原作おもしろい!」って言いながらやってるのが素敵だよね。みんな思い入れがすごいから、台本だけじゃなく原作をちゃんと見て、ああしようこうしようっていうのがすごくいい。何より顔合わせでのプロデューサーさんの挨拶が過去イチ長かった(笑)。でもそれこそが素敵なこと。こんなにも愛を持ってこの作品をやりたいんだっていうのを僕らも最初に知ることができたから。

今牧:そうそう。伝わってきました、愛。

白柏:愛で溢れてるなぁって今もすごく感じてるし、そういうカンパニーが作る作品は絶対素敵な仕上がりになるって、僕は信じてますから。

白柏寿大

今牧:うん。僕たちの「贄姫と獣の王」愛は深いです。

ーーそれは本当に幸せなミュージカル化ですね。

今牧:そうなんですよね。原作の全15巻がこの1作にギュッと詰め込まれている分、みんなが原作としっかり向き合って、自分の役を研究して、台本に描かれていないところもちゃんと考えてる。僕はこの作品においてはサリフィの言葉にすごく胸を打たれるシーンがたくさんあったんです。僕も王様も他の人たちもサリフィの心にみんなが救われるなと思ったので、それはたぶん観てくださるお客様にも刺さるんじゃないかなって。現に今牧輝琉に思いっきり刺さってますから! サリフィだけじゃなくて、いろんなキャラクターのいろんな部分が心に刺さって、その強さが明日からの活力になるようにも思う。この舞台が「自分も弱い心を消してやろう」みたいな感じに……皆さんの何かの源になれたらいいなって、思っています。

白柏:取材していただいた今日、まさに稽古場にセットが入り、みんなの衣裳やウィッグも見れて、さらに本番へのイメージが膨らんでいるところです。スケールがでかい作品だぞと思うのと同時に、原作の素晴らしさを舞台として伝えられるようキャラクター一人ひとりの心の繊細さも大切に稽古しています。そこはもう僕たちを信頼してください。本当に面白い作品にすることを約束しますので……って、これ、自らハードル上げちゃってるなぁ。

今牧:いやもうここまできたら上げちゃいましょう。

白柏:そうだね、もうどんどん上げよう。で、みんなでがっつり上を飛んでいこう。もう僕、全力で生きるから、そんなフェンリルの生きざまをしっかりと見届けてほしいです。「全力で生きてる」っていうパワーをみなさんに届けますので。

今牧:はい。僕もあの世界で全力でランベルトを生きます。がんばります!

(左から)白柏寿大、今牧輝琉

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プラみちゃんアクスタと一緒に!! 今牧輝琉

白柏寿大

取材・文=横澤由香     撮影=池上夢貢

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