県民ホールで最終公演 建て替えで長期休館に
老朽化による建て替えで4月から長期休館となった神奈川県民ホール=中区山下町=は3月31日、現ホールでの最終日を迎えた。「ありがとう県民ホール」と題した大ホールでのフィナーレコンサートのほか、パイプオルガンを備えた小ホールやギャラリーで最後のセレモニーなどが行われた。来場者はギャラリーの壁にメッセージを書き残すなど、多くの人が別れを惜しんだ。
同ホールは1975年1月17日、山下公園や横浜港、中華街に隣接する恵まれた場所に、全国屈指の大型文化施設として誕生。最大2493人収容可能な大ホールやパイプオルガンのある小ホール、ギャラリー、会議室、レストランなどを備えた。2023年に累計入場者数は3千万人を突破。半世紀にわたり文化芸術の拠点として親しまれてきた。
施設老朽化のため、神奈川県は昨年11月に建て替えによる再整備の方針を表明。市内臨海地域にはない本格的なオペラやバレエの公演ができる施設を念頭に置き、誰もが使いやすいバリアフリーを意識した施設を目指すとしている。
今年度は基本構想を策定するため委員会を立ち上げ、新たなホールが目指す方向性や求められる機能、施設の規模などについて検討していく。
「千載一遇の機会」
総支配人の眞野純さん(76)は建て替えを「千載一遇のチャンス」と捉え、「県内各地で様々な事業を展開していく計画を進めている」と話す。
4月は19日・20日に県立青少年センター紅葉坂ホールでリーディングドラマ「ふしぎ駄菓子屋銭天堂」が行われる。眞野さんは「神奈川県はそれぞれの地域に独自文化があり多様な活動団体がある。休館が空白期間にならないように、33市町村でもれなく公演をやりたいんです」とにっこり。それぞれの市町村が求めることを協力して作りあげることで、心を通わせ繋がりを強めていきたいと考える。「休館は7〜8年、もしかしたら10年はかかるかもしれない。だけど、その間に水平的に各施設が繋がっていけば、その年数は無駄ではないはず」。今以上の役割が期待されるであろう新施設開館に備え、可能性の幅を広げる。