県立四季の森公園ともしびショップ 3月15日、35年の歴史に幕 閉店を惜しむ声続々
県立四季の森公園の南口広場近くの売店「県立四季の森公園ともしびショップ」が3月15日(土)に閉店する。1990年6月の開店以後、同公園を訪れる多くの世代の憩いの場として親しまれてきた同店。丸35年の節目を前に、15日午後3時、その歴史に幕を閉じる。
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ともしびショップとは、神奈川県社会福祉協議会が認定、運営支援などを行なっている売店やカフェ。障害のある人が働くことを実感し、仲間や地域の人たちとのふれあいの中で自立と社会参加の実現を目指す場として運営されている。県社協によると、ともに生きる福祉社会づくりを目指す「ともしび運動」の輪を地域に広げようと、1989年、第1号店となる「県庁店」がオープン。今年1月8日現在では、県内の公共施設や公園敷地内などさまざまな場所に計30店舗が展開されている。
毎朝の常連客も
同公園内のともしびショップは開店以来、四季の森公園に隣接する「社会福祉法人偕恵園」(旭区上白根町)が運営を継続。区内唯一の店舗で、飲料や菓子、アイスクリームなどの販売のほか、園内で利用できる車いすの貸し出しも行っている。店舗の前には飲料の自動販売機やベンチもあり、広大な園内での散歩などを楽しむ多くの人々の交流の場としても愛されてきた。
同店のスタッフによると、昨年のゴールデンウイーク期間中は延べ1200人以上が来店。また、日頃の来店者の中には、ほぼ毎朝足を運んでスタッフとの会話を楽しんでいる高齢者もいるという。偕恵園が運営する障害福祉サービス事業所「偕恵シグナル」の施設長で、オープン当初から同店に関わっている多田葉子さんは「スタッフとの交流を楽しみにしてくれている人がこんなにたくさんいることがうれしい」と笑顔で語る。
決断
ただ、近隣への大型商業施設の出店のほか、コロナ禍なども背景に売り上げは減少していたという。偕恵園によると、閉店を視野に入れた検討を余儀なくされ、その結果、同公園の指定管理者グループ内の「神奈川県公園協会」との契約終了後、契約更新をしないとの決断に至ったという。
「このショップが好き」。そう話すのは、偕恵園の利用者で、週2回、同店のスタッフとして活動している伊沢勇夫さん。5年ほど前から同店でレジ打ちや値札のシール貼りなどの仕事に携わり、明るい人柄で「人気店員」として親しまれてきた。多くの来店者との交流を深めてきた伊沢さんは「閉店は嫌です」と胸の内を語った。
「残念としか言い様ない」
偕恵園は同店舗での張り紙などで閉店を周知。四季の森公園は同公園のホームページなどで伝えた。県公園協会の職員で、同公園の園長・島田義久さんによると、閉店を知った来園者たちは一様に驚きを隠せない様子だという。
晴天に恵まれた3月7日、この公園によくランニングをしに来るという旭区在住の男性は「お店のスタッフと顔なじみになっていたので、閉店してしまうのはとても寂しい」とため息交じり。愛犬の散歩のため保土ケ谷区から週3回以上は来園するという女性は「オープン当初から来ているので、閉店するのは残念」と話していた。
「このお店には常連さんが結構いらっしゃる」と語る島田園長は「その人たちのことを考えると、残念としか言い様がない」と肩を落とす。
今後の対応を検討
同公園によると、閉店後の建物の活用については現在未定という。車いすの貸し出しについては、公園内北側にある同公園の管理事務所が継続して実施する。
また、ともしびショップ前の自販機は撤去される予定といい、島田園長は「なるべく早いうちに代わりの自販機を置きたいとは思っている」と話している。