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ビッグローブが福岡にネット接続の拠点新設、利用者のメリットは コストや速度、災害時の通信インフラ強化にも貢献

J-CAST会社ウォッチ

インターネット接続サービスのビッグローブ(東京都品川区)は、24年10月に福岡に拠点を新設したことを受け、九州経済とネットワークインフラをテーマにしたトークセッションを2025年3月21日に行った。

同社執行役員CNO(チーフネットワークエンジニアリングオフィサー)の南雄一氏は、今回のビッグローブの九州進出によって、多くのインターネット企業が九州に拠点を作る「ブレイクスルー」を起こしたいと話した。

九州のインターネットインフラの課題は

ビッグローブは24年10月、福岡にインターネット接続の拠点を新設するとともに、コンテンツプロバイダやインターネットサービスプロバイダなどに提供している法人企業向けインターネット接続サービス「BIGLOBE IPトランジットサービス」において、福岡の拠点で提供を開始した。

イベントではまず、同社九州支店長の佐藤徹弥氏が登壇し、「エリアの課題解決やお客様との地元密着した営業活動を展開してまいります」と話した。続けて行われたトークセッションには、南氏と、両親が九州出身という青山学院大学地球社会共生学部学部長でビジネスコンサルタントの松永エリック・匡史学氏が登壇。ファシリテーターとして活躍する岩永真一氏が進行を務めた。

南氏によると、これまで、インターネット接続の拠点となるデータセンターの多くは、日本では東京と大阪に集中していた。そのため、東京、大阪に災害などが起きた際に、九州でもインターネットが利用できなくなるリスクがあったという。

また、平時でも、九州でのインターネット利用には、九州と東京・大阪間の回線が必要になるため、高コストになる可能性があること。そして、九州同士の通信であっても、拠点である東京や大阪を経由する必要があるため、わずかな通信遅延が発生してしまうといった課題があった。

今回ビッグローブが九州に拠点を新設したことで、これらの課題の解決につなげていく。コストの面では、通信量によるが多い場合で2~3割下がるという。

さらに、こうしたネットワークインフラの課題の解決により、これまで東京と大阪に集中していた投資が九州に回るようになることも期待される点だ。

ビッグローブが九州を選んだ理由は

なぜ、いまのタイミングで九州だったのか。

ビッグローブの南氏は取材に、1つは九州にデータセンターができたことだと話す。データセンターには単一の企業で保有しているものと、複数の企業が共同で使用するものがあるが、今回ビッグローブが拠点を新設したのは後者。大規模な商業施設のテナントに入るイメージだ。

しかし、データセンターには複数の事業者が参入する必要があるという。そうした中、九州のインターネット系のコミュニティで、「なんとかして地域外の企業を九州にも呼び込もう」という機運が高まってきていた。こうした動きなどを総合的に踏まえた結果、「今でしょう、と(拠点新設を決めた)」と話した。

現在はまだ参入している事業者が少なく、「様子見のフェーズ」という。もっとも、南氏は、参入企業が少しずつ増えていくことや、イベントなどをきっかけに一気に参入企業が増加する「ブレイクスルー」のフェーズが来るはずだと期待を寄せる。南氏は、ビッグローブが参入することで、「自らブレイクスルーを起こしに行きたい」と明かした。

「新しいビジネスが生まれる可能性」に期待

ビジネスコンサルタントの松永氏はトークセッションで、ビッグローブの取り組みを「単なるネットワークという物理的なもののつながりだけではなく、心やビジネスがつながっていく相互接続」だと考えていると話した。福岡のポテンシャルとして東京よりもつながりが生まれやすいカルチャーがあると指摘し、「東阪ではできなかった新しいビジネスが生まれる可能性がある」と話した。

さらに、自身が携わる「教育」の観点から、塾に通えない子どもにとってインターネットは重要だとし、「通信が整備されてコストが下がっていくということは、実は教育の現場にも非常に大きな意味がある」とも評価した。

南氏は、利用者がネットワークを意識するのは「遅い時」だとし、最終的には「使えている時はたぶん何も感じないですね。そういう状態にしたい」「実は遅延が縮まっていた、短くなっていた、そういう環境を作りたい」と強調した。

とくに、金融やゲームなど「遅延が短いことを期待するようなサービス」に関するビジネスが今後生まれてくるとし、「そういったところに貢献していきたいというのが我々の思い」と話した。

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