5人に1人のある病気で年間3兆5000億円損している!?専門家解説とセルフチェック
成人の約5人に1人とも言われる「ある病気」…。生活習慣病のリスクが、2倍から5倍という隠れた病、そのリスクとは!?
連載「じぶんごとニュース」
年間約3兆5000億円の損失?
札幌市で開かれた「あるプロジェクト」のスタートイベント。北里大学大学院(産業精神保健学)田中克俊教授によって、衝撃の数字が明かされました。
「睡眠の問題による経済損失、医療費および生産性の低下によって、大体年間3兆5000億円くらいの損失がある」
テーマは睡眠。
「睡眠呼吸障害がいかに大変な状態なのか、日本人にいかに多いか」
日本人に多い睡眠障害が国の予算を圧迫しているというのです。
プロジェクトは、道民1000人に約1年にかけて腕時計型の端末をつけてもらい、睡眠の深さ、いびきや無呼吸の時間帯などのデータを収集。
生活の質の向上や企業のリスク軽減に活用しようという試みです。
プロジェクトを主催する、ミルウスの南重信代表は「睡眠時無呼吸症候群を未然に検出して企業が労働者のケアをするのは、これからの1つの流れになってくる」と話します。
「自分ではわからないんですよ」
睡眠障害の中でもリスクが高いのが…寝てる間に呼吸が止まってしまう『睡眠時無呼吸症候群』です。
国内の患者は、2200万人もいると推定されています。
札幌市に住む雅子さんは、5年前に「睡眠時無呼吸症候群」と診断されて以降、「いびき・無呼吸外来」に通い治療を続けています。
札幌もいわ徳洲会病院・後平泰信院長が治療の効果を教えてくれました。
「5年前は、1時間あたりの無呼吸の回数は22回。今回9月9日から11月3日までの結果としては、無呼吸の回数は、1時間あたり0.5回に落ち着いてます」
睡眠時無呼吸症候群の主な症状は「いびき」や「日中の強い眠気」など。
交通事故のリスクは健康な人の5倍といわれています。
この病気は「自覚症状」がないことが、発見を遅らせます。雅子さんも、最初は「いびきが気になる」程度だったといいます。
5年前に友人に勧められた専門外来で『睡眠時無呼吸症候群』と診断。
当時は、寝ている間の1時間に20回以上呼吸が止まっていました。
「自分ではわからないんですよ。そのときは全然自分がそうだって、6時間は最低寝てても、結局は眠れていない…」
その後、『CPAP』と呼ばれる鼻から空気を気道に送る治療機器を寝るときにに装着することでいびきが改善し、熟睡できるようになったといいます。
「すごく寝ていると思います。家族にも迷惑かけなくなったし、身体はやっぱり楽ですね。深く眠っているから」
睡眠時無呼吸症候群は、放置すると大きな病気に発展する恐れがあると、札幌もいわ徳洲会病院・後平泰信院長は指摘します。
「もちろん、いびきや眠気もそうだが、放っておくと脳卒中や高血圧・狭心症などのリスクも出てきます」
睡眠の専門医が解説&セルフチェック
「もしかしたら私も睡眠時無呼吸症候群かも?」
そのセルフチェックポイントは?
①いびきが大きい
②夜中にトイレなどで何度も目が覚める
③起床後も疲れが取れていない…
④日中の眠気が強い
⑤朝起きると頭痛がする
⑥寝ているときに「呼吸が止まっている」と言われた
1つでも当てはまれば睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
常習的に「いびき」をかく人は特に注意です。
また、尿意で起きるのは、眠りが浅い証拠です。
いびきは、太り気味の男性のイメージですが性別は関係なく、女性も注意が必要です。
診断~治療までのプロセス
まずは自宅で、簡単な機器をつけた簡易検査をします。
簡易検査で疑わしい場合は、入院して精密検査。基本的には1泊で結果がわかります。
「睡眠時無呼吸症候群」と診断された場合は、CPAP(シーパップ)と呼ばれる医療機器を着けて、就寝する方法が主流になっています。
札幌もいわ徳洲会病院・後平泰信院長は「睡眠時無呼吸症候群の方は、呼吸が止まることで何度も途中で起きてしまうので、眠りがかなり浅くなっている」と話します。
口と鼻をすっぽり覆うCPAPは一見すると苦しそうに見えるかもしれませんが、実際はまったく逆。
付けると、空気の力で舌が落ち込むのを防ぐので、呼吸がかなり楽になってぐっすりと朝まで寝ることができるのだそう。
病状によっては、やせ型や女性、軽症の患者はマウスピースという治療法があり、横向きに寝る枕での治療も可能になっているということです。
「症状が改善してよく眠れることで、仕事の生産性や生活の質がアップしてメリットの方が大きいと喜ぶ患者さんが多いです」とのことでした。
放置すると大きな病気につながるリスク
糖尿病のリスクは約2倍、高血圧のリスクは約3倍、心不全や脳卒中のリスクは約4倍と生活習慣病の原因になるほか、鬱のリスクも約5倍という報告があります。
少しでも気になったタイミングが受診どきです。
気になる方は一度受診をしてみてはいかがでしょうか。
連載「じぶんごとニュース」
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年11月7日)の情報に基づきます。