【高知グルメPro】作り手の人柄がにじむ香り高いうどんがいただける「さぬきうどん将元」食いしんぼおじさんマッキー牧元の高知満腹日記
「いらっしゃい!」
店に入るなり、元気なおばちゃんたちから声がかかった。
ここは高知県西部の宿毛市でうどんを提供する「さぬきうどん将元」。
うどんを打つのは、店主の男性だが、うどんを作り、天ぷらを揚げ、会計なさるのは、3人の快活なおばちゃんたちである。
カウンターに近づくと「何食べる?あったかいの?冷たいの?」と、やさしい声で聞かれる。
何か親戚のおばちゃんの家に来たかのようで、心が温まる。
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ここでも色々と注文した。
「釜玉ください」と頼むと、
「10分くらいかかるけど大丈夫?」と、聞いてくる。
「はい大丈夫です」と答えて、他のうどんをもらう。
品書きはすべて一玉と二玉の値段が表記されている。
例えば「かけうどん」一玉380円、二玉500円(かけ半というのもあって250円)、「ざるうどん」は、480円と600円である。
大食いの人は二玉がお値打ちである。
さあ、何から来るかとそわそわしていると、「ざるうどん」480円と「和風ぶっかけ」600円が運ばれてきた。
「ざるうどん」の艶々と輝くうどんをつけ汁につけて、勢いよくすする。
うむ、やはり一杯目はざるだな。
その店のうどんの性格が一番わかる。
噛むごとに甘みと香りが膨らんでいく。
一方「和風ぶっかけ」はいろんな具材が乗っていて、見た目にも楽しい。
「和風ぶっかけ」とは、大根おろしに椎茸の飴煮、蟹蒲鉾、海苔、たっぷりのネギ、天かすが乗っていて、いわゆる和風冷やし中華だな。
ここにキツネ、つまり油揚げ煮を参加させる。
椎茸とうどんを一緒にして食べる。
カニカマとうどんを一緒にして食べる。
大根おろしをからめてうどんを食べる。
海苔とうどんを一緒にして食べる。
いろいろ混ぜてとうどんを一緒にして食べる。
うん、これは楽しい。
いろいろな食感と味がうどんとからむのが、実に楽しい。
なかでも、椎茸とうどんを一緒にして食べるのがよかった。
甘い味付けとしなやかな椎茸が、うどんに甘えるようでおいしい。
お次はカレーうどんだ。
「懐かしい」。
一口すすってそう思った。
うどんはしっかりとしたコシがあるが、カレー汁がまろやかで懐かしさがある。
口当たりに角が無く、辛みも少ない。
昭和時代のカレーである。
懐かしい味である。
これにはゲソ天を合わせてみる。
周りカリッと中むっちりとしていて、思わず「好き!」と口ずさみたくなる。
カレー汁に少しつけて食べてもおいしいぞ。
最後に「時間かかるよ」と言われていた、釜揚げが運ばれた。
湯気を上げるお姿が艶やかである。
ここに生卵(20円安い!)を割り入れて、釜玉にしてみた。
醤油をちょいがけして、よくよく混ぜて食べれば、小麦の甘い香りが立ち上がる。
柔らかいが芯にほんのりとコシがあるのがいい。
卵の甘み、醤油の甘みとしょっぱさ、うどんの小麦の香りが混然一体となって、豊かな気分になる。
そこへ先ほどのゲソ天を食べる。
サクッと衣が弾けると、太い蛸の足にググッと歯が食い込んでいく。
そのたくましさが、釜玉の食感を一層膨らますのであった。
最後にご主人が、挨拶に出てきてくれた。
全身小麦粉まみれである。
顔も粉が散って白い。
「美味しかったです」というと、白くなった顔から白い歯を出して「ありがとうございます」と、恥ずかしそうに笑うのだった。
料理にはそれを作る人の人となりが出るのだ。
高知県宿毛市駅前町2-612「将元」にて