ウクライナ情勢、佐藤優氏「日本はうまく立ち回っている」
野村邦丸アナウンサーがパーソナリティを務めるラジオ番組『くにまる食堂』(文化放送・月曜日~金曜日9〜13時)3月26日の放送は、元・外務省主任分析官の佐藤優氏が出演し、ウクライナ情勢の日本の立ち回りについて解説した。
野村邦丸(パーソナリティ)「ウクライナの情勢を前半のコーナーで佐藤優さんは映画“仁義なき戦い”になぞらえてご説明いただきました。アメリカ・トランプ組、ロシア・プーチン組、ウクライナ・ゼレンスキー組があって、トランプ親分がプーチン親分に手打ちにしようと提案。これに対しプーチン親分は条件を付けたいと言ってきている。こういうことですよね」
佐藤優「要するに、アメリカの組長交代があったわけです。それも相当激しい形での組長交代。トランプさんは、ウクライナの戦争をアメリカ合衆国の国家の戦争と見てないんですよね。この戦争に対して非常に悪い目つきで見てるんですよね。トランプさんが考えているのは、アメリカ組とロシア組が未来永劫仲良くしていくということであって、仲良くするためにウクライナ問題を解決していかなきゃいけない。ウクライナというのは、トランプさんから見たら、小さい問題なんです」
邦丸「以前、佐藤さんがおっしゃったのは、21世紀は新帝国主義の始まりである。帝国主義、昔のような領土だけでなく色々なものが絡んでくる」
佐藤「そうなんです。それを今、やってるわけです。例えば、黒海の利権をどうしていくのかとか。そういったことを考えているわけです」
邦丸「こうした状況の中、日本はどういうスタンスでいるのですか?」
佐藤「石破総理は、どちらに味方するわけでもない。博打で例えると“見(けん)にまわる”。自分は賭けないで見ている。そういう状況の中で、この戦争はロシアとヨーロッパの西側の連合の戦争だった。ところが、トランプは、西側連合負けそうだなと思い始めて、仲介役になった。ところが仲介役ではなく、ロシアと組んでウクライナを絞めるようなことをしている。その結果、レアアースと原発をもらおうとしている。その結果、アメリカは仲介者兼準勝者となる。そして、ウクライナとヨーロッパが敗者。日本は傍観者。日本は筋の悪い戦いだからずるく立ち回っている」
邦丸「日本政府はうまく立ち回っているということですか?」
佐藤「うまく立ち回って、じっと見極めて強い方の味方に付こうとしている。筋は西ヨーロッパなんだけど、筋よりは力。新帝国主義にふさわしい、こういった外交をやっているわけです」