まさかの〝官製恋愛シミュレーションゲーム〟爆誕で国民混乱 「福島県庁が狂った」「いかれてやがるぜ」
いったいどういうことなのか? その日、記者は思わず目を疑うゲームの存在を、Xで知った。
その名も、「いきなりストロベリー」。ひらがな×カタカナの組み合わせで、「ときメモ」を彷彿させるタイトルだ。
そしてキャッチコピーは......。
「赤くて甘酸っぱい青春、アカハルーーー ふくしま いちご系恋愛シミュレーション」
......いちご系って、何!?
さっそくプレイしてみた。
た、楽しい~!
「いきなりストロベリー」は福島県が制作した、ブラウザ上で遊べるゲーム。プレイヤーは、ふくしまに引っ越してきたばかりの高校3年生として、ストーリーを進めていく。
ゲームをスタートすると、自分の身にいきなり起きた、衝撃的な出来事を知らされた。
突然、いちごの声が聞こえるようになったというのだ。
なんと、ふくしまいちご系恋愛シミュレーションゲーム「いきなりストロベリー」とは、好きな福島県が生んだオリジナル品種のいちごとのハッピーエンドを目指すゲームだったのである!
「いちごの声が聞こえる」。主人公がそのことに気付いたのは、散歩中のことだった。 突然の雨に降られ、雨宿りをしようとしたところ、誰かの声が聞こえてくる。どうやら近くにあるビニールハウスの中に、主人公を呼び入れようとしているらしい。
3つ並ぶビニールハウスのうち、どれに入るのかが最初の選択肢だ。
「※フィクションです。勝手にビニールハウスに入るのはおやめください」
とわざわざ注意書きがあるのも、丁寧だ。
とりあえず、ビニールハウスを選んでみると......。
本当に、〝いちご〟が話しかけてきた!?
そしてそのまま、女の子の姿に変身――することもなく、1粒のいちごの姿のままの「ゆうやけベリー」との物語が進んでいく。ざ、斬新すぎるだろ......。
相手は、完全にいちごの見た目をしている。なのに、一緒に過ごしていくうちに、だんだん可愛く見えてくる。まさかのフルボイスというのも、豪華だし、可愛さに拍車をかけている。
いちごの隣にある好感度を示すバーも、正しい選択肢を選ぶと上昇していくので、恋愛シミュレーションとしてもかなり再現度が高い。た、楽しい~!
クオリティ高すぎる
ゆうやけベリーと、自転車の二人乗りをする超青春、いや、アカハルなシーンもある。出会って終わり、ではなく、ストーリーも充実しているのだ。
そしてとにかく犯罪行為には厳しい。
「※上記はいちごと人間の2人乗りです。人間同士の2人乗りはおやめください」
このような注意喚起が定期的に挟まれる。筆者的には、これが、一番面白くて、出てくる度に笑ってしまった。やはり、県が作ってるから、しっかりしてるんだな......。
しかも、こういうゲームは結構簡単にクリアできちゃうものが多いイメージだが、いきなりストロベリーは違う。ふくしまのいちごや、ふくしまの〝いちご心〟が分かっていないと、すぐバッドエンドになってしまう。
果皮がデリケートなゆうやけベリーは傷つきやすいのだ。む、難しい......!
「ゆうやけベリー」以外の攻略対象は2いちご。「ふくはる香」と「ふくあや香」で、彼女たちは〝姉妹〟だ。
とってもピュアな正統派ヒロイン、真面目なお姉さん、過去に何かありそうなボクっ子......それぞれ個性があり、ストーリーも全然違って、面白い。
興味本位で恐る恐る始めたはずが、普通に楽しく全ルートを制覇してしまった。
X上でも、
「ちゃんと凝った恋愛シミュレーションゲームになってて、楽しく全部やってしまった」 「いちご系恋愛シミュレーションというからにはイチゴのように可愛らしい女性が出てくるのかと思いきや...!」 「いやオモロwww こういう力の入れ方、好きだ」 「福島県庁が狂った」 「くっそー!www すばらしい!」 「いい意味でいかれてやがるぜ」
と、称賛と動揺の声が寄せられている。
いったいなぜ、こんなゲームが誕生したのか。
Jタウンネット記者はこのゲームを企画した福島県農林水産部農産物流通課に話を聞いた。
甘酸っぱさや、かわいさを...
同課によると、いきなりストロベリーは2025年3月12日に配信開始。ゆうやけベリーなど福島県のオリジナルいちご品種の名前や特徴を消費者に知ってもらい、そして、購入してもらうことが目的だ。
テレビCMやSNS等、様々なPR手段を検討する中で、効果的な手法としてゲームを選択したのだという。
「ゲームの内容については、単純なクイズゲームでは興味をもって取り組んでいただけないと考え、いちごの『甘酸っぱさ』や『かわいさ』という一般的イメージに着目し、目的と話題性のバランスも考慮して恋愛シミュレーション調としました」(福島県農林水産部農産物流通課)
攻略対象いちごたちの性格は、本物のいちごの特徴を反映。彼女たちと対話をしながらストーリーを進展させていくことで、見た目や食味などの特徴を簡単に理解できるようになっている。さらに、いちごたちとビニールハウスの外に繰り出した際には、福島感あふれるデートも体験可能。
「ゲームを通じて、各いちごの品種の特徴や観光地など福島を学べる内容となっていますので、ぜひ、多くの人に楽しんでいただくとともに、SNSなどを通じて発信していただき、福島県のオリジナルいちご品種への理解や購入の促進につながればと考えております」(福島県農林水産部農産物流通課)
「いきなりストロベリー」は、スマートフォン、PCのどちらからもプレイ可能(タブレット、一部バージョン非対応)。ふくしまのいちごとの甘酸っぱい〝アカハル〟を一度は体験してみてほしい。