Yahoo! JAPAN

地域密着型サービス9種類を徹底解説!それぞれのサービス内容と求められるスキル

「みんなの介護」ニュース

藤野 雅一

地域密着型サービス9種類の概要と特長

高齢化が進む日本では、要介護者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる環境づくりが重要です。

2006年の介護保険制度改正を機に創設された「地域密着型サービス」は、そうしたニーズに応えるために設計されました。

地域密着型サービスの基本的な考え方

地域密着型サービスとは、要介護者や認知症高齢者が住み慣れた地域で生活を継続できるよう支援するための介護サービスです。

このサービスの大きな特徴は、利用者がサービス主体となる市町村に住民票を置いている場合のみ利用できる点にあります。

地域密着型サービスが創設された背景には、高齢化の進展による需要の増大があります。

特に2025年には、1947〜1949年頃の第一次ベビーブームに生まれた「団塊の世代」が後期高齢者となり、医療費・介護費の増大や認知症患者の増加など、さまざまな課題が予測されています。

これらの課題に対応するため、国は高齢者が住み慣れた地域で生活を続けられるよう、医療・介護等を総合的に提供する体制である「地域包括ケアシステム」の構築を推進しています。

このシステムは、医療、介護、予防、住まい、生活支援が連携して保障される環境づくりを目指すもので、地域密着型サービスがその中核を担っています。

地域密着型サービスには以下の4つの特徴があります。

利用者制限 サービスの展開方針や基準を指定する権限が市町村にあり、原則としてその市町村の住民のみがサービスを利用できます。

ただし、他の市町村の住民であっても、サービスを実施する市町村が利用に同意した場合は、利用可能です。 地域単位での適正なサービス基盤整備 市町村単位で必要整備量を定めることで、地域のニーズに応じたバランスの取れた整備を促進します。 地域の実情に応じた指定基準・介護報酬の設定 地域の特性に合わせた柔軟な対応が可能です。 サービスの指定・監督権限が都道府県ではなく市町村にあり、地域の実情に合わせて基準や報酬(単価)を条例で定めることが可能です。 公平・公正透明な仕組み 指定(拒否)、指定基準、報酬設定には、地域住民、高齢者、経営者、保健・医療・福祉関係者等が参与します。

このように、地域密着型サービスは、単に介護を提供するだけでなく、地域全体で高齢者を支える仕組みを作り上げる重要な役割を担っているのです。

地域密着型サービス9種類の一覧

地域密着型サービスは、要介護者の状態やニーズに応じて9種類のサービスが提供されています。

これらは大きく分けると、訪問系、通所系、入居系、複合サービスの4つに分類できます。

令和5年10月1日現在の統計によると、特に認知症対応型共同生活介護(グループホーム)や地域密着型通所介護の事業所数が多くなっています。

以下に9種類のサービスを分類別に紹介します。

訪問系

定期巡回・随時対応型訪問介護看護

日中・夜間を通して、定期的な巡回や随時の対応により、介護と看護の両方のサービスを提供します。

夜間対応型訪問介護

夜間に定期的な巡回訪問や通報による随時訪問を行い、排泄介助や安否確認などを行います。主に都市部での実施が想定されています。

通所系

地域密着型通所介護

定員18人以下の小規模なデイサービスで、食事や入浴などの日常生活上の支援や機能訓練を提供します。

認知症対応型通所介護

認知症の方向けの専門的なサポートを提供するデイサービスです。

朝はデイサービスで過ごし、夜は自宅に戻るといった方法で、帰宅願望の強い高齢者にも柔軟に対応することができます。

入居系

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

認知症の方が5~9人の少人数で共同生活を送りながら、介護や支援を受けられる施設です。

地域密着型特定施設入居者生活介護

入居定員30人未満の軽費老人ホームや有料老人ホームなどで、介護や生活支援を受けられるサービスです。

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護

定員29人以下の小規模な特別養護老人ホームで、介護や日常生活の支援を受けられる施設です。

複合サービス系

小規模多機能型居宅介護

「通い」を中心に「訪問」や「泊まり」を組み合わせて、柔軟にサービスを提供します。

複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護)

小規模多機能型居宅介護に訪問看護を組み合わせたサービスで、医療ニーズの高い方にも対応可能です。

これらのサービスは、利用者の状態や生活環境に応じて選択され、住み慣れた地域での生活継続を支えています。利用にあたっては、介護支援専門員(ケアマネジャー)との相談が必要となるでしょう。

地域密着型サービスと通常の介護保険サービスの違い

地域密着型サービスと通常の介護保険サービス(居宅サービスや施設サービス)には、いくつかの重要な違いがあります。

これらの違いを理解することで、それぞれのサービスの特性や利用条件が明確になります。

まず、最も大きな違いは「サービスを利用できる地域の範囲」です。

地域密着型サービスは原則として、そのサービスを提供している事業所がある市町村の住民のみが利用できます。

一方、通常の介護保険サービスは、住んでいる地域に関係なく利用可能です。

これは地域密着型サービスが、地域の特性に合わせたきめ細かなサービス提供を目的としているためです。

そして「サービス提供の体制」も異なります。

地域密着型サービスでは、同一事業者からサービスを受けられるため、顔なじみの職員によるアットホームなサービス提供が特徴です。

例えば小規模多機能型居宅介護では、「通い」「訪問」「泊まり」を同じ事業所・同じスタッフが提供するので、利用者にとって安心感があります。

さらに「施設の規模」にも特徴があります。

地域密着型サービスは比較的小規模な施設が多く、定員が下記のように定められています。

地域密着型通所介護:定員18人以下 地域密着型特定施設入居者生活介護:定員30人未満 地域密着型介護老人福祉施設:定員29人以下

このように地域密着型サービスは「地域に根ざした小規模なサービス」という特性を持ち、住み慣れた地域での生活継続を支えるための重要な役割を果たしているのです。

利用を検討する際には、これらの特徴を踏まえ、自身のニーズに合ったサービスを選択することが大切でしょう。

地域密着型サービス9種類それぞれの特徴

入所系サービスと通所系サービスの特徴

入所系サービスと通所系サービスは、提供形態において異なる特徴を持っています。

入所系サービスでは、利用者が介護施設に入所し、24時間体制で介護を受けます。

特別養護老人ホームや介護老人保健施設などがこれに含まれ、食事や入浴、リハビリテーションなど日常生活に必要な支援が提供されます。

通所系サービスでは、利用者が自宅から施設に通い、日中に介護やリハビリを受けます。

デイサービスや通所リハビリテーションがこれに該当し、利用者は自宅での生活を維持しながら必要な支援を受けられます。

自立した生活を送るための支援を重視し、社会的な交流の機会も提供されることが特徴です。

訪問介護系サービスの特徴

訪問介護系サービスは、利用者の自宅に訪問して行う介護サービスであり、主に身体介護と生活援助の2つのカテゴリーに分けられます。

身体介護には、食事や入浴、排泄など、利用者の身体に直接触れて行う介護が含まれ、これにより利用者は日常生活を自立して送ることが可能になります。

生活援助は、掃除や洗濯、買い物など、利用者の生活を支えるための支援を行います。

訪問介護は、利用者が自宅で快適に生活できるようにするための重要なサービスであり、特に高齢者や障害者にとっては必要不可欠なサービスの一つとなっています。

訪問介護を利用することで、自宅での生活を維持しながら、必要な支援を受けることができるという利点があります。

地域密着型サービスの中での訪問介護系サービスには、以下の2種類があります。

そのため、定期巡回と通報による随時対応を合わせたサービスとして創設されました。

基本的には、300人程度の利用(人口規模20万程度の地域)を想定しており、主に都市部でのサービス実施を想定しています。

利用者はケアコール端末(利用者が緊急時に助けを呼ぶための通報機器)を持ち、定期巡回を利用する人もいれば、通報により随時対応を受ける人もいます。

これにより、利用者が夜間も安心して自宅で過ごせるようになります。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護 在宅にいる場合も、夜間を含め24時間安心して生活できる体制の整備が必要です。 夜間対応型訪問介護 夜間において、定期的な巡回訪問または通報を受け、居宅で介護福祉士等から入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話を受けるサービスです。

訪問介護は、介護保険制度の下で提供されるため、利用者の負担も軽減されます。

具体的なサービス内容は、ケアマネジャーが作成するケアプランに基づいて決定され、利用者のニーズに応じた柔軟な支援が行われます。

訪問介護系サービスの特徴的な点として、利用者は自宅で過ごしながらも必要な時に専門的なケアを受けられることが挙げられるでしょう。

慣れ親しんだ自宅で過ごしたいという多くの高齢者のニーズに応える重要なサービスとなっています。

複合サービスの特徴

複合サービスは、訪問介護や通所介護、訪問看護など、複数の介護サービスを組み合わせて提供する新しい形態のサービスです。

このサービスは、利用者の多様なニーズに応えるために設計されており、特に要介護度が高い方や医療的なケアが必要な方に適しています。

複合サービスの代表的な形態として、小規模多機能型居宅介護と看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)があります。

小規模多機能型居宅介護は、「通い」を中心として、要介護者の様態や希望に応じて、随時「訪問」や「泊まり」を組み合わせてサービスを提供することで、中重度となっても在宅での生活が継続できるよう支援するサービスです。

人員配置については、介護・看護職員は日中で通いの利用者3人に1人+訪問対応1人、夜間は泊まりと訪問対応で2人(1人は宿直可)となっています。

また、介護支援専門員(ケアマネジャー)を1人配置する必要があります。

看護小規模多機能型居宅介護は、訪問看護と小規模多機能型居宅介護を組み合わせて提供するサービスです。

この複合型サービスの特徴は、通い、泊まり、訪問(介護・看護)の3つの形態を組み合わせることで、利用者が必要な支援を受けながら、より自立した生活を送ることができる点にあります。

複合サービスは、利用者の生活の質を向上させるための重要な手段となっています。

例えば、日中は通所介護を利用し、夜間は訪問介護を受けることで、24時間体制での支援が可能になります。

このように、複合サービスは利用者のニーズに合わせて柔軟にサービスを組み合わせることができる点がメリットの一つであり、今後の介護サービスの提供においてもその重要性は変わらないと考えられます。

地域密着型サービスでの働き方と今後の展望

地域密着型サービスならではの魅力

地域密着型サービスの魅力の一つは、利用者が住み慣れた場所で生活を続けられる点です。

地域の特性に応じたサービスが提供されるため、利用者は自分の生活スタイルやニーズに合った支援を受けることができます。

また、地域のコミュニティとのつながりを重視することで、孤立感を軽減し、社会的な交流を促進する効果もあります。

地域密着型通所介護のサービス提供時間区分を見ると、全ての事業所規模区分において「7時間以上8時間未満」が最も多く、約45%を占めています。

特に地域密着型通所介護では、他の事業所規模区分と比較して「3時間以上4時間未満」の割合が高いという特徴があります。

これは、地域密着型通所介護が利用者のライフスタイルや地域のニーズに合わせて、より柔軟なサービス時間を提供していることを示しています。

通所介護・地域密着型通所介護の利用後の変化を見ると、「以前より食事や入浴、トイレ等が自分でできるようになった」と答えた利用者が27.7%、「変わらない」が54.5%、「以前より自分でできなくなった」が7.3%となっています。

また、外出の頻度については、「昨年より増えた」と答えた利用者が30.3%、「変わらない」が49.1%という結果が出ています。

これは、通所介護・地域密着型通所介護で提供される専門的な支援が、利用者の自立意欲を高め、潜在的な能力を引き出すことに貢献していることを表しています。

また、普段のケアで利用者の機能低下を食い止め、安定した生活を支えているという状況も読み取れます。

さらに、地域密着型サービスは、地域の事業者が提供するため、サービスの質が高く、利用者の信頼を得やすいという利点もあります。

地域の特性を理解した事業者が、利用者のニーズに応じた柔軟なサービスを提供することで、より良い生活環境を実現しています。

このように、地域密着型サービスは、利用者にとって安心で快適な生活を支える大切な役割を果たしているのです。

地域密着型サービスの特徴と求められるスキル

地域密着型サービスで働くことは、地域社会に貢献しながら、利用者の生活を支えるやりがいのある仕事です。

地域密着型サービスでの働き方には、いくつかの特徴があります。

小規模な事業所が多い

定員が少ない分、職員数も少なめで、一人ひとりの職員が担う役割は大きく、やりがいを感じやすい環境といえるでしょう。

多様な業務を経験できる

特に小規模多機能型居宅介護などでは、「通い・訪問・泊まり」の各サービスを経験できるため、幅広いスキルを身につけることができます。

地域との交流

地域のイベントや活動に参加する機会が多く、地域住民との交流を通じて、利用者の社会参加を支援する役割も担います。

その上で、特に求められる能力として以下が挙げられます。

コミュニケーション能力 利用者の小さな変化に気付く観察力と対応力 地域の特性や文化への理解 個別のニーズに応じた柔軟なサービス提供 専門職と連携しながらチームで働く能力

地域密着型サービスでは、介護職としてのキャリアアップに加え、地域の介護ニーズを理解した人材として成長することができます。

地域密着型サービスならではの小規模かつ多機能な環境は、多様なスキルを磨く場として最適といえるでしょう。

今後の展望

地域密着型サービスは、今後ますます重要性が増すと考えられています。

高齢化社会が進む中で、地域での生活を支えるためのサービスの需要は高まるでしょう。

特に、地域の特性に応じた柔軟なサービス提供ができる地域密着型サービスは、利用者のニーズに応えるための重要な手段となります。

高齢化の進展による需要の増大や、現役世代の減少に伴う担い手不足が見込まれる中で、地域密着型サービスの展望について考えてみましょう。

テクノロジーの活用

テクノロジーの進化により、介護サービスの提供方法も変化しています。

ICTを活用したサービスの導入が進むことで、より効率的で質の高い支援が可能になるでしょう。

また、介護記録のデジタル化や遠隔での健康モニタリング、AIを活用したケアプランの作成支援など、テクノロジーの活用範囲は広がっています。

これにより、限られた人材でも効果的なサービス提供が可能になると期待されています。

医療との連携強化

高齢化に伴い、今後は医療ニーズの高い利用者が増加することが予想され、医療機関や訪問看護ステーションとの連携がさらに重要になるでしょう。

地域共生社会に向けた展開

地域密着型サービスは、その名の通り地域との結びつきが強いサービスです。

今後は高齢者だけでなく、障害者や子どもなど、多様な対象者へのサービス提供も視野に入れた「地域共生社会」の実現に向けた取り組みが進むことが予想されます。

このように、地域密着型サービスでの働き方は、地域との結びつきや利用者との関係性を重視し、専門性とチームワークを発揮できる環境が整っています。

利用者の生活を身近に支える喜びと、地域福祉の向上に貢献する充実感を得られる職場といえるでしょう。

【関連記事】

おすすめの記事

新着記事

  1. 【豆苗、そこ切っちゃダメ!?】「マジで…?」「ずっと間違ってた…」

    BuzzFeed Japan
  2. 日曜日を狙っていこう!「カモのタルト屋さん」のタルトを赤穂でGET♪ 赤穂市

    Kiss PRESS
  3. モーニング娘。'25、Juice=Juice、NiziU、ふるっぱー、<ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2025>出演決定!

    Pop’n’Roll
  4. 『OCEAN PEOPLES’25』BAGDAD CAFE THE trench town、DJ HASEBE、DJ KAWASAKIら第2弾出演アーティストを発表

    SPICE
  5. あいのり・桃、高すぎだと感じる駐車場の料金「東京って大変な街だ」

    Ameba News
  6. 【5/17・18】呉市の大和波止場で「第7回 呉ご当地キャラ祭~キャラがつなぐ、みんなの笑顔~」開催!50以上のキャラに呉出身アーティスト「明和電機」のLIVEも

    ひろしまリード
  7. 爆睡中の大型犬に『おやつの匂い』を嗅がせてみた→次の瞬間…『衝撃の反応』と結末が660万再生「死ぬほど笑ったw」「不細工すぎて草」と爆笑

    わんちゃんホンポ
  8. <餌で釣る>塾や学童を頑張ったご褒美に、子どもを旅行に連れていく妹。贅沢すぎてダメな子育てだよね

    ママスタセレクト
  9. マンチカンの『子猫時代と今』を比べてみた結果…"尊すぎるビフォーアフター"が60万再生「全部可愛い」「パワーアップしてる」の声

    ねこちゃんホンポ
  10. 【5/18】東広島市安芸津町で「第13回 あきつマーケット」開催!ステージイベントにフード&ハンドメイドなど盛りだくさん

    ひろしまリード