Yahoo! JAPAN

【見どころ解説】「互いに嫌な相手」…琉球ゴールデンキングス、Bリーグ中断明けの初戦で“完全体”千葉ジェッツと激突へ

OKITIVE

練習中、チームメートと話しながら笑みを浮かべる平良彰吾ら
公開練習で汗を流すキャプテンの小野寺祥太=11月22日、沖縄アリーナサブアリーナ(長嶺真輝撮影)

3週間弱のバイウィーク(中断期間)に入っていたプロバスケットボールBリーグ1部(B1)が30日、再開する。 11勝3敗で西地区2位につける琉球ゴールデンキングスは、ここ数年、常にBリーグと天皇杯で優勝争いを繰り広げている東地区首位の千葉ジェッツ(以下、千葉J)と激突する。11月30日と12月1日、今シーズンから千葉Jのホームアリーナとなった約1万人収容のららアリーナ東京ベイで2連戦を行う。 千葉Jのこれまでの成績は、キングスを上回る12勝2敗。昨シーズンまで米NBAでプレーしていた日本トッププレーヤーの一人である渡邊雄太が開幕から2戦目で足首を負傷し、その後は欠場が続いていたにも関わらず、である。渡邊は中断明けから復帰することを明言しており、キングスはほぼ“完全体”の千葉Jと対戦することになりそうだ。 リーグの再開を前に、キングスは11月22日に公開練習を実施。桶谷大ヘッドコーチ(HC)、岸本隆一、平良彰吾がメディアの取材に応じた。話の内容などから、千葉J戦の見どころを探る。

渡邊雄太、ホグを獲得し“タレント揃い”の千葉ジェッツ

桶谷HCの話に耳を傾けるキングスの選手たち

千葉Jは昨シーズン、東アジアスーパーリーグ(EASL)と天皇杯の2冠を達成。Bリーグではチャンピオンシップ(CS)準決勝でキングスに1勝2敗で敗れたものの、富樫勇樹や原修太、ジョン・ムーニー、クリストファー・スミス、ゼイビア・クックスらを中心に強さが際立っていた。 では、今シーズンはどんなチームか。岸本が語った千葉Jの印象が、それを説明する上で分かりやすい。 「本当に強いなと思います。誰かを止めたら勝てるかというと、そういう相手でもない。例年以上にそう思います。いつも以上に、スカウティングの段階から、相手のリズムを摘んでいけるような準備がすごく大切になると感じます」 富樫、原、金近廉という日本代表クラスに加え、ムーニー、スミスなど多くの主力が残留し、そこに身長206cmでオールラウンドなプレーができる渡邊を加えた千葉J。さらに退団したクックスのポジションに入る形で加わった身長207cmのディー・ジェイ・ホグもプレーの幅が広い。平均スタッツの16.5点はチームトップであり、スティール数の1.8本は個人ランキングでリーグ6位、ブロック数の1.1本はリーグ8位に入る。 渡邊とホグについては、桶谷HCも警戒しているようだ。   「新しく入ったホグ選手がいいアクセントになっていると思います。渡邊選手もまだ2試合しか出ていないですが、彼が入ったらサイズがかなり上がる。本当にリバウンドも強くなっているし、個々のタレントはすごく上がったように見えます」 渡邊や小川麻斗、スミスなど素早いトランジションから走れる選手が多く、スピード感もある。さらに昨シーズンまでキングスの主将を務めていた田代直希や西村文男などベテラン陣が控えており、極めて層が厚い。 桶谷HCは「リーグのトップにいる千葉Jに対してどれだけ戦えるかで、自分たちの今の力量が測れると思います。ああいうチームに勝つために、シーズンでどういうプレーをしていかないといけないかが分かる2試合になる。勝ちに行きながら、自分たちが成長できる戦いにしたいです」と展望した。

キングス勝利の鍵は「インサイド」にあり

メディアの取材に応じる桶谷大HC

では、これだけのスター選手が揃ったチームを相手に、キングスが勝利するためには何が必要になるか。桶谷HCのコメントに、そのヒントがある。 「千葉Jはインサイドで体を張るのは主にムーニー選手なので、そこをどう自分たちがアタックしに行けるかは鍵になると感じます。(千葉Jとキングスは)互いにとって嫌な相手なのかなとも思います。走るとあちらが強いけど、インサイドでフィジカルゲームに持っていけたら僕らの方が強いかなと思っています」  インサイドに強みのあるキングスと、速さに強みのある千葉J。この傾向は昨シーズンも同様だった。天皇杯決勝ではスピードのミスマッチを突いた千葉Jが大勝し、逆にCS準決勝では、キングスがジャック・クーリーとアレックス・カークを中心に徹底してインサイドを攻めて勝ちをさらった。 今シーズン、キングスはこれまでのリバウンド数の平均が43.2本でトップ。オフェンスリバウンドの14.9本、セカンドチャンスポイントの17.0点もリーグ1位であり、間違いなく好成績を残せている要因の一つだ。クーリーとカークに加え、高い跳躍力を誇るヴィック・ローとケヴェ・アルマもオフェンスリバウンドへの意識が高い。 千葉J戦でもこの強みを発揮できれば、流れを引き寄せる一因になるだろう。 ただ、千葉Jは決してインサイドが弱いわけではない。リバウンドの平均本数が12.7本で個人ランキング1位のムーニーを筆頭に、チーム平均は39.1本で5位。ディフェンスリバウンドに至っては、28.3本で2位のキングスを上回り、28.9本でトップである。前述のように、渡邊がほぼ欠場していた中でのこの数字なため、キングスは日本人選手も含めて、リバウンドに対して高い意識を持ち続けたい。 キングスは今シーズン、脇真大や小野寺祥太、荒川颯らを中心に速攻も増えているため、スピードでどこまで対抗できるかも見ものだ。

岸本、盟友・田代と会うのは「シンプルに楽しみ」

練習中、チームメートと話しながら笑みを浮かべる平良彰吾ら

その他にも、マッチアップがどういう顔合わせになるかも気になるポイントだ。 渡邊が出ている間、千葉Jは高さがあるため、キングスは「3BIG」のラインナップを敷く時間が増えそうだ。ただ、これまでスミスに対しては松脇圭志が付くことも多く、相手の外国籍選手の顔ぶれを見ての判断になるかもしれない。一番波に乗せたくない富樫に対しては小野寺、荒川、平良らだろう。伊藤達哉が復帰すれば、この部分のディフェンスはより厚みを増す。いろいろと想像は膨らむ。 中でも、10月にB3横浜エクセレンスからキングスにレンタル移籍で加入し、B1初挑戦となっている平良にとっては、富樫のような国内トップクラスのガードとマッチアップできる機会は極めて貴重な経験になるだろう。それは自身も感じている。 「自分のディフェンスで少しでも苦しめて、そこからリズムを狂わせたい。それをどうやっていくのかはやってみないと分からない部分もありますが、日本を代表するガードとのマッチアップは本当に楽しみです。その分、より集中してやっていかないといけないと思ってます」   平良は千葉県出身で、ららアリーナ東京ベイがある船橋市は中学、高校時代を過ごした馴染み深い場所だ。地元の友人らも自身の凱旋を楽しみにしてくれていると言い、「その分、自分も頑張らないといけないと思います」と気合を入れ、笑みを浮かべた。 キングスファンにとっては、生え抜き選手としてキングスに8シーズン所属した田代が相手チームの一員としてキングスと対峙する姿を見るのも楽しみな部分だろう。少し不思議な感覚になる人も多そうだが…。11月6日の群馬クレインサンダーズ戦で負傷し、全治3〜4週間と発表されているため、この連戦で復帰できるかは不明だが、長い時間を共にした岸本も対面を楽しみにしているようだ。 「違うチームで彼と接するということが今までなかったので、それ(田代と会うこと)は楽しみです。願わくばコート上で戦えることがベストですけど、そこは彼の事情もある。ただ、会えることはシンプルに楽しみです」  見どころ満載の千葉Jとの2連戦。桶谷HCが「自分たちの今の力量が測れる」と言ったように、今シーズンにおけるキングスの今後の戦い方を占う一戦にもなり得るため、必見だ。

> 琉球ゴールデンキングス最新記事一覧

おすすめの記事