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音に心を込めて飛躍の年に 別府翔青高校吹奏楽部 【大分県】

オー!エス!OITA

写真/オー!エス!OITA SPORTS

 別府翔青高校吹奏楽部は、今年1月にあった第28回高文連ブラスカーニバルのマーチング部門で金賞を受賞し、7月の全国高校総合文化祭(かがわ総文祭)への出場を決めた。部員45人が在籍する同部は、本年度、着任した中村慎之介教諭の指導のもと、さらなる飛躍を目指している。

 

 中村教諭は、前任校で吹奏楽部を複数回全国大会に導いた経験を持つ。日々の練習では、基礎の呼吸法から徹底して指導し、「演奏は準備で決まる」という信念で技術と意識の両面を高めている。また、楽曲の世界観を体得するために言葉を当てはめて歌う「オノマトペ練習」など、表現力向上のためのユニークな練習方法も取り入れている。「勢いだけでなく一音一音に心を込めて。音を大切にする姿勢を忘れないでほしい」と語る指導には、音楽に対する深い愛情がにじむ。

 

 新たな体制となった今年、部員たちは確かな変化を感じている。部長の台野結陽(だいの・ゆうひ、3年)は「最初は練習方法の違いに戸惑ったが、自分たちの音が変わっていくのを感じている」と語る。楽譜を「演奏する」だけでなく、音楽を「表現する」ことに意識が向くようになったといい、その表情には充実感が浮かぶ。

 

呼吸法やオノマトペ練習を取り入れ、新たな音楽をつくっている

 

 副部長の永徳舞稟(えいとく・まりん、3年)も、「ブレスの意識や声出しを取り入れた練習で、今まで気づかなかった発見がある。吸収できることが多く、今年は特に結果にこだわりたい」と意欲をみせる。二人に共通するのは、音楽の楽しさをかみしめながらも、高い目標を掲げている点だ。

 

 そうした姿勢の背景には、昨年の第61回大分県吹奏楽コンクールでの銀賞という悔しさがある。もちろん誇るべき成果だが、「目指していた金賞には届かなかった」と台野。自由曲の表現や演奏の完成度において悔いが残り、「この後悔を二度としたくない」と語る言葉には、チーム全体の思いがにじむ。

 

 かがわ総文祭の舞台に立つことが決まっている今年。音楽を純粋に楽しみ、仲間と音を重ねる喜びを大切にしながら、結果にも真摯(しんし)に向き合う。別府翔青高校吹奏楽部は、変化への柔軟さを胸に、新しい音を紡ぎ続ける。

 

 かがわ総文祭に向けて結果を求める

 

 

(塩月なつみ)

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