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ドローンも周辺技術も見どころだった今年のCES[Drone Design]Vol.60

DRONE

世界最大規模の国際テックイベント「CES」では、今年もさまざまなタイプのドローンが出展されていました。ただし、展示傾向はだいぶ変化していて、大手メーカーではなく周辺技術やシステムを開発する会社が増えたという印象です

新年最初に開催される国際テックイベント「CES」は、年間2万件以上のコンベンションが開催されるラスベガスの中でもその規模はダントツで、今年は4500を超える出展がありました。

当然ながらすべての展示が一つの会場に収まるわけがなく、全米最大の展示面積を誇るラスベガスコンベンションセンター(LVCC)と、ラスベガスでは3番目に広いベネチアン・コンベンション&エキスポセンター、その他にも周囲にあるホテルなどを使ってイベントが行われます。メインのLVCCだけで東京ドーム6つ以上、ベネチアンは2つ以上あるので、いかに会場が途方もなく広いかがおわかりいただけるかと思います。

さらに、対象となる展示カテゴリも年々増えていて、今やその数は50近くにまでなっています。その中にドローンはまだ残っているものの、昔のように大手ドローンメーカーが巨大なブースを出すことはなくなっています。今年はカテゴリ別の展示エリアも見当たらなかったのですが、出展そのものはちゃんとあって、全体的には去年より数が増えたのではないかという印象です。

発見率が高かったのは、前回ご紹介した空飛ぶクルマがいろいろ出展されていた、モビリティ関連の展示が集まるLVCCのウエストホールとノースホールです。多くは完成された機体とかではなく、アイデアやコンセプト段階のプロトタイプ、さらに周辺機器やシステムが中心ではあったのですが、それだけになかなか面白いものがありしました。

そうした中で実機を展示していたのが、韓国航空宇宙研究所では初めてのスピンオフ会社であるNarma Inc.で、主力製品のeVTOL「AF 100」を紹介していました。つるっとした丸っこい白い機体は、幅1m、長さ86cm、高さ30cmとコンパクトで、農業、調査、救急用といった用途に合わせていろいろなバリエーションがあります。他にも救急配送用のeVTOLや、マルチロータータイプの機体も開発していて、発売もしているとのことでした。

韓国のNarma Inc. はeVTOL「AF 100」の実機を展示

周辺機器やシステムでは、矢崎総業の子会社であるYazaki Innovations, Inc.のブースで、eVTOLに使用する高電圧ワイヤーハーネス組立のサービスがモデルを使って紹介されていました。しかもこのモデルはとてもよくできていて、ちゃんとローター部分が可動するようになっていたところが、さすが日本クオリティと思わされました。

Yazaki Innovations, Inc.はeVTOLで使用する機器を紹介

さらに同じブースでは、Corvus Roboticsの「Corvus One」らしき機体が、ショーケースに入った状態で展示されていました。どうしてここにあるのかという理由は、担当者が不在だったため不明でしたが、24時間無人で在庫がチェックできる自律型ドローンは、倉庫全体を管理するシステムと組み合わせて紹介されていたと考えられます。

Corvus Roboticsの自律型ドローン「Corvus One」はケースに入った状態で展示

https://www.drone.jp/news/20241009125554100050.html

周辺機器は実物に近いものがあった方がわかりやすい、ということで4Dイメージレーダーを開発する韓国のSmart Radar Systemが、ドローンや水中ドローンに搭載できるスマートレーダーを、実際に機体に搭載した状態で展示していました。こちらも会場では詳細を聞くことができなかったのですが、ラボではテスト機体を使って開発を進めているようで、ブースでは主に自動運転車向けのソリューションが紹介されていました。

韓国のSmart Radar Systemはドローンに搭載できるスマートレーダーを開発

ドローンを活用するトータルソリューションとしては、韓国のBeylessが展示していた、配送用ドローンとロボットを搭載して一括運用できる専用のバンがなかなかに面白かったです。荷物の積み込みはもちろん、送付先にあわせて最適な配送ルートと配送方法を選んで、自動でお届けするという機能を備えていて、用途にあわせて大型のUAM(アーバンエアモビリティ)と組み合わせるといった機能拡張も可能です。

話を聞いたところ、開発のきっかけはAmazonに売り込むためで、展示しているバンもAmazonでの配送を想定して作られているのだとか。集荷用のシステムとも連携できるようになっていてなかなかの完成度でしたが、実は試験運用もきちんと成功させていて、オーダーがあれば年内には実用化できるということでした。

韓国のBeylessの配送用バンはドローンとロボットの両方を活用できる

ドローン単体の性能に関わる技術としては、村田製作所のブースでは、磁界エネルギーを送受信するLFアンテナを利用した、高精度な自動着陸システムが展示されていました。コネクティビティ分野の技術紹介という位置付けで、会場ではポジション検出機能を搭載したドローンを使った着陸デモを公開。CESの会場内は電波が飛びまくっていてかなり条件が悪いのですが、コントローラーを使わず通信だけでほぼ指定した位置に着陸できていて、今後どのような使い方をされるのかが気になるところです。

村田製作所は赤いマットから離陸したドローンをアンテナの中央に自動着陸させるシステムをデモで実演

その他にも会場では、あちこちでドローンのモックアップやイメージ写真があるブースがあり、ドローン市場全体としてはビジネスになることが見込まれているのだなぁと感じさせられました。もう一つのメイン会場であるベネチアンエキスポで、韓国のスタートアップを中心に新しいアイデアが紹介されていたのですが、そちらについてはまた次回にご紹介させていただきます。

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