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「二輪車安全運転推進運動」が目指す安全・安心で快適な二輪車社会の構築

MOTOINFO

「全国のライダーとともに、安心してバイクライフを楽しめる安全で快適な社会を構築したい」という思いから、『一般社団法人 日本二輪車普及安全協会』(以下、日本二普協)が毎年取り組んでいる施策が「二輪車安全運転推進運動」です。ヘルメットのあご紐をしっかり締めて胸部プロテクターを着用するライダーとしてのマナーから、バイクの交通事故防止や盗難予防と、私たちライダーも協力することで私たち自身の環境をより良いものにしようという働きかけで、2024年にその内容が刷新されました。その具体的な取り組みについて、日本二普協の安全本部に話をお伺いしました。


二輪車安全運転推進運動とは

「二輪車安全運転推進運動」について説明いただいた日本二普協 理事・安全本部長の荒井龍介さん(右)と安全本部 安全普及部長の青木務さん

まず、「二輪車安全運転推進運動」とはどのようなものなのか、日本二普協が意図するところを理事・安全本部長である荒井さんに伺いました。

「毎年9月に実施される秋の全国交通安全運動と連携をして開催される『二輪車安全運転推進運動』は、歩行者、自転車、四輪車が主とされているなか、二輪車と原動機付自転車を利用するライダーの安全を確保し、快適な二輪車の社会を作り上げるために関係省庁の後援を得て、二輪関係諸団体と協力をしながら、二輪車に特化した5つの具体的な推進運動を行っていくというものになります。


誰もが乗れて実用的な自転車や自動車に比べると、二輪車は利便性がありながらも趣味的な乗り物として捉えられることが多いのが現実です。日本二普協では、そのような状況にある二輪車の交通安全運動を訴えていくことを大きな目標として掲げ、運動を行っています」(荒井さん)


2024年度の取り組み

2024年度の二輪車安全運転推進運動について説明する荒井さん

2024年度に行われる「二輪車安全運転推進運動」の項目としては、以下の5つが掲げられています。

二輪車安全運転推進運動の具体的推進項目

ヘルメットの正しい着用方法の指導啓発の推進と胸部プロテクター着用の推奨Basic Riding Lesson(以下、BRL)の開催二輪車販売店店頭個別安全運転指導の推進街頭点検指導活動の推進安全啓発のポスター掲出と、チラシの配布

それぞれの内容や現状、そして具体的な取り組みについて、荒井さんと青木さんにお聞きしました。


1 ヘルメットの正しい着用方法の指導啓発の推進と胸部プロテクター着用の推奨

ヘルメット着用時にはあご紐をしっかり締める、そして胸部プロテクターの着用を推奨するなど啓発活動に取り組んでいる

「『二輪車安全運転推進運動』の中でも重要な項目のひとつとして、ヘルメットの正しい着用方法の指導啓発の推進と、胸部プロテクター着用の推奨というものがあります。コロナ禍で二輪に乗る人が増加したのと同時に交通事故件数も増加傾向で、ここ10年でのバイクの事故は減少傾向にあったものの、2024年は交通事故件数が増加したことが懸念事項となっています。警察庁や警視庁等の発表においてもバイクの事故の中で死傷に繋がり、ダメージも大きいのが頭部、次に胸部によるもので全体の約75%を占めています」(荒井さん)


「第49回 二輪車安全運転推進運動」のイラスト画(画像提供:日本二普協)

「ヘルメットに関しては、あご紐をしっかりと締めていない人が事故に遭った際にヘルメットが脱げてしまっているという事案が多発していることから、当協会ではヘルメットの正しい着用方法の警鐘をしていきたいと考えています。イラスト化したポスターにおいてもプロテクターを目立つようなデザインにしたり、あご紐を強調するように描くことを制作側と相談をして作り上げています。


ただ実際のところ、講習会の現場においてもあご紐の締め方はまだまだ緩く、参加者の7〜8割の方はしっかりと締められていない状況です。事故の際にヘルメットが着脱してしまう恐れがあることよりも、バイク乗車時の苦しさから、どうしても緩めにしがちになっているようです」(荒井さん)

ヘルメットのあご紐の締め具合はどのぐらいが良いのでしょうか。

「基本的にあご紐はしっかり締めなければなりません。人によっては圧迫感を感じる人もいるのですが、緩みなく締めておかないと事故の際には脱落の危険があるということをきちんと伝えていくのが今後の課題です。胸部プロテクターも(ヘルメットと)同様で、装着することで生じる圧迫感が使用することへの障害となっているようです。


こうしたなか、ポスターをイラストにして興味を持ってもらえるようなキャラクターに変えたことで、以前よりも多くの場所で掲示されるようになり、人の目にも止まるようになりました。今後はツーリングライダーだけでなく、通勤や通学、またデリバリー等の街乗りライダーにも訴求できるような場所への掲示も必要と考えています」(荒井さん)


2 Basic Riding Lessonの開催

BRLでの講習模様(画像提供:日本二普協)

2023年まで「グッドライダーミーティング」という名称だったライディング講習会が名称変更したのがこのBRLです。

「本年度の二輪車安全運転推進運動の要となる活動が『BRL』です。日本二普協が想定している初心者や公道走行に不安を抱えている方を対象とした講習会とすることを目的とした名称変更で、その効果は驚くほど高く、効果を期待した方々が参加されている姿を目にしています。


実際に講習に参加された初心者の方たちからも『これまでのグッドライダーミーティングというのは、中級者以上の上手な人たちが受ける講習だと思っていたので遠慮して受けられませんでしたが、今回のBRLは「初心者を対象に」というフレーズがあったので参加してみました』という言葉や、『BRLの募集要項に「公道走行が不安な方」という文言を見つけ、公道走行が不安という娘と一緒に講習に来られて、良い体験になりました』という声を聞けました」(荒井さん)


BRLでは白バイ隊員によるレクチャーを受けられることも(画像提供:日本二普協)

教習所では習えない公道走行への不安を抱く初心者のための講習会を目指すBRL、期待通りの講習者が集まるようになったそうです。

「視察に訪れた場所では、主催者や指導員、警察、各地方の県安全協会の方々はもちろん、参加者の方々もBLRの趣旨や目的をご理解くださっていて、予想以上の好評をいただいています。実際に募集をかけるとあっという間に定員が埋まってしまう状況で、BRLへの参加回数が3回未満の方が多く応募してくれているのは日本二普協としては嬉しい限りです。


ある程度のライディングスキルを保有する方が基本を学び直すための受講も受け付けていますが、BRLとしては日本二普協が掲げる4つのフレーズ、

免許取り立ての方久しぶりにバイクに乗られる方免許を取ったけど公道を走るのが不安な方運転は不慣れだけどバイク仲間を作りたい方

に該当する方を対象としているので、今後もそういった方々に参加してもらいたいと考えています」(荒井さん)

BRLが目指すものは何なのでしょうか。

「BRLの最大の目的は、事故を減らすということです。講習会への参加数から事故件数の低下を数値として表すのは難しいですが、BRLを受講することで事故を低減できると期待しています。バイクの楽しさを知ってもらうことと同時に、事故に遭わないスキルを身につけていただくことも重要です。バイク事故の発生率を下げて、バイクに対するネガティブな印象を少しでもなくしていければと考えています」(荒井さん)


3 店頭個別安全運転指導の推進

店頭個別安全運転指導の推進について語る青木さん

継続的に行われている、二輪車販売店と連携しての安全運動指導の普及・啓発活動を指します。

「昨年に引き続いて二輪車を販売する店舗等には、店頭において安全運転指導の実施やBRLへの参加奨励をお願いしています。またライダーにとって大切な財産でもあるバイクの盗難防止と、盗難時の早期発見を実現するシステム『二輪車防犯登録』への加入も併せて奨励をしています」(青木さん)


4 街頭点検指導活動の推進

令和6年「秋の全国交通安全運動」ポスター

内閣府が実施している春と秋の全国交通安全運動と連携しての安全運転指導の啓発活動になります。

「『秋の全国交通安全運動』期間中には街頭における車両点検指導、整備不良車両や不正改造車両の復元指導、また交通ルールの遵守、そして駐車マナーの向上等の指導啓発も昨年に引き続き、ルーティンとして行っていきます。基本となる推進活動を根気よく継続していくことも大切であると我々は考えています」(青木さん)


5 ポスター・チラシ等の掲出・配布

こちらも継続としながら、アプローチを変えてより多くの人の目に留まり、安全を積極的に啓発訴求できるよう試みています。

「今までポスターやチラシには写真を使用していたのですが、そのポスターが配布先で貼られていなかったり、貼られていても見られていなかったりしていました。そこでどうすれば目を留めてもらえるかと考え、世間の風潮を鑑みて2022年からイラストに変更したのです。イラストのテイストはアニメ風の目を引くキャラクターを考案しました。


写真からイラストに変えたことで、周囲の反応も変わりました。ポスターは関東近郊の主要なサービスエリアやパーキングエリア、警察署、全国の自動車教習所、道の駅などで掲示されています。他にもデジタルサイネージで展開しており、上記の運動をアピールしています」(青木さん)


幸せな交通環境のための取り組み

警察庁が発表した2023年の「交通事故統計」によると、バイクによる死亡事故は前年比14%増と、2022年まで減少傾向だったのが2023年度は増加してしまうという残念な結果が出ました。事故そのものを減らすために法令や法規の遵守はもちろん、ヘルメットのあご紐をしっかり締める、そして胸部プロテクターの着用を推奨することで私たちライダーは自分の身を守るよう努めなければなりません。日本二普協の「二輪車安全運転推進運動」はそうしたライダーにとっての交通環境をより良いものとするための活動であり、時代の変化に合わせて柔軟に対応しつつ、軸の部分はそのままに継続的に取り組んでいくものなのです。私たちもこういった運動に耳を傾け、安心してバイクを楽しめるよう安全運転を心がけていきましょう。


お問い合わせ先:日本二輪車普及安全協会 、令和6年秋の全国交通安全運動推進要綱(内閣府)

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