コレクター気質の店主が全国を歩いて集めた民芸雑貨の店【工藝まこと】手仕事やセンスが光る工芸品を富山・八尾で
富山市八尾町。富山と岐阜を結ぶ飛騨街道の要所に位置し、古くから養蚕と製糸、和紙などの生業で栄えたまちとして知られます。
飛騨の山々から流れ下った支流の水を集める井田川を見下ろすようなまちは、水害を避けるために高台に作られ、石畳の街道と石積みの坂に並ぶ町家の数々は今もなお当時の美しい面影を残しています。
昔ながらの趣きと豊かさを残す越中八尾のおみやげに…
手仕事の技とセンスが光る工芸雑貨の店
そんな八尾町に全国から集めた民芸品を扱う雑貨店があります。
街道に沿って細長く伸びる八尾の「旧町」の入り口、下新町にある「工藝まこと」です。
扱うのは、民芸品。美術品や伝統工芸品とは違って、リーズナブルでシンプルなデザインが特徴です。
というわけで、店内にはたくさんの雑貨が並んでいますが、高そうな手作りの皿でも価格は1000円台。歴史あるまちを散策した思い出と一緒に持ち帰るおみやげとしては、手に取りやすい価格帯です。
「今、人気なのは沖縄の焼き物ですよ」
あれもこれもと迷いながら品定めしていると、店主の松村眞さんが一つひとつの商品について丁寧に説明してくれました。
沖縄の焼き物「やちむん」は、細密な絵付けを施す九谷焼きなどとは違って、大きく大胆な絵付けが特徴。そして、器に白い輪のような「蛇の目」と言われる模様があるのがポイントです。
これは実はただの模様ではなく、器を重ねて焼くときに上の器の高台が当たるため、器がくっつくのを防ぐために釉薬をはがした跡なんだとか。一度に同じ窯でたくさんの器を焼くための工夫ということで、これも日常使いする民芸品ならではの特徴です。
何気なく見ていると気づかないようなポイントも松村さんが教えてくれるため、民芸品を見る目が養われます。
こちらは、飛び鉋(とびかんな)という中国伝来の技法で模様が描かれた大分県の「小鹿田焼き(おんたやき)」。
こちらは、栃木県の益子焼のマグカップ。
ひとつずつ手に取って見ることができ、それぞれについて歴史や土地の特徴を解説してくれる松村さんの話を聞いていると、時間が経つのも忘れてしまうほどです。
仕入れというより“収集”
コレクター気質の店主が厳選する民芸品の数々
店主の松村さんは、店で扱う品を仕入れるために、自ら全国各地に赴くと言います。
それは、「自分が民芸品が好きだから集めたくなる」から。
つまり、店の仕入れのためというよりは、“収集”。民芸品マニアとしてのコレクター気質から、いい品に出会うために各地を訪ね回っているんだそう。
そのため、収集した品が売れてしまうと、どこか寂しい気持ちになってしまうんだとか。それでも…
「自分がいいと思ったものがお客さんにもいいと思ってもらえたんだと、うれしくなる」
商売っ気のない笑顔で語ります。
民芸品は、市井の人々が日常的に使うもの。「その土地の材料を使い、その土地の文化や伝統に沿った手仕事に健康的な美が宿るもの」だと、松村さん。
民芸品の魅力と店主の熱い想いが伝わる雑貨店です。
出典:KNBテレビ「いっちゃんKNB」
2024年8月23日放送
記事編集:nan-nan編集部
【工藝まこと】
住所 富山県富山市八尾町下新町1454-1
営業時間 10:00~18:00
定休日 不定休