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【アジ】釣れれば40cmオーバー!! 鴨居沖の深場でねらう「ビシアジ釣り」

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【アジ】釣れれば40cmオーバー!! 鴨居沖の深場でねらう「ビシアジ釣り」

日頃、堤防そのほかのオカッパリをメインに釣りをするなかで、「沖に出ればもっと大物が…、もっとたくさん釣れるのになぁ」なんて思ったことはありませんか? 釣り人として「もっと釣りたい」欲が生まれるのは必然です。とはいえ、船に乗るには道具や釣り方、そもそも船の乗り方さえも分からず、少々ハードルが高いのも事実。そんなモヤモヤを抱えつつ次のステップアップを夢見るアングラーに向けて、経験豊富なHEATライター陣が優しく指南してくれる当「船釣りのはじめ方」企画。
第4回目の今回は、HEAT編集スタッフWが東京湾は鴨居沖で楽しむ「ビシアジ釣り」について解説します。

「アジ釣り」ほど手軽ではなく、釣果も期待できないかもしれませんが、「アジ釣り」より大きいアジをねらえるのが「ビシアジ釣り」。友人からの誘いに少し迷いしつつも、「久しぶりにでっかいアジフライ揚げるかぁ!!」と、筋肉痛覚悟で挑んだ実釣の模様を交え、道具やエサの準備から釣り方、そして美味しいアジ料理までを丁寧に紹介します。

ビシアジ釣りとはどんな釣り?

船釣り初心者におススメの釣りモノの一つに「ライトアジ(LTアジ)」がありますが、名前の通り軽い道具(ライトタックル)で行うアジ釣りをいいます。ライトアジもビシアジも、どちらもビシカゴと呼ばれる網目状のオモリにマキエ(コマセ)を詰めて行う釣りですが、ライトアジで使用するビシが40号(約150g)で軽量なのに対し、ビシアジは130号(約490g)のような重量のあるビシを使います。この、深場の大きいアジをねらうアジ釣りを「ビシアジ釣り」と呼んでいます。

130号ビシで筋トレしながらコマセをまく

基本的な釣り方は、ビシアジ釣りもライトアジ釣りも同じです。ビシカゴにイワシミンチなどの「コマセ」と呼ばれるマキエを詰め、アジのいるタナでコマセを振り撒きます。煙幕のように広がったコマセでアジを集め、煙幕の中に紛れ込ませた仕掛にアジを食いつかせるといった釣り方です。

ライトアジ釣りとの大きな違いは、ねらうタナの深さ! 深い分、扱うビシカゴは重くなり、潮の速さによってはいかに正確にアジのいる層にビシカゴを落とせるか、煙幕を作ることができるかなど、難易度が上がります。
電動リールを使うためラインの巻き上げは容易にできますが、タックル自体の重量は増します。私は左腕で竿を扱うのですが、釣行後は軽く筋肉痛…。もちろん、釣りの最中から背中はガチガチになります(笑)。ライトじゃないアジ釣り、それが「ビシアジ釣り」です。

ビシアジ釣りの準備

仲間内で仕立船を予約

ビシアジ釣りを楽しむためには、まずは船の予約が必要です。今回は、「仕立船」での釣行でした。
知らない人同士が乗り合わせ、一定の人数になったら出船する「乗合船」に対し、船を貸し切って釣りができるのが「仕立船」です。船宿によって最低必要人数や金額は違ってきますが、人数が集まれば仕立船にした方がいろいろとメリットがあります。

乗合船の場合は、ねらう釣りモノ、釣り方、仕掛やオモリ、出船時刻などのルールが決まっていますが、仕立船であれば、ある程度の限度はあれど多少融通が利きます。たとえば、出船時間を少し遅くしたり、釣りモノを午前と午後で変えたりなど…、オーダーできるのが仕立船のよいところといえるでしょう。

予約の取り方ですが、(仕立船であれ乗合船であれ)船宿に直接電話するのが基本です。船宿によっては仕立船をやっていないところもありますので、電話やWEBサイトで仕立船の有無や予約方法を確認しておくとよいでしょう。

今回は、「鴨居大室港 釣船 五郎丸」さんにお世話になりました。

ビシアジ釣りをするための道具

ビシアジ釣りの道具を全部自前で用意するとなったら…、

●タックル(竿とリール)

●竿受け

●ビシカゴ

●テンビン

●仕掛

この5つは必須でしょう。ですが、関東の船宿では仕掛以外、すべてレンタル可能です(有料の場合もあります)ので必ずしも自前でそろえる必要はありません。釣りモノに合わせてリールに巻いている糸を変えるといった手間を考えると、レンタルもアリですね。
ゴルフのように、「ドライバーからパターまで一通りそろえたらとりあえずOK!」とはならないのが釣り。釣りモノや釣り方に合わせて、いちいちタックルを買いそろえていては破産してしまいます(笑)。初めてねらう魚種だったり、たまにしか釣りをしないのであればレンタルでも十分です。

船釣りのための服装の準備

船釣りはオカッパリと違い、急に寒くなったからといって車に上着を取りに戻ることはできませんし、雨が降り出したからといって好きなタイミングで帰宅するわけにもいきません。釣り道具以外にも防寒着や雨具、夏は熱中症対策のための飲料水など、船が出航したあとになって「あれ持ってきておけばよかった~!」とならないよう、荷物を厳選しなければならないのです。

冷感インナーは暑い日のマストアイテム

私の場合、夏は冷感素材のインナー上下に、Tシャツとハーフパンツといったいでたちです。今は真夏の暑さは「脱げばどうにかなる」レベルの暑さではないので、逆に冷感素材のインナーを着ることで「暑さから肌(身体)を守る」目的で着ています。実際、着ている方が涼しく、汗をかいてもサラッとしているのでおススメです。
ただ、早朝は涼しかったりするので、脱ぎ着しやすい薄手のパーカーをバッグに入れています。

冬は温感インナー上下にネルシャツ、薄手のダウンジャケット、スウェットパンツ、さらに大き目サイズのレインウェア上下を重ねています。少し暑いなと思ったときは、ネルシャツや薄手のダウンジャケットを脱いで調節するといった感じです。

脱ぎ着しやすいものを取り入れる

ちなみにネルシャツにこだわるのは、前開きでかんたんに脱ぎ着できるから! 帽子やサングラス、冬ならネックウォーマーなどの装備があるので、トレーナーやセーターだと脱ぎ着が面倒になります。また、ダウンジャケットは丸めてコンパクトに持ち運べるものを選んでおくと、バッグの中でかさばらないので1着持っておくと便利です。

釣行前夜の過ごし方

出典:写真AC

船釣りで避けられないのは早起き! 今回は明け方4時過ぎに自宅を出発しなければならなかったため、3時起床。絶対に寝坊はできないし船酔いも怖いので、船釣り前夜は禁酒! さらに夕飯もお腹に優しい食事を腹八分程度にとどめるようにしました。船上で必要以上にもよおさないようにしたいというのが大きな理由です。

早めに夕飯を済ませ布団に入ったとはいえ、なかなか眠れませんが、釣行前夜はできるだけ睡眠を取り体調を整えるのが、釣行当日を快適に過ごすカギです。

釣り座のセッティング

基本のセッティング

ビシアジ釣りに限らずですが、釣り座のセッティングは重要なポイント。余計なものを置かず、必要なものを正しい場所にセットすることで釣りがしやすくなり、釣果へとつながります。ポイントに着いたらすぐに釣りを始められるよう、セッティングは出船前に余裕をもって済ませておきましょう。

コマセを使ったアジ釣りの場合、タックルは船首側、コマセの入った桶は船尾側にセットしましょう。足元のバケツは邪魔にならない場所に移動するなど、十分なスペースを作っておくとストレスなく釣りができます。

釣具以外は邪魔にならないようにセッティング

クーラーボックスやバッカンは、ほかの人の通行の邪魔にならないよう、足元や指定の場所に置くようにしましょう。釣りをしている最中でも、タモ入れするために中乗りさんが動き回っていますし、トイレに行く人が通ることもありますからね。

通行の邪魔にならない場所に置く

また、仕掛の束やタオル、ゴミ袋などが風で飛ばされないように「洗濯ばさみ」で留めておくと、使い勝手もよく便利ですよ。

タオルやゴミ袋は洗濯ばさみで留める

ビシアジ釣りの釣り方


やってみなければその日のパターンは分からない…

ポイントに到着し、船長の合図があればいよいよ釣り開始です。まずは、ビシカゴにコマセを詰めます。詰めるコマセの量はだいたいビシカゴの8割程度にとどめましょう。ギッシリ詰めてしまうと海中で上手くコマセが出ない場合があるからです。コマセを詰め終わったら、最初に仕掛から海に投入し、そのあとビシカゴを投入します。

ここでのポイントは、仕掛とビシカゴがまだ海面に見えている状態で、仕掛が絡まったりせずにキレイに漂っているかを必ず目視で確認することです! また、お隣さんのラインが自分の目の前まできていたりするとオマツリの原因にもなり兼ねません。そういったところも確認が必要です。
周囲の状況を確認しとくに心配ないようでしたら、リールのクラッチを切って仕掛を海中に落とします。

誘い方にもいろいろある

この釣りで最も重要なのは、コマセで作った煙幕の中にエサの付いたハリを入れるということ。海中に落とした仕掛が着底したら、素早く糸フケを巻き取ります(底ダチを取る)。

そして、タナは「底から3m」が基本です。
まず底から1m巻き、竿を1回振りビシカゴに詰まっているコマセを海中に撒きます。そのあとさらに1m巻いて底から2mのところでもう一度コマセを撒きます、そして底から3mのところまで巻き上げアジを待つといった具合です。

しかしこれは、数ある誘い方のほんの一例! 誘い方は人それぞれ、釣る人によって違いますし、海域によっても違ってきます。もしくは乗っている船の船長さんによっても違うかもしれません。
たとえば、「着底後、一気に3mまで巻いて竿を細かく振り続ける」「底でコマセを撒き、リールひと巻きごとに撒いて3mで待つ」「底から1mでコマセを撒き、50cm単位で刻みながら2.5mまで撒き、3mで待つ」「底から2mでコマセを撒いて50cm単位で刻みながら3mで待つ」などなど…。これは私が友人にアンケートを取ったときの回答です(笑)。

その日の当たりパターンを見極める

数ある誘い方のなかで、どれが正解なのか? それはズバリ「その日の海による」といったところでしょうか。海の水温や潮の流れ、ほかのいろんな要因が組み合わさることで、アジの食いつき方が変わってくるといっても過言ではありません。そのため、どの誘い方でも釣れる日もあれば、どの誘い方を試してもアジが口を使ってくれない日もあります。
残念ながらこの日は後者…。いろんなパターンを試してみましたが、「これが今日の当たりパターンだ!!」とはなりませんでした。

それでもなんとか7尾! しかも釣れればアベレージ40cm! とりあえずでっかいアジフライは作れそうです。

釣れたアジの取り込み方

アジ釣りは取り込む際にも気を付けなければならないことがあります。アジは口が薄くて切れやすいので、雑に取り込もうとするとバレてしまうことが多いのです。

アジの口は薄いので切れやすい

アジが掛かったら電動リールのスイッチを押して巻き上げます。設定にもよりますが、残り10mくらいで自動での巻き上げが止まるので、残りは手巻きで上げていきます。
海面にビシカゴが現れてきたら巻くのを止め、竿を立ててまずビシカゴをキャッチ。コマセ桶の中にビシカゴを入れ、それから仕掛をたぐります。大きく手を仕掛に伸ばし、アジの近くの仕掛(ハリス)をつかんで一気に船内に取り込みます。
アジが宙に浮いている状態が長いとバレる可能性が高いので、できれば手で取り込むよりもタモを使ったほうが確実です。

アジを取り込みたい気持ちが先走りますが、まずはビシカゴを回収することが大事。ビシカゴがぶらぶらしている状態でアジを取り込むのは大変危険ですし、そもそも取り込みにくい。なので、「まずはビシカゴを回収してからアジを取り込む」ようにしましょう。

船中のコマセが一極集中か!?

ところで、釣り当日の主役は私の友人Sさん! 船中ファーストフィッシュを決め、そのあともアジだけでなくサバにカサゴに多彩なゲストをゲットしていました。みんなのコマセがすべて彼女の足下に集まったのではないかと思うほど(笑)。

しかし実は彼女、初めてのビシアジ釣りで道具もオールレンタル! やはり釣りは道具ではなくセンスなのか? それとも私のような欲を出さず、純粋に「釣りを楽しもう!」という気持ちのたまものなのでしょうか?

釣りにタラレバは付きもの!?

今回の釣行を経て、「後悔先に立たず」とまではいきませんが、実はあとになって気がついた反省点があります…。

今回の「反省点」は、「コマセの出具合」を事前に確認しなかったこと。釣り終了間際、コマセを詰めたビシカゴを海底に落としている最中に、船長からの合図(沖上がり)があったのでコマセを撒くことなく仕掛を回収してみたら…。「コマセが予想以上に減っている」ではありませんか!? 1回も竿を振っていないのに???

どうやら、私が使っていたビシカゴは網目が若干大きかったようです。なので、海底に落としている最中にコマセが出てしまっていたのではないかという疑いが…。よって、アジのいるタナで十分な煙幕が作れていなかった可能性があるのです。気がついたときはもう沖上がり時間だったため、立て直すこともできず…。う~ん! 痛恨の極み!!
投入前に、使っているビシカゴからどれくらいコマセが出ていくのか、海面付近で事前に確認していたら…。もう少し網目の細かいビシカゴを使っていれば…。タラレバは尽きません。上手く深場にいるアジのタナにコマセを届けるため、みなさんは事前の確認をお忘れなく。

あなたはいつもタラレバが多いにゃ!

アジを寝かせて美味しく味わう!


ウイスキーとの相性も抜群!!

さて、数は少ないもののアベレージサイズのよかった今回の釣行。釣り上げたアジはもちろん自宅で美味しくいただくことに。まずは釣れたアジはすべて3枚におろし、キッチンペーパーでしっかり包んで冷蔵庫で3日ほど寝かせることにしました。
(ペーパーは毎日取り換えます)

そんななか、「明らかに脂の乗りが違う」個体を発見! 皮を引いたあとの身はテカテカに輝き、包丁にも脂が付くほど…。「こ、これは美味いやつに違いない!」ということで、この1尾だけはその日のうちにお刺身にして堪能することに。これは透明なお酒がすすみますね!!

アジのお皿でアジをいただく

寝かせたアジはアジフライともう1品、最近ハマっているレシピでいただくことに。特別にOKをもらった近所のウイスキーバーに持ち込んで、アジ料理を楽しみました。

アジフライとヘーゼルバーン10年

今回の目的は「でっかいアジフライ揚げる」こと! ふわふわ食感で食べたかったので、あえて皮を引いて揚げました。写真では分かりづらいかもしれませんが、アジフライというよりもはやトンカツです!!

大きなフライパンで揚げたアジフライ

自宅から徒歩1分ほど、まさに「アジフライの冷めない距離」にあるお店にアジフライを持ち込み、「アジフライに合うハイボールをお願いします!」という私のむちゃぶりに答えてもらいました。そして出されたのは…。ヘーゼルバーン10年」を使ったハイボール!
ヘーゼルバーン10年は一般的なウイスキーと違って3回蒸留しているため、より雑味のないキレイな原酒になり、ハイボールにしたときのスッキリさが増すとのこと。それによって「青魚独特の風味ともケンカしない…」というのがマスターのおススメポイント。確かにスッキリしていて飲みやすい! アジフライの味を邪魔しないので、自分で釣ったアジをじっくり堪能できました。

やみつき!ガリしそ巻き

アジフライともう1つ、絶対に作ろうと思っていたのが「ガリしそ巻き」。最近レパートリーに加わったイチオシのアジ料理です。

寝かせたことにより旨味がグンと増し、ひじょうに濃厚な味わいになっているアジ。そのままお刺身として食べてもじゅうぶん美味しいのですが、こうやって巻くことにより香りと歯ごたえのアクセントも加わるので、酒のアテにぴったりな1品になります。

濃厚な味わいのガリしそ巻きを、少し個性的なウイスキーでいただきました

作り方はとってもかんたん! 名前の通り、「アジ」と「ガリ」と「しそ」を海苔で巻くだけです。今回はたまたまワケギがあったので一緒に巻きましたが、なくてもOK。ガリはよく絞ってからたっぷり乗せてくださいね。
ガリはスーパーで売られているショウガの甘酢漬けでもよいのですが、私はいろいろ試した結果、テイクアウト専門のお寿司屋さんで、単品で売られているガリのほうが甘過ぎず好みでした。

残りのアジは「なめろう」と、大量の「ガリしそ巻き」に

ちなみに、この「ガリしそ巻き」にラガヴーリン16年」のロックを合わせてみました。友人の好きなウイスキーで興味本位で飲んでみたのですが、スモーキーさとほのかに塩味を感じるとても個性的なお味。ガリしそ巻きとラガヴーリン16年の両方が口の中で交互に主張してくるという感じでした(笑)。

今回は深場の大きいアジをねらう「ビシアジ釣り」を紹介しました。
船釣り歴が長くなり、ねらう魚種が増えてくるとご無沙汰になってしまうアジですが、やっぱりアジは名前の由来通り「味がいい!」魚です。初心者向けの「LTアジ釣り」に比べると難易度は上がりますが、「LTアジ釣り」に慣れた人のネクストステップとして、ぜひチャレンジしてみてください。そして、もしビシアジ釣りに挑戦する際は忘れずに確認してくださいね、「コマセの出具合」を(笑)。

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