本降りの沼津沖イカメタルで“ムギイカ爆釣劇” 集中力を切らさなかった理由は、完全防水レインウェアにあった?
フィールドの拡大に伴いますます入門者が増えていきそうなイカメタル。船からのイカ釣りは電動タックルと長い多点仕掛けが大きな障壁になっていたが、この2点を解消したイカメタルなら誰もが手軽に挑戦しやすい。今回は首都圏からもアクセスしやすい沼津でイカメタルに挑戦。当日はあいにくの雨模様となったが、シップスマストの完全防水ウェアに身を包み、ムギイカ(スルメイカの若イカ)の攻略に挑んだ。
写真と文◎編集部
首都圏至近のイカメタルフィールド沼津
関東では東京都、千葉県、神奈川県の三県で集魚灯を使用した夜釣りができない代わりに日中のマルイカ船が人気だ。夜のイカメタル船を楽しむなら、首都圏から最寄りの釣り場は静岡県沼津になるだろう。
沼津周辺では古くからケンサキイカのことを「ジンドウイカ」と呼んでいた。いわゆる地方名であるが、これとは別に釣り人から「ヒイカ」と呼ばれる小型のイカの正式和名もジンドウイカであることから紛らわしい。
「そうなんですよ。お客さんからの問い合わせで小さいヒイカと勘違いされることもあるし、正式和名はケンサキイカと言っても通じない。そこで近年はマルイカと呼ぶようになりました」とは沼津市江梨港・真正丸の小林大介船長だ。
小林船長
たしかにケンサキイカにはシロイカ(山陰)、アカイカ(伊豆諸島)、ヤリイカ(九州)など地方名が実に豊富で混同しやすいので今回の記事ではマルイカで統一したい。
当日のメインターゲットはムギイカ!
今回の取材メンバーはシップスマストの山口英樹さん、秋山明日香さん、そして静岡県在住の三浦愛さんがゲスト参加で駆け付けてくれた。
「実は私も秋山もイカメタルは初心者でして。でも7月に本場・福井県で弊社とヤマシタさんでイカメタル入門体験会を共催することから、その前に予習できるとあって今日は楽しみにしています」と山口さん。秋山さんもイカメタルタックルを新調して燃えている。
「私は電動タックルにプラヅノ7本のドウヅキ仕掛けでのスルメイカ釣りの経験しかないです。でも以前に真正丸さんでスルメイカをイカメタルで釣った経験はあります」と三浦さんが言うと、「今回もそれです!」と小林船長。聞けば、6月に入ると例年なら水深30m前後の浅場でマルイカねらいに切り替わるタイミングなのだが、今年は4月から始まったムギイカ(スルメイカの新仔)が今なお絶好調のため、まだマルイカに切り替えていないという。
同船では11~3月はマルイカ、4月と5月はムギイカにシフトするものの、ここ何年もムギイカは不調が続いていた。ところが、今年は8年ぶりにムギイカが大当たりで連日人気を集め、6月になってもまだまだ盛り上がっているという。
ちなみに同船ではムギイカもマルイカも釣り人の仕掛けは自由で、プラヅノや浮きスッテのドウヅキ仕掛けでもいいしイカメタルでもいい。場所柄、三重からの釣り人も多く、イカメタルを楽しむ人は10年ほど前からいるという。「ウサギとカメというと語弊があるかもしれませんが、ツノ数の多い仕掛けを電動タックルでねらう方は多点掛けで一気に数を伸ばします。その横でイカメタルのお客さんはツノ数2本で1パイ1パイ丁寧に掛けていく。で、終わってみるとイカメタルのほうが釣っているということも少なくありません。浅場のマルイカは特にその傾向が顕著ですが、深場のムギイカでもイカメタルで竿頭になる人も少なくありません」とは興味深いコメントだ。
とはいえ、水深30m前後をねらうマルイカに対して、ムギイカの水深は100m前後と深いが、「実際に仕掛けを落とすのは中層まで。今日は90mなんで40~50mより上だけを探るのでそれほど大きな差はないです」とのこと。ただし沖合のため潮が速いとオモリ兼用のメタルスッテは40号(約150g)が必要になるという。
ムギイカ(スルメイカの新仔)
雨でも集中!濡れない・汚れないレインウェア
取材当日は雨。午後まで1時間に4~5mmの本降りで、集合時間の17時近くになって1mm程度になったものの止むことはなく、メンバー全員が雨対策を万全に施していた。
スルメイカは雨の日によく釣れる。そんな格言もあるようだが、どちらかというとそれは日中の釣りにあてはまることのようで、もともと夜になると活性が高まるイカだけに、雨の日は昼間でも水中が暗いことから食い気が長続きしやすいという。
6月とはいえ夜の沖は肌寒い。まして雨で身体まで濡れてしまったら震えるほどの寒さであり、逆に暑い日であれば不快なことこのうえない。
「もともと沖釣りは雨だけじゃなくて波しぶきを被ったり、海水循環シャワーもあるし、イカの潮鉄砲や墨鉄砲を浴びたり、サバの血などで汚れることもあるので、絶対に濡れないことと汚れをサッと落とせることが私のウエア選びの基準です。まして夜釣りで身体まで濡れてしまったら釣りに集中できず楽しめません」
そう語る三浦さんがこの日着用したのはShipsmastで不動の人気を誇るマリンジャケット&マリンサロペットの組み合わせだ(カラーはジャケット=オレンジ×イエロー、サロペット=オレンジ)。耐水性の高いPVC素材でありながら通常よりも薄い0.3mm厚のため非常に軽く、女性の身体に合った裁断が施されているため動きやすい。そして耐久性と防汚性に優れており、特に梅雨時をはじめとする雨の日の釣りには欠かせない一着とあって、秋山さんも同じ組み合わせ(カラーは秋に発売予定の15周年の特別カラー)。
「薄手なんでとっても軽く、女性の身体にフィットする機能的なデザインがいい。絶対に濡れたくない人はこれでしょう」と三浦さん
そして山口さんはより多くの方のボディラインにフィットする男女兼用のユニセックス形状に進化したSHIPSMAST.UのPVCジャケットとPVCサロペット(カラーはジャケット=ネイビー×ホワイト、サロペット=ネイビー)を着用。いずれも完全防水仕様のため、じわっと沁み込むこともない。
ちなみに明日は晴れ予報だったが、風が強いことから風が弱い今日を取材日に選んだわけだが、これが大正解だった。
まず、雨に関しては誰も気にしていない。全員が深いフードの下に透湿防水素材のハットやキャップを被ったことで二重の雨対策を施し、また、頭部の不快な蒸れもなく、小さなアタリを察知して掛けアワセを入れていくイカメタルの釣りに全集中できた。
SHIPSMAST.Uの透湿防水ハット。UVカット率99%・UPF50+のナイロンストレッチ素材を使用している
後半に爆釣!イカメタルでムギイカが連発
ここ数日、乗り始めが20時過ぎと遅くなっているとの情報どおり前半戦は三浦さんの良型マルイカで盛り上がったほかは1時間に1パイペースと静かすぎる展開だったが、後半、思い切ってさらなる深場に移動した船長判断がズバリ当たった。右舷でも左舷でもミヨシでもトモでもメタルでもプラヅノでもムギイカが乗り乗り!
後半は雨が強まったもののムギイカの反応もよくなって船上は活気にあふれていた
船長が言っていたとおり、右舷のプラヅノ組が安定して数を伸ばしたものの、その中でひとりイカメタルを貫いた鈴木翔也さんが43バイでサオ頭!三浦さん、山口さん、秋山さんのイカメタルメンバーも後半は目を輝かせて「また来た!」「イカメタル楽しい!」と釣果を重ねた。相当な数の潮鉄砲、墨鉄砲を浴びているはずだが、水でサッと洗い流せば落ちるので出船前と見た目の違いはない。唯一の違いはクーラーボックスの中身がイカと氷に満たされて重くなったことくらいだろう。
3人並びのトリプルヒットも達成
※このページは『つり人 2025年8月号』を再編集したものです。