いつか彼女になれるかも…「カラダだけの関係」でも順調だった女性の落とし穴
恋愛感情のない、いわゆる「カラダだけの関係」は、お互いに目的があるから関係が続きます。
それを利用して「いずれ本当に好きになってもらえるかも」と思っても、ふたりの関係を相手がどう感じているかはまったく別の問題です。
カラダだけの関係から本当の恋愛を目指したある女性は、自分の考えが間違っていた現実を突きつけられました。
女性はどんな失敗をしたのか、ご紹介します。
酔った勢いで持った関係
葉月さん(仮名/29歳)は、恋愛感情を持っていた男友達といわゆるセフレの関係にありました。
自分が好意を持っていることを男性のほうは薄々は気が付いていて、それでも仲が進まなかったのは、男性側に自分への明確な気持ちが見えなかったから、と葉月さんは言います。
「告白しても振られる可能性が50%はあるなって感じで、そんな賭けみたいなことはできませんでした。
誘えば会ってくれるしふたりで食事にも行けるけど、彼のほうから好きを匂わせるようなことはなかったですね」
そう振り返る葉月さんは、振られて疎遠になるくらいなら、と友達関係で満足していたそうです。
それが変わったのは男性が珍しく落ち込んだ様子で電話をしてきたときで、励ます口実で居酒屋に行った夜、ふたりは酔った勢いでホテルに入りました。
「仕事でミスをしたって自分について愚痴を吐いていて、そんなことないよって返していたら『お前は本当にいいやつだよな』って言われて、ドキッとして。
今なら少しは近づけるかもなんて思ってしまって、あえて飲みすぎて甘えようとしていました」
その葉月さんを見て、男性のほうから「少し休もうか」と提案してきたのがホテルで、断れるはずもなくそのまま一夜を過ごします。
「好きだとか付き合ってとか、言ってくれるかなと期待したのですが、なかったですね。
それでも、こうなれたのがうれしくて有頂天でした」
一線を超えたふたりの関係は、それからも男性から誘われてホテルに行く形で続きます。
「彼女になれるかも」という期待
「ご飯に行こうって連絡が来ても、会えば入るのはホテルで、そこで事が終わってから食事も済ませたりしていました。
やっぱり好きだとは言ってくれないしセフレだなって自分でもわかるけど、それを言うと切られる気がして怖くて……」
男性のペースに任せるまま、葉月さんはカラダだけでつながる時間を捨てられなかったといいます。
自分以外にこんな関係の女性はいないであろうことは、普段の様子を知っているぶん確信があって、それが葉月さんには希望になっていました。
「いつか彼女になれるかもって、思っていました。
彼に誰よりも近いのは私なんだって、本当に何とも思っていなければホテルなんて何度も行かないだろうって、自分に言い聞かせていましたね……」
体を重ねていればいつしか相手に本当の好意が生まれるかも、と思うのは、セフレの関係ではよくあることです。
このとき、「自分から告白して今の関係を変える」ことができなかったのは、ひとえに男性との時間を失いたくなかったから。
いつか男性のほうから告白してくれるのを待つことが、葉月さんの選択でした。
青天の霹靂
好きな男友達とカラダだけの関係になって2ヶ月、ふたりの間では確かに今までより会話が増え、LINEや電話で話すことが多くなっていたと葉月さんは振り返ります。
「自分たちの関係について彼からは絶対に触れてこないんですけど、会っていたときの話題を『そういえば』って電話で持ち出したりして、何ていうか、受け入れてもらえているのかなと思っていました」
男性のどんな話も、男性がどんな状態のときも、葉月さんは拒絶せず受け止めて、「自分が誰よりもあなたを理解している」とアピールしていました。
「でも、正直に言えばいつまでこうしているのかなって、連絡のない週末なんかはふと不安になって。
誰と過ごしているのだろうって気になっても聞けないし、落ち着かないときも多かったですね……」
それでも、ふたりの関係はうまくいっていると、葉月さんは思っていました。
そんなある日、男性から送られてきたLINEのメッセージにあったのは、
「彼女ができそう」
という言葉。
それを目にしたとき、葉月さんはショックで体が固まったといいます。
「まさに青天の霹靂って感じで、何で、どうしてって、心臓がバクバクしていましたね」
男性にそんな素振りはまったくなく、そのメッセージが届く一週間前にもホテルに行っており、葉月さんは初めて「裏切られた」という怒りが湧いたそうです。
「すぐ電話したのですが、彼は出ませんでした。
それで、LINEで『信じられない』って送ってしまって……」
数時間後に既読が付き、男性からの返信には
「俺たち、別に付き合っているわけじゃなかったでしょ」
という、さらにつらい言葉が書かれていました。
男性にとってのふたりの関係とは
「それを読んで、あ、逃げられたとすぐに思いましたね。
彼は好きだとか絶対に言わなかったし、私も言うことはありませんでした。
付き合っているわけじゃない、ただのセフレだったって言っても、責められないですよね」
それでも、このまま終わることがどうしてもできなかったという葉月さんは、電話をかけます。
男性は出てくれて、そこで
「確かにホテルは行っていたけど、お前もわかって会っていたんじゃないの?」
と言われたときに、自分との関係は本当に割り切ったものだったのだと思い知りました。
「自己責任だよねって言われて、何も返せなかったですね。
やめようと思えばいつでもやめられたのに、そうしなかったのは確かに自分だし」
男性から「だから、これからはもう会わないから」と言われて通話は終わり、そのままふたりは疎遠になりました。
葉月さんにとって一番悲しかったのは、男性が自分と過ごしながら別の女性とも仲良くしていた事実で、「私が一番近い」はただの思い込みだったことに大きなショックを受けたといいます。
「彼にとっては、本当にカラダだけが目当ての関係だったんですよね。
何であの夜ホテルに行ってしまったんだろうって、それからずっと苦しくて……」
もしあのとき断っていれば、少なくとも男性とは今も男友達として付き合えていたのかもしれない。
葉月さんの後悔はここにあります。
でも、断ったことで男性のプライドを傷つけ、それで自分が遠ざけられることのほうが、そのときは怖かったのもまた事実です。
葉月さんの本当の失敗は、どこにあったのでしょうか。
「関係を相手任せにしない」のが正解
客観的に見れば、ホテルに誘われたときにきっぱりと「彼氏じゃない男性とは寝ない」と伝えていれば、そこで男性の気持ちを知る機会になったのかもしれないと感じます。
それでも、好きな気持ちがあればそこで振られることも当然怖くて、男性の今の気持ちに応えるために受け入れてしまうことも、起こり得ることです。
カラダの関係であっても、「誰とでもこうなるわけではない」と葉月さんは思っており、それは自分が好きだからこそ男性にも向ける期待で、同じであってほしいと思っていました。
一方で、会えばホテルに行く関係を続けながら好きとも言ってこないのであれば、一度は立ち止まって今のふたりの関係について話す時間を持てればよかった、と思います。
「どんな気持ちで自分と会っているのか」を知ろうとするのを避けたのが、葉月さんの失敗だったのではないでしょうか。
「自分から告白して今の関係を変える」選択をしなかったのが、男性の甘えを許していた可能性はあります。
「好きと言って、俺は違うからもう会わないと言われるのが怖かった」
と葉月さんは言い、それは当然の恐れです。
でも、別の女性との恋愛関係を選ばれたのが現実の結果であり、極端にいえば振られる終わりを先延ばしにしていたともなります。
「いつか彼女になれるかも」という期待は仕方ないとしても、ふたりの関係を相手の変化に委ねたのは、葉月さんの弱さともいえます。
自分を大切にすること
片想いをしている男性から体の関係を持ちかけられて、好きだからこそ断れずにおかしなつながりを持ってしまう女性は多く見聞きします。
「寝るのは自分に好意があるから」と思いたいのは当たり前ですが、本当にそうであれば、安易にセフレの関係を提案するのではなく最初から恋愛の相手として見てくれるのが、誠実さではないでしょうか。
「彼女じゃないけれど自分と寝てくれる女性」を男性のほうから簡単に手放すはずがなく、それが恋愛感情に発展するかどうかは、女性の側では決められないことです。
まともに付き合う気がないとわかったら、一度は会うことを断り、男性に今の状態を考えてもらうのも自分のため。
「いつか」を期待してふたりの関係を相手に委ねている限り、その結末も相手しだいになってしまいます。
自分の思いは自分で大切にする姿勢が、幸せな恋愛には欠かせません。
素直に気持ちを打ち明けられる勇気を、忘れたくないですね。
葉月さんはそれから立ち直り、今は別の男性といい雰囲気のお付き合いを続けています。
好きだからと相手をむやみに受け入れず、自分を大切にすることを、意識しているそうです。
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カラダだけの関係が悪いわけではないですが、そこに一方的な期待をかけてしまうと、相手が同じ気持ちでなかったときに苦しみます。
どんなつながりであれ、好きでお付き合いしたいと思う相手なら、自分から関係をリードしていく勇気も大切です。
好きな気持ちをまっすぐに育てるためにも、相手に関係の先を委ねないことを、心得たいですね。
(mimot.(ミモット)/弘田 香)