湯たんぽでエコに温まる!低温やけどに注意
寒い日が続いていますが、手軽に暖をとることができるのが「湯たんぽ」です。
湯たんぽ 低温やけどに注意!
電気代を抑えるため、エコという面でも「湯たんぽ」を使っている方も多いかもしれませんが、使い方を誤ると「低温やけど」のリスクがあります。一般財団法人製品安全協会 専務理事 関成孝さんのお話です。
一般財団法人製品安全協会 専務理事 関成孝さん
実は「低温やけど」というのは普通のやけどと大きく違っていて、お風呂の温度よりも、少し熱いけれど心地いいかなっていうくらいの温度であっても、長くそこにさらされていると、身体の内部に熱が入って、やけどになってしまう。結構重いやけどになってしまうんです。消費者庁の事故情報データバンクシステムに医療機関から事故事例の報告があがっているんですけれども、湯たんぽで低温やけどを起こした報告が、2009年1月から2024年1月、その間に75件ほど出ています。布団が温まったら湯たんぽは布団から出していただければと思っています。
2009年からの報告で75件ということでしたが、そのうち4分の3が、重症、または1ヶ月以上の治療が必要と、結構重いやけどを負っています。
湯たんぽは、熱すぎず、ある程度気持ちがいい温度だからこそ、ずっと足をのせてしまって低温やけどを負うケースもあり、44度程度でも3~4時間、46度では30分~1時間触れているとやけどの可能性があるということです。皮膚が薄いお子さんや、熱さに鈍くなっている高齢の方は特に注意が必要で、長時間、身体に接触させないようにすることが大切です。
製品安全協会は、湯たんぽを安全に使うためにも、プラスチック製のものは3年を目処に、金属製のものは1年ほどで状況を見ながら新しいものに買い換えてほしいと呼びかけています。
手袋メーカーや抱き枕メーカーとコラボした湯たんぽ
人気の高まりから、今いろいろな湯たんぽが販売されていますが、低温やけどにも配慮した商品も出てきています。岩谷マテリアル株式会社 新商品開発部 加藤善行さんに伺いました。
岩谷マテリアル株式会社 新商品開発部 加藤善行さん
今年新しく発売した商品は、他の業種のメーカーさんとコラボした2種類の商品を企画して、手袋屋さんが作った湯たんぽカバーということで「ソックスデポ湯たんぽカバーと湯たんぽのセット」。もう1つが抱き枕メーカーさんとコラボして「ねこ肯定感湯たんぽカバーと湯たんぽのセット」この2つです。ソックスデポ湯たんぽは、リバーシブルになっていますので、生地が二重になっています。2つの生地の間に若干の空気が含まれるので、一般的な手頃な湯たんぽの薄いカバーに比べれば、熱の伝わり方は優しくなります。ねこ肯定感は、もともとが抱き枕で中綿がたっぷり入っている状態なので、表面の温度がそれほど高くなりすぎることはないかと思います。ですが、もともと湯たんぽは身体を直接温めるものではなく寝具や布団を温める暖房器具として販売していますので、取り扱いの注意をよく読んでお使いいただきたいと思います。
「ソックスデポ湯たんぽカバーと湯たんぽのセット」は香川県の手袋メーカー「フクシン」とのコラボ商品。
「ねこ肯定感湯たんぽカバーと湯たんぽのセット」は抱き枕メーカー「りぶはあと」とのコラボ商品です。もともとある「ねこ肯定感」という抱き枕を湯たんぽカバーにしました。
さらに、低温やけどを起こす人を減らしたいと「FK WARMER」という湯たんぽも販売しています。湯たんぽ本体に、ざるのようにフレームをかぶせて、カバーと本体の間に空間を持たせることで、過剰に熱が伝わらないような設計になっています。
ウエットスーツ素材の新感覚湯たんぽ
このほかにも、低温やけどをしにくい、ユニークな湯たんぽが登場しています。大分県でウエットスーツを作っている企業が販売しているのは、これまでの寝る前に使う湯たんぽの枠を飛び出した「クロッツやわらか湯たんぽ」。どんな商品なのか、ヘルメット潜水株式会社 伊賀正男さんのお話です。
ヘルメット潜水株式会社 伊賀正男さん
ウエットスーツの素材の特徴を活かした商品作りを、合間に少しずつやっていて、20年ちょっと前に「ウエットスーツの素材で湯たんぽ作ったら面白いんじゃないか」と思って、半年くらいかけて開発した。もともとウエットスーツですから、要は身につけるものですよね。だから、非常にソフトですし、ウエットスーツの素材は、非常に断熱性が高い、断熱性があるから湯も冷めにくい。湯たんぽにはぴったりの商品じゃないかなと思って、柔らかくて低温やけどしにくいということで、これが大きな特徴です。20種類以上あるんですよ。肩用、それと目、首、手用もあります。一番ポピュラーなのはたまご型。それと足用。今冷え性の人が多いですから足用は大人気です。足から全身が温まりますので人気商品ですね。
足用は「履く湯たんぽ」「足が濡れない足湯」のようなイメージ。肌触りが良くて、オフィスやキッチンでも使えます。一品一品、全て手作りだということです。
ただ、製品安全協会の関さんも話してましたが、気持ちがいいからこそ、低温やけどには本当に注意が必要です。寒い冬に温めてくれる湯たんぽ。くれぐれも、安全に使いたいですね。
(TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』取材・レポート:西村志野)