「よく眠れていない気がする...」人はチェック!夜中に目が覚める原因を、睡眠研究の第一人者・柳沢教授が解説
睡眠不足による悪影響は想像以上です。睡眠研究の第一人者で筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)機構長・教授の柳沢正史先生によれば、慢性的に睡眠が不足した状態が続くと、深刻な病気を招いたり、老後の健康にまで影響を及ぼしたりすることもあるそう。先生が監修した『快眠法の前に 今さら聞けない 睡眠の超基本』(朝日新聞出版)は、最新の睡眠科学がわかる一冊です。さらに、睡眠不足からくるパフォーマンス低下や、歯ぎしりや夜中に目が覚めるなどの睡眠中のよくある悩みについても解説しています。早速今晩から、自分の睡眠を見直してみては?
※本記事は柳沢正史 監修の書籍『快眠法の前に 今さら聞けない 睡眠の超基本』から一部抜粋・編集しました。
夜中に目が覚める原因は?
不快になる要素があるとその分目が覚めやすい
明るい照明や人の話し声、騒音、暑すぎる・寒すぎる室温、身体に合わない寝具など、眠りを妨げる要因となるものが多いと、目を覚ましやすくなります。睡眠直前の行動も重要で、激しい運動やサウナなどは睡眠の質を下げ中途覚醒につながることがあります。一方で、就寝1〜2時間前に軽い運動や入浴を行うと、深い眠りにつきやすくなります。
年齢とともに中途覚醒は増加傾向にあり、特に50代以降は一晩に1〜2回の中途覚醒は避けられません。むしろ健康的に加齢したのだと気楽にとらえましょう。気にするあまり睡眠不安を引き起こし、かえって不眠症につながる可能性があります。
睡眠の質が悪いと中途覚醒しやすい
睡眠の減点要因が多いと、深く眠ることができません。眠りが浅くなると中途覚醒が起こりやすくなるので、睡眠空間をいかに快適に保つかが重要になってきます。
中途覚醒とは?
よく眠ったと思うときでも、実は睡眠中に脳が一瞬目覚めることはよくあります。ほんの数秒~20秒程度なので、目覚めても覚えていない場合がほとんどです。一方、中途覚醒は、本人が自覚するくらい目覚めている状態。そのあとなかなか寝つけないこともあります。
寝る直前の行動が重要
就寝前の行動は、睡眠の質に大きな影響が。激しい運動や刺激は身体を覚醒させ、眠りにくくします。就寝1 ~ 2 時間前にはリラックスできる活動を心がけ、おだやかな状態をつくり出すことが大切です。
ストレスをため込まない
将来への不安や仕事のストレスなどがあると、身体が緊張状態になり、眠りが浅くなることも。
入浴は就寝1~2時間前
寝る直前に入浴すると交感神経が活発になり、逆に目が覚めてしまうことがあります。
カフェインは8時間前まで
カフェインは摂取してから5~8時間は身体に残ります。午前0時に寝るなら午後4時までが理想です。
寝酒をしない
入眠作用はあるものの、浅い睡眠に。利尿作用もあるため、中途覚醒しやすくなります。
寝る直前の水分補給を見直す
水分補給は大切ですが、寝る直前は多く摂る必要はありません。寝る前の水分はコップ1杯程度に。
寝室環境を見直す
温度、湿度、寝具の状態など、自分の好みに合わないものがあれば見直してみましょう。
生活リズムを整える
起きる時間はもちろん、食事の時間も一定に。生活リズムを整えれば、夜には自然と眠くなります。
あまりこだわりすぎない
「こうしないと眠れない」など、こだわりが強すぎると睡眠不安を招いてしまいます。
入眠儀式を行う
眠る前に、毎晩同じ行動を行うと入眠がスムーズになります。内容は自分に合うものなら何でもOK。入眠儀式(ベッドタイムルーティン)といって、子どもから大人まで効果のある方法です。