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​経験や実績を整理し、新たなキャリア形成のヒントに。正しいスキルの棚卸し法【27歳からのキャリア戦略】

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​経験や実績を整理し、新たなキャリア形成のヒントに。正しいスキルの棚卸し法【27歳からのキャリア戦略】 【求人ボックスジャーナル】はたらき方やキャリアを考える機会を創出するメディア

転職を考え始め転職エージェントに登録してみたものの、いざ職務経歴書を書こうとすると、「自分のスキルや経験を具体的に言語化できない……」という方は多いのではないでしょうか。

そこで今回は、転職支援・キャリア相談サービスを運営するキャリアのプロ・黒田真行さんに「スキルの棚卸し」のポイントを伺いました。「これまでやってきたことを単純に時系列でまとめることを棚卸しだと思っている方が多いと思いますが、それだけでは足りません」と話す黒田さん。スキルを整理するために必要な観点とは?

経験の長さや成功体験の多さで、自分のメインスキルが決まる

Q. まず、スキルの棚卸しとは何か、何のために行うものなのかを教えて下さい。

新卒の就職活動でいう「自己分析」の転職版のイメージです。学生はキャリアにおけるスキルがほぼ0の状態のため、スキルの棚卸しはできませんが、転職では経験を積んでいるので、自分が得た実績を振り返る必要があります。

また、長期的なキャリアを考えたい場合も「この先なりたい姿から考えると、これが足りない」といった形で戦略を描くと思いますが、自分のこれまでの経験や実績を整理するという意味で、スキルの棚卸しという言葉を使うことが多いです。

しかし、 単純に過去から現在へと、時系列でこれまでの経験や実績を並べるだけでは、スキルの棚卸しにはなりません 。

Q. では、どのようにスキルの棚卸しを進めていけば良いのでしょうか?

自分の持っているスキルも1つではないと思いますので、その中にどんな性質のものが含まれているのかを、複数の観点から整理する必要があります。まず、自分のスキルを 「メインスキル」 と 「サブスキル」 に分類すること。

時系列で振り返っている方を見ていると、直近にやっていることをメインスキルだと考えていることが多いように見受けられます。例えば、入社後10年間は営業で、人事に異動して3年目という方。現在は人事を担当していますが、年数でいえば営業の経験の方が長いですよね。人事にいる3年のブランクがあっても、成功体験が多ければ営業がメインスキルになります。

ただ、3年の人事での経験の中でインパクトが大きい仕事をしたのであれば、人事がメインスキルだと言うこともできます。 時系列に縛られるのではなく、経験の長さや成功体験の多さで、メインスキルかサブスキルかを分類することが大切です 。

自分が持っているスキルの汎用性や需要も見極める

Q. 自分が持っているスキルの専門性が高いという方は、それが大きな強みになる印象があります。

確かにそうとも言えますが、転職したい業界によって、強みになるか、ならないかは異なると思います。専門性が高いスキル、例えばシステムエンジニア、電気設計の技術者、看護師、薬剤師、新聞記者などは、「バーティカル」なスキル、縦型のスキルだと言えます。これらのスキルは特定の業界や領域では価値を発揮しますが、業界から出ると価値が薄まってしまったり、業界をまたぎにくかったりするんです。

一方、人事や経理などは、会社が変わっても基本的にはやることが一緒ですよね。他の業界や会社でも通用するスキルは、「ホリゾンタル」なスキル、横型のスキルだと言えます。ホリゾンタルなスキルを持っている方が汎用性がありますし、転職する時の選択肢に広がりが出るんです。

バーティカルかホリゾンタルか、業界固有のものか業界をまたいで使えるのかという観点で分類することも、スキルの棚卸しのポイントです。

Q. 自分が持っているスキルが、市場で必要とされ続けるかどうかという観点で判断する必要もありそうですね。

その通りです。今自分が持っているスキルに引き合いがありそうか、需要が広がっていくものか衰退していくものかを見極めることも重要です。加えて、同じ職種でも業界によって需要の高低が変わりますよね。例えば営業職であっても、商材によってその先売り上げが見込めるものか、右肩下がりかが変わってくるので、そこも見ていく必要があります。

さらに、自分の持っているスキルに代替性があるかを予測して備えることも大事です。自分が持つスキルがAIにとって代わられてしまう可能性はないですか?AIで賄えてしまうと、その仕事自体がなくなってしまいます。他にも、全く別の業界がやってきて、自分のスキルを発揮できる業界自体が飲み込まれて消滅してしまう可能性も考えなければいけません。ここを見極めないと、「せっかくここまでやってきたんだから、活かさないともったいない」というサンクコストバイアスが働いてしまうでしょう。

もし自分のメインスキルが市場で需要がなかったり、発揮する場所がこの先なくなってしまったりするものだったとしたら、サブスキルに切り替えて自分を売っていくことも大切です。 「自分は大丈夫」という、正常性バイアスがかかってしまっている人もいると思いますが、そこで一歩動き出すことが、その後のキャリア形成においては非常に大事になってきます 。

「ポータブルスキル」をヒントに、売れるスキルを生み出す

Q. サブスキルがない、他に売れるスキルがない人はどうしたら良いのでしょうか?

0からスキルを習得していくしかないですよね。 転職したい業界や職種が未経験のものであっても、もう1回弟子入りするつもりで飛び込んでいく必要があると思います 。その際、未経験の中に少しでも自分との共通点を見つけて、そこを手掛かりに自分を売っていくことが大切です。

厚生労働省のホームページに記載がある「ポータブルスキル」というものが、そのヒントになると思います。ポータブルスキルは、業種や職種が変わっても持ち運びができる職務遂行上のスキルとされています。その要素は、現状把握、課題設定、計画立案、課題遂行、状況への対応といった、仕事の仕方の部分と、社内外の対応、上司への対応、部下のマネジメントといった、人との関わり方の部分に分けられます。

参照:厚生労働省「ポータブルスキル見える化ツール(職業能力診断ツール)」

自分の中にこれらのポータブルスキルがあるかどうかも分析して、手掛かりを1つでも掴んでおくと、未経験の仕事への転職でも多少怖さが和らぐと思いますし、ソフトランディングできる可能性があるのではないでしょうか。とくに20代や30代のうちでは新しい分野に挑戦する機会が多いと思いますので、遅すぎるということはありません。もちろん、簡単には受からないかもしれませんが、たとえダメ元であってもポータブルスキルも使ってみることが、新たな扉が開くきっかけになると思います。

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