先輩の一言に奮起! 新人座長のガッツに懐かしさや羨ましさを感じることもーー夏アニメ『陰陽廻天 Re:バース』木村太飛さん、内田真礼さん、木村良平さん、石川界人さん メインキャスト座談会
ヤンキーが不慮の事故に遭い、気が付いたら和とサイバーが共存する電祇平安京(でんじへいあんきょう)の世界だった。「陰陽師」、「サイバー」、「異世界」、「ループ」、「ヤンキー」、「恋愛」など要素がてんこ盛りのオリジナルアニメ『陰陽廻天 Re:バース』が2025年7月2日から放送中!
夢の中に現れた謎の少女ツキミヤと異世界でめぐり会い、彼女を守るために戦う、主人公の業平 猛を木村太飛さん、電祇平安京で人気の舞手でヒロインのツキミヤを内田真礼さん、電祇平安京を守る陰陽師を束ねる存在でありながら謎多き安倍晴明を木村良平さん、陰陽師の中でもトップクラスの実力を持つアツナガを石川界人さんが演じています。
放送開始を記念して、メインキャストの木村太飛さん、内田真礼さん、木村良平さん、石川界人さんの座談会をお届け。作品の魅力や演じるキャラについて、そしてアニメ初主役の木村太飛さんのお芝居を先輩3人はどう見ていたのか?など語っていただきました。
【写真】『陰陽廻天 Re:バース』木村太飛・内田真礼・木村良平・石川界人 声優座談会
『陰陽廻天 Re:バース』は要素が多すぎでわけがわからなすぎ。だけど心惹かれる作品!?
――『陰陽廻天 Re:バース』の台本を初めて読んだ時の印象をお聞かせください。
安倍晴明役 木村良平さん(以下、木村(良)):(第1話の)収録が始まったのは去年の9月くらいでした。
業平 猛役 木村太飛さん(以下、木村(太)):みんな、半袖でしたよね……もしかしたら今日着ている服と同じだったかもしれません。
ツキミヤ役 内田真礼さん(以下、内田):本当に!?
木村(太):ヤンキーっぽい服装で行こうと思って。
アツナガ役 石川界人さん(以下、石川):確かに長袖だったかも。
木村(良):そういえば石川さんも今日ヤンキーっぽいような?(笑)
石川:めちゃめちゃ清楚でしょうが!
木村(太):でもチェーンのネックレスを3本もしているところはそんな感じも。
内田:そうだよね。
石川:確かにこのネックレスはヤンキーっぽいかな(笑)。
――そろそろ内容のお話も……。
木村(良):サイバー感や陰陽感がミックスされているところがおもしろそうだなと思いました。第1話の収録では細かく映像が完成していなかったですし、ストーリーの導入しか描かれていなかったんですけど、台本上から街並の様子や文化など得られる情報だけでも独特な世界観で。オリジナルストーリーでバトルシーンもありつつ、ミステリーの要素もあったのでワクワクしました。
木村(太):「陰陽師」、「サイバー」、「異世界」、「ループ」、「ヤンキー」、「恋愛」など情報量の多さにまず驚きましたし、カロリー高めだなと思いました。猛はアホなので、ただ真っ直ぐ演じられたらいいなと。また多くの転生ものは欧米っぽい世界観で描かれているのに対して、電祇平安京というサイバーな世界が舞台になっているのも異彩を放っていておもしろいんです。要素がたくさんある作品なのでこれまでにない新しくて楽しい作品になりそうだなと期待感が高まりました。
内田:まずオーディションでいただいた資料がおもしろくて、心惹かれました。私が演じるツキミヤもオーディション資料だけでとても情報量が多かったので、「これを1クールのアニメでやるんだ!?」とすごく驚きました。でも「絶対にツキミヤをやりたい!」という気持ちが強かったです。実際にツキミヤ役に決まって収録するとやっぱりおもしろくて、いろいろな要素がふんだんに含まれている上にありとあらゆるところまで行き渡っていて。掘れば掘るほど魅力が出てくる作品だなと思っています。
石川:正直なことを言うと「何が何だかわからない」というのが第一印象でした。これから第1話をご覧になる皆さんも僕と同じ感想を抱かれるんじゃないかなと思います。第1話は詳しい説明はせずに、「こんなことがあったからこんな勢いでやって行くぜ!」みたいなノリだったので、「今、何が起こっているんだろう?」という「?」の連続から興味が湧いて、どんどん引き込まれていく脚本でした。
オーディションでアツナガを受けた時も陰陽師については割と説明を受けていましたが、世界観についてはあまり教えてもらっていなくて。アツナガについても「猛と競い合いながら友情を育んでいくキャラです」だけ言われていたので、台本をいただいた時に「これはどういうことなんだろう?」と資料を一生懸命読み込んで収録に臨みました。
木村太飛さんは収録現場に猛と同じヤンキーっぽい衣装と髪型で参加!
――ご自身のキャラクターの印象と演じる時に意識された点を教えてください。
木村(太):猛はおじいちゃんが営む中華料理店を手伝って調理する家族想いの真っ直ぐな性格の良いヤツです。超バカな感じも共感しています。僕も真っ直ぐなところがあるので、結構肌になじんでいます。叫ぶシーンが多いので、『ドラゴンボール』の映画をたくさん観てから収録現場に行っていました。
内田:太飛くんもヤンキーなの?
木村(太):僕は違いますが、地元にそういう人たちがわりと多くて。あと友達も(笑)。
石川:参考になる人がたくさんいたんだね。猛イズムを感じるような(笑)。
内田:その街で育ったから少しは猛イズムがあったんだね。
石川:少しは(笑)。
木村(良):収録の時の衣装も猛に合わせていたよね?
木村(太):はい。他の作品でも演じる時は衣装や見た目から入って、もし演じている時に迷ったらその服装で動いて考えています。髪型も毎回オールバックでした。
内田:確かに! すごい! ツキミヤは作品の中で彼女自身の視点というよりも猛から見たツキミヤとして描かれることが多かったので、台本を読んでもツキミヤの本心がつかみにくくて。だから収録が始まったばかりの頃は、猛から見たツキミヤを演じようという気持ちで臨んでいました。
また内側から出てくる女の子のかわいさや魅力をその瞬間ごとに引っ張り出すお芝居をしました。すごくかわいいし、魅力的だし、踊りもできて、何でもできるし、とにかく誰にも嫌われる要素がないお芝居をしようと思っていました。
無意識のうちに男性に「俺のこと好きじゃん」と思わせてしまう魅力もあって、例えば「デートに行こうよ」と誘う時もわかりやすく、照れていることが伝わるお芝居をしたり。
木村(良):悪っ~!
(全員爆笑)
内田:それはツキミヤ視点ではなく、猛視点なので、濃いめに演じましたし、「もっとかわいく!」というディレクションも何度もいただきました。なので「濃く! 濃く! 濃く!」と意識しました(笑)。
晴明は謎めいていながら底知れなさがある人柄。アツナガは真っ直ぐさとバックボーンが見えるように
木村(良):安倍晴明は 電祇平安京を守る陰陽師のトップですごく力があり、みんなを束ねる存在で、いつも笑顔でみんなに優しい、良い人です。
石川:良平さんと晴明さまは似てますよね。
木村(良):そう!? でも晴明は素敵な存在です。
内田:えっ!?
木村(良):何っ!? その疑うような目は(笑)。正直、ちょっと怪しく演じてもいいなと思ってやっています。そのくらいの幅があったほうが物語もおもしろくなるので……でもただの良い人なんですけどね。
内田:でも怪しいけどな~(笑)。
木村(良):猛の視点では謎めいた街の象徴的な存在に見えると思うので、街がどう猛を受け入れるのかを、前半では特に晴明が表現していると思います。そこが晴明の懐の深さであり、底知れなさでもあって。
石川:アツナガは猛と違った方向で、結構バカで(笑)。
木村(太):(笑)。
石川:オーディションの時からギャグが多かったし、キャラクターPVにも真剣なセリフが1割くらいしか使われていなくて。
内田:確かに(笑)。
石川:まじめで誠実なエリートなのに、扱われ方はギャグ要員みたいで、やりがいがあるキャラクターです。生真面目っておもしろいんですよ(笑)。信じるものは信じるし、疑うべきものはしっかり疑う真っ直ぐさがあって。
あと、もし猛がいなくて、電祇平安京の世界だけ描かれるとしたら五霊星になるまでのドラマが描かれていたんだろうなとすら思えるキャラクターなので、彼のバックボーンみたいなものを感じさせられるようなお芝居ができればいいなと思いながら収録に臨ませていただきました。
内田さんと石川さんが監督から何度も出されたディレクションとは?
――他に皆さんへ監督からオーダーはありましたか
木村(太):監督からはよく「知性を感じる」と言われていました。
内田:言われてたね。
木村(太):だから何も考えずに距離感だけ意識して、あとは思っていることだけしゃべるようにしました。
石川:本人がとても気を遣うタイプなので、それが出てしまうと「違う」と言われがちになるんだと思います。「こいつは何も考えてないだろう」って。
木村(太):猛は気を遣わないですからね。
内田:ツキミヤは「明るく、かわいくいてほしい」とずっと言われ続けてやっています(笑)
石川:僕は「とにかくやっちゃって」しか言われてなくて。まじめなシーンは自分なりに台本を読み込んだ解釈でいくんですが、ふざけるシーンでは「もっとやっちゃって!」とか「尺とかいいからやっちゃって!」とか「後で直すからやっちゃって!」と言われすぎて、わけがわからなくなってきています。
でも後半になるにつれて、そういうシーンも減ってくるんです。最初の導入だからできる明るいシーンのはじけ具合やアドリブは「もっとやっちゃって」と言われているので、アツナガは「やっちゃって」の役です(笑)。
木村(良):ギャグシーンは「これはすごくおもしろいけど、NGかな?」と思ったらOKなんだって。
内田:何でも行けちゃうんだよね。
――晴明はミステリアスなので、さじ加減が難しそうですね。
木村(良):晴明はミステリアスだからどうにでもできてしまいます。単純に良い人で行くのか、「こいつ、何か企んでいるんじゃない?」と匂わせるバランスはその都度、音響監督と話しながら、割と含みを持たせてやっています。
何度もタイムリープする猛に、リアクションする時の気持ちは?
――猛は作中で何度もタイムリープしますが、ツキミヤや晴明、アツナガなどは違うわけで。タイムリープしてから再び現れた猛へのリアクションはどのように演じられているのですか?
石川:猛がタイムリープするたびに(新たな出会いであるかのように)気持ちをリセットして演じています。
木村(良):猛の記憶自体はリセットされず、前回に会った時の親近感そのままで接してくるので、対応の仕方も初めての時とは違うように演じています。いつも「何か友達みたいな感じでくるな、コイツ」と思っているでしょうし。そんな猛以外のキャラクターのタイムリープ後の変化も観ていたらおもしろいんじゃないかと思います。
木村(太):猛は二度目以降のみんなの態度の変化について気にしていないと思います(笑)。
石川:むしろ「そうか、そうか。わりぃわりぃ、初めましてだったな」みたいな(笑)。
木村(太):「でも俺ら、ちゃんと友達になれっから大丈夫!」って(笑)。
内田:私も初めて会った感じで演じています。猛はこの世界では異分子だけど何があっても猪突猛進だから引っ張られるし、「何か心惹かれるものが生まれてくるのかな」と思いながら第1話と第2話は演じたことを覚えています。
映像はきれいで近未来感のある平安京の描写はミスマッチ感も。アツナガたちが付けている小物は男子なら憧れるはず?
――映像をご覧になった感想をお聞かせください。
木村(太):とにかくきれいですし、めっちゃ動いていて、「闇薫(やみかおる)」のネオン感も好きです。バトルシーンになった瞬間、暗くなって、光で下から照らされている感じですごくカッコいいなと。映像を観るだけでも新鮮で楽しめる作品だなと思いました。もちろん声もお芝居もバチバチです(笑)。
内田:きれいだなというのが第一印象です。オリジナル作品なので、導入がとても大切だと思いますが、猛がいた世界と転生した先のサイバー陰陽師の世界が全然違っていて。生きている人たちの髪色もみんなバラバラで、「この世界は何なんだろう?」と引き込まれる魅力があるなと思いました。
あと私が収録している時には知り得なかったキャラクターのカラーリングが見られて、「こんな髪色だったんだ!?」とか「こんな肌の色だったんだ!?」とちょっとビックリしました。そんな、どこか違和感がある世界が素敵だなと思います。
またツキミヤが踊るシーンはアフレコの時から音楽が入っていたので、世界観はわかりやすかったのですが、実際に映像で拝見したらとてもきれいで。「これなら好きになっちゃうよな」と納得しちゃいました(笑)。
木村(良):平安京があった時代の背景の中に、現在どころではない近未来を感じられる街並があって、きっと陰陽師の力で動いているのだと思いますが、そういうミスマッチさや「どこまでこの世界は広がって、どこまで表現されるのかな」という部分にワクワクしました。いざバトルが始まるとロボットっぽくなってみたり、身近な生活の中に入り込んでいて。「だから髪色も自由なんだ!?」とか納得していって、そういう広がりとまだ描かれていない部分まで見たくなりました。だから好きです。
石川:まず疾走感がすごい映像だなと思いました。情報量もたくさんありますが、展開もポンポンとテンポよく進んでいくため、考え込む前に次の展開が来るので本当に怒涛の展開でした。
また陰陽術もカッコよくて、技の迫力とかも3DCGがすごくなじんでいて。サイバーの世界観と陰陽術がめちゃめちゃなじんでいたし、見やすかったです。
それと小物もとてもカッコよくて、陰陽師が腕にはめている装置がすごくカッコいいから欲しいです。
木村(太):僕も欲しいです!
石川:あと力(りき)の術が出た時の札みたいなものが集合したのもカッコいいし。男子なら「ああいうのやりたいな」と憧れるだろうなと思いました。
初主人公の木村太飛さんを先輩たちはどう見る?
――内田さん、木村良平さん、石川さんから見た猛の印象と太飛さんのお芝居についての感想をお聞かせください。
木村(太):うわっ!?
木村(良):傷つけたくないんだよな。
内田:聞かないほうがいいのかも。
木村(太):怖いよ~! でも聞きたい(笑)。
木村(良):太飛くんとは「初めまして」でしたが、スタジオで彼の第一声を聞いて、「なるほど。こういう人を連れてきたんだ。どんぴしゃだな」と思ったし、太飛くん本人も真っすぐでガムシャラな感じで。「そうか。そうか」と思っていたら割と器用な芝居をするので、「こういうタイプは珍しいな」と。
これから物語が進んでいくとつらかったり、しんどい部分も描かれていくので、ガムシャラさだけでは成立しない時にどんな表現をするのか、僕も純粋に楽しみです。
木村(太):ありがとうございます!
内田:猛はヤンキーで真っすぐで、とにかくガムシャラに頑張る熱血な人だと思いますが、アフレコ現場で見る太飛くんは、猛と同じ感じに見えます。監督やスタッフさんからディレクションやアドバイスを受けるたびに大きな声で「はいっ!!」、キャストの先輩からもアドバイスされても「はいっ!!」と良い返事をするだけじゃなく、言われたことを吸収するスピードも早くて。第1話と第2話では別人みたいでした。
木村(太):第1話はもうガチガチでした。
内田:緊張してたんだ?
木村(太):アニメで初めての主人公でしたし。
内田:そういえば「主人公ってどう演じればいいんですか?」って聞かれた(笑)。
木村(太):本当にわからなくて。アニメ自体も連続で出させていただく機会がなくて、3年目でやっと仕事をした感じで。
内田:そうなんだ!?
木村(太):もう何回第1話の映像を観たことか。
内田:そんな太飛くんがすごいスピードで階段を駆け上がっていって。
木村(良):うまくなったからリハVも観てこないし。
木村(太):観てきてますよ!
石川:むしろ株が下がってますよ(笑)。
内田:ほら評価を上げて! 上げて!(笑) それが頼もしくて、一緒にお芝居していても楽しいです。ありがたいと思える、立派な座長です。
木村(太):ありがとうございます!
木村良平さんは初めて主人公を演じる新人声優の見届け人?
石川:でも猛の前向きさ、家訓を口上で述べた後にそれに従う姿はまさに有言実行で、いいキャラクターだなと。ヤンキーというよりもちょっとヤンチャな家庭に生まれただけで、結構ちゃんとした人じゃないかなという印象を持ちました。
太飛くんも猛みたいに体を動かしながら演じているのを見て、何だか自分の若い頃を見ているようで微笑ましかったです。
(木村良平さんのほうを向いて)そう思いませんでしたか?
木村(良):やめてよ~! 界人が若い頃って言っちゃったら、自分がもう年寄りになったみたいじゃん!
石川:僕が2クール以上の長い連続もののアニメで初めて主人公を演じた作品も陰陽師もので、しかも良平さんもいらっしゃったので、太飛くんに勝手に親近感を感じていました。現場で話しかけることは全然しないんですが、遠巻きに「う~ん、いいよ〜」と見守っています。
木村(良):あの頃の界人はガムシャラだったね。
石川:そうでしたね。今は……あれ、僕まで株が下がってないですか?(笑) あれ、良平さんが急に上を向いちゃった。
――木村良平さんは新人主人公の見届け人なんですね。
木村(良):すごく光栄なことです。
内田:そういえば私が初めて主人公をやらせてもらった作品にも良平さんが出てました!
木村(良):太飛くんは初主人公で僕が相棒、真礼が初ヒロインで僕が相手役、界人は初主人公で俺がボス。
内田:本当に見届け人だ!?
木村(良):とても幸せなことです……でもそれって俺が置いて行かれちゃうってことじゃん!
内田:私たちは見送っていただいたので。
木村(良):俺も連れてってくれよ!
(全員爆笑)
太飛さんが腹を括れた、良平さんからのありがたいメッセージ
――先輩方からの言葉を聞いた太飛さん、気分はいかがでしょうか?
木村(太):めっちゃ嬉しいっす! 本当にずっと不安だったんですよね。「ちゃんとできているのかな?」って。第3話か第4話の時、収録が早く終わったので、「僕のセリフが少なかったからですかね?」と言ったら、良平さんが「そんなこと言うな。座長なんだから」って。
内田:カッコいいなあ。
木村(良):俺をイジってるだろ!
木村(太):その言葉を聞いて「本当にそうだな。何をうじうじしてたんだろう」と。猛と一緒ですね。「考えるのは飯食った後だ」と。その時に「こういう感じでやっていこう!」とバシっと決めて、ネガティブなことを言わないように、「いきます!」、「やります!」だけでやってます。
――でも必殺技を叫ぶ以外でも張る芝居が多いですけど、ノドは大丈夫ですか?
木村(太):意外と大丈夫です。
石川:僕だったらすぐにノドが壊れているかもしれない叫びをテストからずっとやっているので、そのガッツは本当にすごいなと思いながら見ていますし、本番でもブレがないので、率直に楽器として憧れがあります。
内田:ノドが強いよね。
木村(良):でもさ、中盤のある回の界人の一発の張りが好きだったんだよね。
内田:え、どこだろう?
木村(良):座って聞いていたけど、界人に「お前、今すごく気持ちよかっただろ?」とその場で言いたかったくらい。時代の流れを感じられたというか。こっちに太飛くんがいて、こっちには界人がいて。
石川:僕は叫びが苦手だったので、彼を見ると負けたくなくて。初心に帰ったみたいに「絶対に負けないぞ」って。いい影響や刺激をもらっています。
木村(太):光栄です!
内田:いいアフレコ現場ですね。
――太飛さんは収録前や休憩中は一人で必死に台本を読み込んでいるんですか? それとも先輩方にアドバイスを求めに行ったりするんですか?
木村(太):家で「ここはカッコよく叫ぼう」とポイントでめっちゃ練習しています。「こんなに家で叫んだら次の日ヤバいかな?」と心配になるくらい。現場では監督のアドバイスに「はい! わかりました!」と忠実にやっています。
――ではいつも平常心で臨めているんですね。
木村(太):第1話は緊張しすぎて、足が震えていた気がします。でも先輩やスタッフの皆さんに支えていただいて。本当に温かい現場です。
アフレコ現場では内田さんのおもしろエピソードが満載!?
――一緒に収録した中で裏話やおもしろエピソードはありますか?
木村(太):イントネーション系が難しくて、最初は苦労しました。「電祇平安京」とか「闇薫」とか。
内田:この作品独自の言葉が多くて、読むのも難しいよね。「左京」とか「三条」とかも。
石川:住所も難しくて。アナウンスの音声役の方もかなりアクセントを気にされてました。
内田:あと技も! とりあえず勢いで言ってみよ!みたいな(笑)。
石川:僕は途中からアクセントを尋ねるのをあきらめて、「俺が正解だ」という気持ちでやって、違っていたら直していただく感じでやってました。
木村(太):あと内田さんが入るマイク前のモニターだけ消える事件が何度もありましたよね。
内田:やだ! やだ!
石川:マイクは何本もあるのに内田さんが行くと壊れるんです。
木村(太):それまでは普通なのに。
木村(良):内田さんの機嫌が悪かったのかな?
内田:私、陰陽術出してないので!
――内田さんは霊的なものをお持ちなんですか?
内田:ないですよ! でも私が意識していないところで何か出ているのかも。
石川:あと内田さんが「最近、気を付け始めたんですよ!」と言って、バッグから取り出したプロテインに、現場で水を入れてボトルを振り始めたら、ふたが閉まってなくて周囲にぶちまけてパニックになったこともありました。
内田:みんな、優しくて、全員でふいてくれました(笑)。
石川:僕は元々筋トレをやっていたので、「最近、始めたんだ! いいぞ! 頑張れ!」って思いました。
木村(良):あと内田さんは「ジムにハマっているんです」と言いながらずっとお菓子を食べていて。
内田:やめてください!(笑) でもそうなんですよ、おいしい和菓子がいつも置いてあるから。
石川:鍛えているならゆでたまごを食べないと。
内田:現場でゆでたまご食べているのはおかしくないですか!? 和の作品なので。毎週おいしく食べさせていただいています。
展開が早い物語を追いながら数ある謎を考察したり、メカや怨人などデザインなど何度も堪能してください
――このアニメの見どころや注目ポイントのご紹介をお願いします。
木村(良):もちろん設定上の魅力やキャラクターの魅力もありますが、観ていて違和感を覚えるのはループものにある謎だと思います。この世界が勝手にループしてみんなが困るだけというはずはないわけで、誰かが何かを企んでいたり、まだ描かれていない大きな事象が起きていたりするんじゃないかなと。物語を追って、謎を解き明かして楽しんでもらえたら。あなたは誰を疑いますか?
木村(太):すごい!
石川:そのまま導入に使えそう。
木村(太):電祇平安京の世界観もきれいですし、メカがあったり、いろいろな要素がありすぎてみんな忘れがちですが、猛はなぜループしているのか。猛はどんな存在で、あの力は一体何なのかと謎めいた作品です。いろいろな謎があるので、考察しがいがあるし、気が付いたら次のシーンや展開に移っているので、細かいシーンを見直したり、何度も観て堪能してほしいと思います。
内田:カッコよかったり、コメディっぽいシーンだけでなく、ツライ部分もしっかり描くんだなと思いました。
木村(太):第1話からツラいシーンがあったし。
内田:猛があんな目に遭うなんてね……後半に進むにつれて、そういうシーンが出てくるので、視聴者のみなさん無理しないでくださいねと心配する気持ちがありますが、やっぱり観てほしいと強く思います(笑)。オリジナルなので、どうなるのかわからない展開に振り回されてほしいし、スタッフの皆さんもそこが伝えたいところだと思うので、どんな結末が待っているのか、私も楽しみにしています。「心無いな」と思う展開もありますが、耐えて観ていただければ何かが開ける気がします。
石川:電祇平安京に「怨人(おに)」という化け物が襲来してきて、陰陽師たちが撃退するという展開ですが、いろいろな怨人が登場します。その怨人の一つひとつにも個性があって、相当考えられてデザインされているので、注目していただきたいです。ロボットではないので……対人兵器ものアニメとして観ていただくとより楽しめると思うので、式神だけではなく、敵の怨人にも注目してもらえたら嬉しいです。