参院選で懸念されるのは“候補者によるマイノリティに対するバッシング”
野村邦丸アナウンサーがパーソナリティを務めるラジオ番組『くにまる食堂』(文化放送・月曜日~金曜日9〜13時)7月2日の放送は、国内外を精力的に取材しているメディアNPO Dialogue for People副代表、フォトジャーナリストの安田菜津紀氏が出演し、参院選で懸念されることについて話した。
野村邦丸(パーソナリティ)「参院選は、明日公示されます」
安田菜津紀氏「今回の参院選に限らず、特に近年、選挙運動とかこつけて、街頭演説やSNSでヘイトスピーチして特定の集団に対する差別の文言を繰り返してしまう候補者や一部の政党が後を絶たないと思ってます。公選法に守られながらヘイトスピーチを繰り出してしまうという現象が今回の選挙でも懸念されます。振り返ると、2012年に衆院選がありましたよね」
邦丸「自民党が与党に返り咲こうとしていた時ですね」
安田「何が起きたのかというと、生活保護利用者に対するバッシングがありました。一部の政治家から“生活保護を恥と思わないのが問題なんだ”といった発言がありました。生活保護は権利のはずなのですが、負のレッテルを貼ってしまうようなバッシングが相次いだ。実際に2012年の衆院選では自民党が生活保護費の1割削減を公約に掲げて、与党に返り咲いた。公約に沿うような形で大幅な引き下げがなされた。生活保護の方々は、“とてもこれでは暮らせない、人間らしい暮らしができない”ということで29の都道府県で1000人以上が原告となって、“いのちのとりで裁判”というものが続いていた。先週、最高裁判決で原告が勝訴しました」
邦丸「ニュースで出てましたね」
安田「つまり国が生存権を侵害するような引き下げをしたことが確定しているわけです。あの時は生活保護利用者の方だったのですが、マイノリティに対するバッシングを利用して政治的な求心力を高める候補者や政党が、その後も政策の中で人間らしく生きる権利を奪ってしまいかねないということが示されたと思います。矛先を向けられる集団は時代によって変わります。性的マイノリティの人たちかもしれないし、外国籍の人たちかもしれない。言論で対抗すべきという意見もあるかもしれないけど、差別を禁止する法律が存在していないので、法整備も含めてどうやってヘイトスピーチの蔓延に対抗していくのか?立法の中でも問われてくるのかなと思います」