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備中の地酒バル粋酔日 ~ みんなで笑って、四季折々の備中の地酒と手の込んだお料理を楽しむ居酒屋

倉敷とことこ

備中の地酒バル粋酔日 ~ みんなで笑って、四季折々の備中の地酒と手の込んだお料理を楽しむ居酒屋

なんとなく家に帰りたくない夜に。
誰かが作ったあたたかいご飯が食べたい夜に。
友人と語り合いたい夜に。

どのような夜も「はい!いらっしゃい」とお客さんを迎えいれては、備中の地酒こだわりのお料理を提供する店があります。

倉敷美観地区の入り口、倉敷市芸文館のほど近くに店を構える備中の地酒バル粋酔日(すいようび)です。

備中の地酒バル粋酔日の楽しみかたや、いつもお客さんの笑顔が途切れない秘訣を取材しました。

備中の地酒バル粋酔日について

備中の地酒バル粋酔日(以下、「粋酔日」と記載)は、倉敷市中央にある居酒屋です。

2013年10月末に地酒バルとしてオープン以来、ずっと「備中の地酒」のみを扱っています。

店主の中原和雄(なかはら かずお)さんは倉敷の旅館に始まり京都の料亭、他県内の様々な料理屋で修業を積んできた料理人。粋酔日には、備中の地酒はもちろんのこと中原さんの料理を楽しみに通う常連さんも多くいます。

粋酔日で提供される日本酒

粋酔日では、備中にある酒蔵で作られた地酒を楽しめます。

メニュー表はありますが、その日の仕入れ状況によって入荷しているお酒は異なるので、中原さんに尋ねるのが一番。私も、お店を訪れるときはいつも「今日のおすすめは何ですか?」と尋ねて、その日のお勧めをいただきます。

粋酔日は酒蔵関係者もよく訪れるお店なので、数本しか作っていない限定酒やほとんど輸出してしまって日本国内ではあまり出回っていない日本酒も、そろえられていますよ。

当日の仕入れ状況は、粋酔日のInstagramやFacebookを要チェックです。

粋酔日で提供されるお料理

粋酔日では、京都の料亭や岡山県内の割烹料理店で経験を積んだ料理人、中原さんお手製の出汁のよく効いたお料理が提供されます。

どのお料理も家庭料理のような素朴な見た目ですが、長いものでは数日の仕込みを経て作られた手の込んだものばかり。

お店に行く前は「前回食べたことのないものを食べるぞ!」と意気込んで行くのですが、カウンターに座ってほかのお客さんがいつもの料理を食べているのを見ると、ついよだれがこぼれてしまい、いつも同じものばかり注文してしまいます。

いつ食べても「コレコレ!」と思わず頷いてしまう、粋酔日のおいしいものたちを紹介します。

つくねピーマン

肉厚なピーマンに、ゴロっとしたつくねが添えられたつくねピーマンは、粋酔日の人気メニューのひとつ。

ピーマンは夏野菜だから夏季限定メニュー化と思いきや、定番メニューとして提供されています。春夏秋冬、いつ食べてもピーマンがシャキシャキとしているのは、いつも不思議です。

ピーマンと共にお皿に並ぶつくねは、一口かじればフワッとスパイスの香りが口のなかに広がります。

ピーマンもつくねも大きくて食べ応えのあるつくねピーマンは、中原さんが漫画『孤独のグルメ』から着想を得たのだとか。

チーズ味噌漬け

ただのブロック状チーズのように見えるこちらは、味噌で漬けられたチーズ味噌漬け

チーズらしい乳白色ですが、口に含むと味噌の香りが口中に広がります。味噌も日本酒もそれぞれに日本酒とよく合うものなので、それらがひとつになったチーズ味噌漬けはもちろん日本酒にぴったり。

お腹は膨れてきたけれども、あと少しお酒を楽しみたいときにいつも頼んでしまう一品です。

だし巻きたまご

具材やトッピングのない、シンプルなだし巻き卵。

写真は、ハーフサイズ

純粋に卵と出汁の味を堪能できる一品です。

一人で一つ食べるには少し大きいですが、酔いが回ってきた頃に、常連さんと半分ずつ提供してもらうだし巻きたまごのおいしさは格別。

粋酔日はおひとり様のお客さんも多いお店ですが、店主の中原さんがきめ細やかにお客さんとコミュニケーションを取ってくれるので、気づいたらお客さん同士が仲良くなったり料理をシェアしたりする姿が日常的に見られます。

里芋の揚げ出し

個人的に外せない一品が、里芋の揚げ出し。

ていねいに味付けされた里芋がサクッと揚げられて、ヒタヒタのお出汁と共に提供されます。

里芋のおいしさはもちろんのこと、器の半分以上まで注がれたお出汁の濃厚さについ出汁まですべて飲み干してしまいます。

次から次へと備中の酒蔵から旬の日本酒を仕入れ、手の込んだ料理を提供する粋酔日店主の中原さんに、粋酔日の楽しみかたを聞きました。

倉敷美観地区で備中の酒蔵で作られた地酒を扱う「備中の地酒バル粋酔日」の店主、中原和雄(なかはら かずお)さんに話を聞きました。

備中は、四季折々さまざまな土地条件の地酒が勢ぞろい

──粋酔日は、その名のとおり「備中の地酒」のみを扱っているのですよね。その理由を教えてください。

中原(敬称略)──

私は二代目の店主で、ここは初代店主が「備中のお酒を扱うこと」をコンセプトに始めたお店なんです。

岡山県は全国でも有数の酒処(さけどころ)で、岡山県の酒蔵の半数近くが倉敷を含むこの備中地域に集中しています。備中には山も海も里もありますし、もちろん四季もありますよね。さまざまな土地の、季節ごとの日本酒が備中のお酒だけで賄えてしまうんですよ。

──粋酔日で店主をされる前は、料理人をされていたと聞いています。備中の日本酒に興味をもったきっかけを教えてください。

中原──

私は倉敷の玉島出身なんです。それで、17歳から美観地区の旅館で料理人としての修業を始め、京都でも数年間勉強させて頂きました。

岡山へ帰って来てからは、倉敷をはじめとした岡山県内の旅館や割烹で料理人をしてきました。
日本酒に興味をもったのは、岡山市で自分のお店をやっていたときです。

お客さんにお酒を提供する身として、お客さんに聞かれたことにはきちんと答えられるよう日本酒の勉強をしました。日本酒って、水と米だけでできるんです。それがもう、不思議で。「もっと知りたい!」と酒蔵のお手伝いなどをいしていたら、ご縁あって今この備中の地酒バル粋酔日の店主としてここに立っています。

当時私にお酒の管理方法などを教えてくれた酒蔵のかたが、今もこの粋酔日にきてくれているんですよ。ありがたいです。

そのときから、南北に長く、海・里・山と日本の土地の特色すべてが詰まった備中の日本酒のおいしさを広めたい、と思うようになりました。

おいしい酒を飲んでみんな笑って幸せになってほしい

──日本酒の選びかたや飲みかたに、コツはありますか。

中原──

日本酒を飲むときは、眉間にしわ寄せちゃだめですよ。笑って飲んでおいしかったら、それで充分です。

お酒っていうのは、だいたいおいしいんですよ。
その「おいしい」っていう感覚は人にどうこう言われるものじゃないし、そもそもまずい酒なんてありません。たしかに、人それぞれ「好み」はあると思いますけれども、誰かにとってはおいしいものなんです。

だから、自分に「合わない」ものはあるかもしれないけれども、ほかの人の「おいしい」という気持ちを否定してはいけません

ただもちろん、私はお酒の勉強をしますよ。お客さんが「おいしい!」と言ってくれたときに、二杯目にそのお客さんが好みそうなお酒を選んだり作りかたを聞かれたら答えたりしないといけませんからね。プロなので、その勉強は怠りません。

おいしいと思ったお酒についてもっと知りたいと思うのは自然なことです。そんなときに、そのお酒について学ぶのは良いことだと思いますが、日本酒を飲むために勉強する必要はないと思います。

粋酔日でも、お客さんにはおいしい酒を飲んでみんな笑って幸せになってほしいです。

──お酒だけでなく、中原さんのお料理も楽しみのひとつ。お料理を提供するうえで大切にしていることを教えてください。

中原──

家庭では食べられない味を提供することです。お代をいただいていますし、私は料理人なので。一つひとつ手間をかけて仕込みをしています。

なので、お客さんから「どうやって作っているんですか?」と聞かれる瞬間がとてもうれしいです。どうやって作ったのか知りたいと思うほど、おいしいと思ってもらえたんだなと。

お客さんから作りかたを聞かれたときには、もちろんご紹介します。でも、教えたとおりに自宅で作ってもまったく同じ味にはならないようです。

それで「もう一度食べたい」とお客さんが再来店されると、笑みがこぼれてしまいます。県外からも、リピーターのお客さんが来てくれるので、本当にありがたいです。

──粋酔日を営業するうえで心がけていることはありますか。

中原──

ここは、みんなで笑って楽しいお店です。

お客さんが楽しく笑って帰ってくれればそれで充分なので、私自身がお客さんとのコミュニケーションを楽しんでいます。初めていらっしゃったお客さんも、帰る頃には他のお客さんとのやり取りを楽しんでいてくれる日がうれしいです。

お客さんが喜んでくれる料理を提供するために、丹精込めて仕込みをする。
お客さんが楽しんでくれるように、お酒についての知識をもつ。
お客さんが笑顔になれるように、一組ずつのようすを見ながら接客をする。

どれも、心がけるまでもなく当たり前にやっています。

そういう一つひとつの積み重ねの結果、お客さんが再来店してくれているんだと思っているので。

岡山県内の人にこそ、備中の地酒の魅力を知ってほしい

──どのような人に、備中の地酒の魅力を伝えたいですか。

中原──

まずは、岡山県民に備中の地酒を飲んでもらいたいです。備中には本当に良いお酒がそろっているので、地元の人たちに地元のお酒を誇りに思ってもらいたいと思っています。

この粋酔日の目指すところも、地元の人たちに備中の地酒を飲んでもらうことなんですよ。そんなこともあって、毎年「宴joy備中地酒フェスSAKEべ!!」というイベントを開催しています。

岡山県民にこそ備中の地酒を気軽に味わってほしいと思って毎年開催していますので、ぜひお越しください。

──粋酔日の楽しみかたを教えてください。

中原──

粋酔日で過ごす時間に、遠慮はいりません。

私は、みんなが笑って幸せになるものを提供したい。ここにくるお客さんは、おいしいものをおいしいと味わって、笑って楽しく過ごしたい。そう思って来てくれています。

だから、みんなが笑って楽しく過ごせる場を用意していますよ。

冬季限定の牡蠣も絶品

──最後に、読者へメッセージをお願いします。

中原──

岡山県のこの備中地域は、全国有数のお酒処です。お米もありますしきれいな川も流れていて、どのお酒もおいしいんですけど、いかせん岡山県民のかたがその魅力に気づいていないのがもったいなくて。

なので、観光客のかたはもちろんのこと地元のかたにこそ備中地域のお酒を飲んで、酒蔵さんを応援していただきたいです。

どうぞ、よろしくお願いします!

おわりに

私には聴覚障がいがあるので、プライベートでも聴覚障がいのある仲間とお酒を飲みに行くことがあります。

聴覚障がいがあると、相手の話を聞きとれなかったり当事者の言いたいことが相手に伝わりにくかったりする場合も多いので、居酒屋のカウンター席に行っても他のお客さんと同じようにコミュニケーションを取るのは大変です。

しかし、粋酔日は中原さん聴覚障がいのある人を連れて行っても、必ず本人に伝わる方法を考えて直接コミュニケーションを取ってくれるので最後は笑顔で帰路につけます。だからこそ、粋酔日は安心して聴覚障がいのある友達を連れていけるお店のひとつです。

日本酒にあまり馴染みのないかたも、日本酒好きも、大歓迎。豊富なお酒とおいしい料理が日々仕込まれている備中の地酒バル粋酔日で笑って楽しい夜を過ごしてみませんか。

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