会話力がぐ~んとアップ! ネイティブが教えるお役立ちフレーズ【まいにちドイツ語】
2025年度のNHKテキスト『まいにちドイツ語』では、ドイツ語のつまずきやすいポイントや、お国柄が出るフレーズをマンガで紹介する新連載「マンガで学ぶ! お役立ちドイツ語フレーズ」がスタート。イラストレーターのとりあえずビールさんと、2023年後期ラジオ講座にも出演したマティアス・ビティヒさんが軽妙なやりとりで「すぐに使えるドイツ語フレーズ」を紹介しています。
初回となる4月号で紹介するのは、Wurst(ソーセージ)を使ったフレーズです。
マンガで学ぶ! お役立ちドイツ語フレーズ
引っ掛かりやすいドイツ語の「つまずきポイント」やお国柄が出る「おもしろフレーズ」をマンガで紹介、ネイティブドイツ語講師が分かりやすく解説します。「お宝フレーズ」は丸暗記して実際に使ってみて!
【お題その1】 なんでもWurst(ソーセージ)!
【人物紹介】
マティアス・ビティヒ
獨協大学准教授。ベルリン自由大学にて日本学及びドイツ語言語学専攻。博士(日本学)。2012年より日本在住。2023年度後期NHKラジオ講座「まいにちドイツ語応用編」に出演。多数のドイツ語教科書を執筆。
とりあえずビール
小中学生兄弟の母。ドイツ語勉強中。ひっそりとイラストレーター、漫画家として活動中。2014~2017年ハフィントンポストにて国際結婚についての記事を連載。現在は主にドイツ語教科書の挿絵を担当。
はじめまして! とりあえずビールと申します。
今月から皆さんと一緒にドイツ語の勉強をしたいと思います。解説のWittig先生、よろしくお願いします!
こんにちは、Wittigです。楽しくドイツ語の勉強をしていきましょう。さて、はえある第1回のお題はWurst。ソーセージにまつわる表現です。
ドイツといえばビールも捨てがたいですが、やはりソーセージですよね!
そうです。ドイツ人はソーセージが大好きだと思われていますが、ステレオタイプではなく事実です! その愛の深さを表すように、Wurst(ソーセージ)を使った表現がドイツにはたくさんあるんですよ。では早速見ていきましょう。
おにぎりをゲットした兄に向かって弟が何か言ってますね。
eine Extrawurst bekommenは直訳すると「特別なソーセージをもらう」という意味。しつこく厚かましいおねだりをして何か特別なことをしてもらったときに使います。
今回は無事おにぎりをゲットできましたが、もし、何ももらえない場合には何と言えばいいのでしょうか?
Hier bekommt niemand eine Extrawurst! 直訳すると「ここでは誰も特別なソーセージはもらえない」、つまり「誰も特別扱いはしてもらえないよ」ということですね。文頭のHierの使い方はちょっと上級者向けですが、この場面ではこれがあると自然なドイツ語に聞こえますよ。
次はずっといじけている弟に兄がかけた言葉、Spiel nicht die beleidigte Leberwurst! 直訳すると「ふてくされたレバーソーセージを演じるな!」って、変な表現ですね……。
「いじけるな」「すねるな」という意味で、不機嫌だということを周囲にアピールしている人、かまってちゃんな態度を取っている人に対して言います。傷ついているという事実よりも「傷ついている自分」を演じてアピールしているのでspielenを使うのですね。
おお、なるほど! 言葉の成り立ちを知ると覚えやすくなりますね。spielen は「遊ぶ」「演奏する」という意味でよく使われますが、ここでは「演じる」という意味なのですね。
これ以外にもソーセージを使った表現はたくさんあります。
例えばAlles hat ein Ende, nur die Wurst hat zwei.「全てのものには終わりがある」という意味で、どちらかというと楽しいことが終わるときに使います。
Es geht um die Wurst!「今が正念場!」とか、はずれくじを引いた程度の「ちょっぴり不運な人」にかけるArmes Würstchen ...「かわいそうなソーセージちゃん……」なんていうのもあります。ただしこれは軽いノリのフレーズなので、深刻な場面では使わないように!
さて、「今月のお宝フレーズ」では、すぐに会話に取り入れられそうなとっておき表現を紹介します。ぜひ覚えて使ってみてくださいね。ではまた来月〜! Bis zum nächsten Mal!
【今月のお宝フレーズ】
Das ist mir wurscht.
「どうでもいい」
Das ist mir egal. と同じ意味。ちなみにWurscht はWurst の方言。「どちら(どれ)でも気にしないよ」というニュアンスだが、文脈によっては少々失礼な物言いに感じることがあるので注意。
【例】
A 「映画何見る? ウォッチリストから選んで!」
B Das ist mir wurscht.
(別にどの作品を選んでもいいよ)
いかがでしたか? テキスト5月号では「Bitte?Bitte!Bitte⁉ ~bitteの汎用性」、6月号では「ドイツ語由来の言葉たち」、7月号では「馬をめぐる推しフレーズ」といったフレーズをご紹介しています。ぜひご覧ください。
ほかにもテキストでは、今知りたいドイツの最新事情を紹介する「ドイツ・トレンド・サマリー」、旬の味覚やその土地の味をピックアップした「おいしいドイツに出会う旅」などの連載も掲載し、ドイツ語学習をサポートしていきます。
■『まいにちドイツ語 2025年4月号』「マンガで学ぶ! お役立ちドイツ語フレーズ」より
■文・イラスト とりあえずビール
■監修 Matthias Wittig