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​<全国高校野球選手権静岡大会> 1点が遠かった東海大翔洋 全中準V・翔洋中出身の川島、伊藤が準決勝で涙 準々決勝から感じていた焦り

アットエス

全国高校野球選手権静岡大会は7月26日、準決勝を行い、東海大翔洋は静岡に0―1で敗れ、2年ぶりの決勝進出はならなかった。静岡のエース吉田遥孔投手(富士宮一中出)の前に散発3安打に倒れた。三回に3番、遊撃手の本多渉真選手(浜松東陽中出)が左腕に死球を受けて離脱する不測の事態もあり、1点が遠かった。

森下倫明監督は「(敵失や四死球などで)せっかくもらったチャンスに1本出ていれば、展開も変わったと思いますけど、それ以上に静高さんの守りが上回ったんだと思う。1点ならいつか、取り返せるという自信を(選手は)持っていたのでは」と振り返った。

東海大翔洋
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静岡

原俊介前監督(2016~2021年、現・東海大相模監督)から森下監督に引き継がれたこの10年(20年の代替大会除く)で決勝進出2回(いずれも準優勝)、準決勝1回、準々決勝2回と夏にめっぽう強い翔洋だが、9大会のうち3度、行く手を静岡に阻まれている。

準々決勝で感じた焦り

今大会は、昨秋と今春の県大会で敗れた宿敵・常葉大菊川や春の県準優勝の桐陽などを破って激戦ブロックを勝ち上がり、チームは波に乗っていたかに見えた。
だが、主将の川島孝太捕手は「桐陽戦もチャンスに1本が出なくてタイブレークになってしまった。この試合(準決勝)でどうにかしようとチームで話していたけれど」と言葉に無念さをにじませた。

追う立場、吹いた逆風

この日、草薙球場にはホームに向かって強風が吹き、打球がことごとく押し戻され、失速した。静岡の吉田投手は「少し甘めでも外野フライになる」と風を味方に付けた一方で、追う立場の翔洋にとっては逆風となった。

翔洋中出身の3人が先発

準決勝のスタメンには東海大翔洋中出身の3選手が名を連ねた。
3年で主将の川島捕手と伊藤龍栄中堅手は全国中学校体育大会(全中)で準優勝。同じ仲間と高校で甲子園を目指そうと、7人がそろって翔洋高に進学した。2年の伏見響内野手ら翌年、全中優勝を果たしたメンバーも後に続いた。

主将川島「やりにくさ感じた」

翔洋中出身者は中学時代からU-15フジヤマベースボールクラブ出身の吉田投手とは何度か対戦経験があり、互いをよく知っている。苦手意識はなかったが、試合が進むごとに焦りからか空回りした。川島主将は「自分たちのスイングができなかった。吉田投手の球の伸び自体も良かったし、緩急や間をうまく使ってきた。相手の攻撃も自分たちのリズムになりかけたところでヒットを1本出されたり、やりにくさを感じた。相手が一枚上だった」と話す。

中堅伊藤「1点なら何とか」

再三の好守でチームを救った伊藤中堅手は「これ以上点は与えられかったのでピッチャーを助けたかった。(七回1死二塁で中前への打球に)ダイビングした時、思ったよりも(打球が)戻されたので最後は気持ちで。(攻撃は)1点なら何とかできると思っていたけれど、相手投手に要所を締められた。春、常葉大菊川に負けてから、バッティングは基本に戻って、ホームランはいいから低い打球をと森下先生から言われていたのだけれど」と肩を落とした。
川島主将が「伏見らベンチに入った2年生が大会を通じて経験したことを秋や夏に生かして、絶対に甲子園に行ってほしい」と言えば、伊藤選手も「今日の悔しさを思い出して練習してほしい。練習の中で、キツいことから逃げないこと。そうすれば、絶対強いチームがつくれる」と後輩に夢の続きを託した。

2年伏見「先輩に迷惑かけた」

スタメンで唯一の2年、伏見選手は6番二塁手で先発出場。「今大会、チャンスに全然打てなくて先輩たちに迷惑をかけた。3年生の試合が終わってしまって悔しい」と泣きじゃくった。三回裏からけがで離脱した本多選手に代わって遊撃の守備についた。「どこでも守れるのが持ち味」と守備機会をそつなくこなしたが、打席では3打数無安打1四球。最終学年で迎える来夏に向けて「県内で1番のバッターになる」と雪辱を期した。
(編集局ニュースセンター・結城啓子)

 

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