「人種差別の恐ろしさを身をもって感じた」“赤サングラス男”のシーンの裏側『シビル・ウォー アメリカ最後の日』メイキング映像
「もし、アメリカで内戦が起こったら?」—A24史上最高のオープニング記録を樹立、興行収入ランキングで2週連続1位を獲得した話題作『シビル・ウォー アメリカ最後の日』が、現在大ヒット公開中だ。このたび、銃を持つ“赤サングラス男”が「どの種類のアメリカ人だ?」と詰め寄るシーンの裏側を捉えたメイキング映像が解禁となった。
それは、今日起こるかもしれない
映画の舞台は、連邦政府から19もの州が離脱したアメリカ。テキサスとカリフォルニアの同盟からなる“西部勢力”と政府軍の間で内戦が勃発し、各地で激しい武力衝突が繰り広げられていた。「国民の皆さん、我々は歴史的勝利に近づいている——」。就任 “3期目”に突入した権威主義的な大統領はテレビ演説で力強く訴えるが、ワシントンD.C.の陥落は目前に迫っていた。ニューヨークに滞在していた4人のジャーナリストは、14ヶ月一度も取材を受けていないという大統領に単独インタビューを行うため、ホワイトハウスへと向かう。だが戦場と化した旅路を行く中で、内戦の恐怖と狂気に呑み込まれていく—。
10月4日(金)より日本公開された本作は、週末動員ランキングで初登場1位を獲得。メジャー作品以外の洋画実写作品が首位を獲得するというのは異例の快挙。「生まれて初めて、映画館で命の危険を感じた」など、自らが戦場にいるかのように錯覚するほどの圧倒的な音響が絶賛の声を集めており、IMAXやDolby Cinema・Dolby Atmosなどラージフォーマットを中心に動員を集めている。その後も「今年1位どころか人生1位」「これまで体験したことのない没入感に襲われた、絶対に劇場で観るべき」「戦場に自分が放り込まれた感覚で戦慄した」など、圧巻の映画体験を絶賛する声が相次ぎ話題となっている。
その中でも特に話題となっているのは、14か月間一度も取材を受けていない大統領に単独インタビューを行うため、主人公・リー(キルステン・ダンスト)ら4人のジャーナリストがニューヨークから戦場と化したワシントンDCへと向かう中で、リーたちが銃口を向けられる緊迫のとあるシーン。「劇中屈指のトラウマシーン」「赤サングラス男が怖すぎる」「まるで銃口が自分に向けられているかのような緊張感」とSNSでの口コミが拡がっている。
「人種差別の恐ろしさを身をもって感じた」
今回公開されたのは、銃を持つ赤いサングラスをかけた兵士がリーたちに向かって「どの種類のアメリカ人だ?」と詰め寄るシーンの裏側を捉えたメイキング映像。ガーランド監督が「その人の政治的立場が問われることになる」と述べる本シーンは、リーたちジャーナリストが、ある田舎の片隅で銃を持った兵士たちが大量の死体を埋葬している場面を目撃し、仲間が人質にとられ、命が危険にさらされるシーンである。
年長のベテラン記者サミーを演じたスティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソンは、「僕が演じているサミーはその光景を見て、近づくなと言う。あとで通報するのが得策であって、本来の目的を果たしたいのなら絶対に関与するなと。でも彼らは人生の先輩に耳を貸そうとしない。結局、兵士に話しかけ、おぞましい結果を招いてしまう」と語る。赤サングラス男との交渉に応じたジョエルを演じたワグネル・モウラは「集団墓地のシーンは、他のどの撮影よりも緊迫していた。正直ショックを受けたよ。僕自身、米国出身ではなく外国籍だから…。人種差別的だし、外国人への憎悪も感じられ恐ろしかった。兵士役のジェシー・プレモンスの演技があまりにもリアルで、余計につらかった。僕や仲間を殺さないでほしいと必死に懇願して、人種差別の恐ろしさを身をもって感じたあと…しばらく起き上がれなかった。思い出すと今でも泣きそうになるが、撮影後30分間は涙が止まらなかった。緊迫していた」と当時の心境を語る。
ジェシー役のケイリー・スピーニーも、「あの役はジェシー以外考えられない。すごく冷酷で、同時に魅力的でもあり、とにかく不気味だった」とジェシー・プレモンスの演技を絶賛。実は、赤サングラスの兵士を演じたのは、主演のキルステンの夫であるジェシー・プレモンス。もともと、同役には別の俳優がキャスティングされていたがスケジュール調整がつかず、キルステンにジェシーの出演を打診したところ、快く引き受けてくれたという。
メイキングには、現場で「すばらしかったよ。文句なしの演技だ。思わず震え上がった」というガーランド監督に、ジェシー・プレモンスが「心が汚れた気分だ」と話す様子が収められており、どれだけ過酷なシーンであったのかが伝わってくる映像となっている。
『シビル・ウォー アメリカ最後の日』は大ヒット上映中