運動しても体は疲れていない!? 疲れの正体は脳にあった!【眠れなくなるほど面白い 図解 疲労回復の話】
疲労の正体は 「脳の疲れ」 だった
運動しても体は疲れていない!?
「疲れ」の発生源は体ではなく脳である。そう聞くと、疲れればだるくなるのは体で、筋肉痛も起きる、これは体が疲れている証拠なのでは?と思う方もいるでしょう。しかし、体に「疲れた」と自覚させているのが脳なのです。
以前、このような実験を行いました。4時間ほどジョギングや自転車こぎなどの運動負荷、あるいはデスクワークなど精神作業負荷をかけたのち、疲労が生じる場所や程度を計測すると いうものです。結果、ジョギングや自転車こぎなどの有酸素運動を4時間続けても、筋肉はほぼダメージを受けていないことがわかりました。精神作業のときも同様の結果が出ました。
では一体、疲れているのは体の中のどこか。それが脳なのです。例えば、運動をはじめると、脳も体も酸素需要が高まります。 また、体温も上昇します。脳にある自律神経は脳への酸素供給を高め、脳温度の上昇を抑えようと、体中のあらゆる器官に命令を発します。運動負荷が強いほど、脳の指令も複雑になり、さらに細かくなります。その結果、脳の自律神経が疲れてしまうのです。
そこで、脳はこれ以上、自律神経が疲れないよう、「体が疲れた」という誤情報を脳内に発し、休息を欲するようになります。これを受けて私たちは「疲れた」と感じるというわけです。
「あぁ疲れた~」となるメカニズム
①運動や仕事で自律神経の中枢(視床下部)が疲弊する
②「自律神経が疲弊した」という情報を眼窩前頭野に伝える
③眼窩前頭野が「体が疲れた」とあえて誤解させて脳全体に伝える
④前頭葉で意欲の低下が起き、「休もう」という欲求が生まれる
こうして「運動して疲れる」「仕事して疲れた」という状態になる
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 疲労回復の話』著:梶本修身